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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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373/499

373 ラシード隊 トールキー族長のキジールに到着する

 5日ほどかけてコクサール国の草原に入る追分までついた。その間小さなオアシスで半日ずつ商売をした。

 「今回はコクサールは見送りにしよう。ベーベーの慣らしのための臨時の隊商だから次回でいいだろう」


 小さいオアシスに寄りながら6日かけてキジールに到着した。

 隊商宿に投宿したらホールの壁にブラックスパイダーアジト、ガーリー屋敷への行き方の地図が貼ってあった。ご丁寧に矢印で場所を示して生き木乃伊ありと書き込んである。聞く人が多いらしい。

 勿論見に行くラシードたちである。


 アジトに行って見ると見物人が大勢いた。アジトは崩壊したままである。道路からすぐのところに看板が立っている。

『この男ども悪逆非道の極悪人につき、ここに生き木乃伊の刑に処す   樹乃神  アカ』

 その脇に透明なケースに入った6人の男が立ったまま微動だにしない。よくみると手足の指の先が変色している。乾いていて木乃伊化している。ケースの途中に鏡がついている。


 「隊長、シン様とアカ様のようです」

 「そうだな。樹乃神様か。確かに「シン」様だ。こいつらが何をしたのかわからないがシン様を激怒させたのだろう。神は怖いな」

 「鏡で自分の木乃伊化の進行具合がわかるようになっているんでしょうか」

 「そうだろうな。親切なのか恐怖を煽りたいのかわからないな。シン様が激怒し生き木乃伊化させて、アカ様が鏡を付けたというところだろう」

 相変わらず察しがいいラシードである。


 「みなさんは看板に書かれている樹乃神様、アカ様をご存知なのでしょうか?」

 見物人に聞かれてしまった。

 「少しだけ存じ上げています」

 「どんな方々なのでしょうか?破壊神なのでしょうか?」

 「破壊神?それは知りませんが、優しくて怖い方々です」

 「優しいのでしょうか?」

 「優しいです」

 「ガーリー屋敷も粉々の瓦礫になっており、ここも瓦礫、破壊神なのではないでしょうか?」

 「破壊神が激怒したならこの街も破壊されているのではないでしょうか」

 「それもそうか」

 「では用がありますので」

 ラシードと隊員は急いでその場を去った。


 「破壊神になっているのか?」

 「そうみたいですね」

 「何も情報がないのだろう」

 「会ったことがないのだろう」

 話しながらガーリー屋敷に向かう。

 ガーリー屋敷も瓦礫であった。

 「これは、破壊神の噂になってもしょうがないな」

 納得のラシードたちである。


 隊商宿に戻るとトールキーから使いが来たとのことであった。

 「屋敷に行ってみるか。明日から市場だから準備しといてくれ。大抽選会もな。一等はドラちゃん馬車、二等は女性用下着上下一着、三等は幼児服一着でどうだ」

 「商品が増えているっすね」

 「この間の熱気をみるとな増やさなければまずいだろう。この抽選会を目指して来て他の商品もお買い上げという具合になる。もうかるぞ。おれは、トールキーのところに行ってくるからあとは頼んだぞ」

 「承知」

 実は隊員も面白くなっていたのである。すぐ手分けして抽選券を作り出した。

 隊員は、ふと思った。商品は全部ラシードの線指輪の中である。抽選券しか準備が出来ない。


 トールキー族長の屋敷は隊商宿の隣が市場、その隣である。

 屋敷に顔を出すと若い娘がすぐ応接室に案内してくれた。トールキーはすぐ来た。


 「しばらくだな。使いをもらったが、ブラックスパイダーアジトとガーリー屋敷を見に行っていた。生き木乃伊は凄まじいな」

 「私も帰って来て見に行ってびっくりしました。何があったかわかりませんが、ブラックスパイダーはシン様の逆鱗に触れたのでしょう。うちの連中はシン様の怒りでほとんど凍りそうだったと言っています」

 「生き木乃伊は、微動だにしなかったぞ。口も聞けない、目は見開いたままだ。瞳も動かない。あれでは何があったか聞き出せないな」

 「そうしたのでしょう。寿命までただひたすら被害者から罵られるのを聞き、木乃伊になっていくのを鏡で見ているのでしょう。恐ろしい刑です。いっそ殺してくれと言いたいところでしょうが口もきけない。あの透明な箱もどうやっても傷ひとつつかないし、箱も微動だにしないようです」


 若い娘がお茶を持って来た。さっきと違う娘さんだ。

 「おい、だいぶ若い娘さんが増えたな」

 「はい、盗賊に襲撃されて生き残って途方にくれているところを旅人がうちに連れて来てくれたようです。若い娘さんの使用人が10人増えて、屋敷の男どもは大喜びです」

 なんとなくシン様の激怒の理由がわかったラシードであるが、そこは口を閉ざした。


 「それはそうと塩を仕入れたがいるか?塩板一枚35キロだ。これが見本」

 どこから取り出したか袋入りの塩を出しだ。

 「これは素晴らしい。塩の重さの三倍の砂金となるでしょう」

 「そうだけど、シン様の塩だからな。生き木乃伊にはなりたくないからな。塩と砂金の重量は同じでいい」

 「そうですね。私も転売はできません。うちと娘にやらせている宿の分で結構です。3枚あるでしょうか」

 「あるぞ。娘さんのところは何枚だ。届けてやろう。こちらの分はあとで宿まで取りに来させてくれ」

 「娘のところは2枚です。料金はこちらで一緒に払います」

 「わかった。運んでおく」


 「それから、大人気の女性用下着があるのだが、屋敷の人たちに即売会をやりたい。部屋を一部屋貸してくれるか」

 「どうぞ。そんなにいいものでしょうか?」

 「明日の市場は大混乱間違いなしだ。まあみてろ。大混乱前に特別に今日展示即売会をしてやる。あとで気の利いた長くいる女性をよこしてくれ」

 「気の利いたはわかりますが、長くいるとはなんでしょうか」

 「サイズというものがあってな、長くいる人なら屋敷にいる女性の大体のサイズがわかるだろう」

 「そういうものですか」

 「そういうものだ」

 「いくらでしょう?」

 「一晩着てみてそちらで値をつけてもらっていい」

 「いいのですか」

 「構わない。じゃ、待っているから女性を宿まで下着を取りにこさせてくれ」

 「わかりました」


 宿に帰って、隊員に品物がないから準備できなかったと言われ、焦って明日の市場に出す商品を収納から出した。

 程なくして女性が2人やってきて下着を見繕って運んで行った。

 「娘さんの宿に行ってくる。副長は明日の準備を引き続きしてくれ」

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