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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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358 みんなの砂漠体験 (下)

 シナーンさんのところにはバトルホースで行こう。

 砂丘をかけていく。宙を蹴っているから砂埃も立たない。


 あれ、ドラちゃんとドラニちゃんがついてきた。

 黙って出たとプンプンしている。

 アカがどいてくれたので抱っこしてよしよししてやる。じゃ、一緒に行こうね。すぐご機嫌が直った。バトルホースの周りを飛び始める。


 程なくしてソーロクオアシスの入り口が見えた。オアシスに入ったらバトルホースは足を地につけてゆっくり歩く。やっぱり僕を見つけた人が走って行くね。今日はそっちに行くんだけど。いるかなシナーンさん。出てきた。


 「こんにちは。ちょっとお願いがあって来ました」

 バトルホースから降りる。

 「立派な、馬でしょうか、大きいですね」

 「最初に僕と出会った馬なんですよ」

 「馬ですか?」

 「馬です」

 本当かという顔をしているけど、追求はしないことにしたようだ。

 一緒に屋敷に行く。馬丁が出て来たけど、後退っている。

 「おとなしいですから、場所だけ教えてくれれば大丈夫です。水でもやってください」

 「こっちです」

 馬丁は先に行ってしまった。バトルホースはしょうがないなという顔をしてあとをついていく。


 今日も皆さんのお迎えがあって玄関を入った。すぐ応接室に通された。

 「今日夕方ソーロクオアシスの手前で500人弱の僕の関係者がテントを張って一泊します。明日は、オアシスを見学して市場に寄って涼しくなったらオアシスを出ます。人数が多いので念の為お知らせしておきます」


 「どのような人たちなのでしょうか」

 「子供もいますがほとんどが精悍な人たちです。そのうち兵が250人くらいかなあ」

 シナーンさんがごくりと唾を飲み込む。

 「兵は統制の取れた兵です。アレシアス王国の兵で女王がついています」

 「捧刀の兵でしょうか。つい先頃コクサールの役で大手柄を立てたという神軍でしょうか」

 「ええまあ捧刀はしているみたいです」


 シナーンさんが天を仰いだ。なんでだ。

 「それでこのオアシスを明け渡せばいいのでしょうか」

 盛大な勘違いをしているぞ。

 「あの、まあ慰労というか、物見遊山の旅人と思って下されば結構です」

 「物見遊山でしょうか」

 「はい、そうです。この頃よく働いてくれたので慰労の物見遊山です」

 もう物見遊山で押し通すことにした。


 「市場で買い物もさせてもらいます。何時から開くのでしょうか」

 「朝から開けます」

 「いやまあ普通でお願いします」

 「明日は朝市が立つ日なのでそのまま昼の市になります」

 ほんとかなあ。まあいいや。

 「それじゃそういうことで」


 帰ろうとしたらお爺さんが入って来た。いきなり平伏をしている。昨日助けたお爺さんだ。なんでここにいる。

 「命を救っていただき、また孫娘を助けて頂きお礼のしようもありません」

 「孫娘さんですか?」

 「カーファのところから逃げ、砂漠で立ち往生していたところを助けて頂いた娘です」

 「ああ、あの娘さんでしたか」

 「この上は全財産を」

 「いや通りすがりのついでですから、お気になさらずに」

 「シナーン、お礼はしたか」

 「いやまだ」


 どのような関係なんだろう。この人たち。

 「母方の祖父になります」

 へえ、そうか。話をしたから早く逃げよう。

 「それじゃまた明日」

 面倒だからバトルホースのところまで転移。すかさず大テントまで転移した。


 「消えた」

 「お消えなさったと言え」

 シナーンとオットーの会話である。


 大テントに戻った。ちょうど頃合いが良かった。少しずつ起き出している。

 「ゴードンさん、話はして来ましたが、昨日助けたお爺さんがあのオアシスの代表のシナーンさんの母方の祖父で少しうるさいかも知れません」

 ゴードンさんは笑っている。


 テントを収納して急に暑くなるといけないからまずはテントの冷気を遮る。徐々に暑くなって来たぞ。みんな起きた。


 「ではみんな起きたな。水を飲んだら出発だ。順番は変わらずだ。ベーベーマンとベーベーに続いて、スパエチゼンヤ組だ。お願いする」

 ベーベーマンとベーベーに続いてスパエチゼンヤ組、そのあと順番に出ていく。

 僕は大テントなどを収納し後からついていく。

 あれ、ブランコにジェナとプリメーロ、プリメーラが乗っている。みんな楽しそうだ。


 午後も順調に進み、オアシスが見えて来た。あまり近づきすぎるとうるさいだろう。2キロ程度離れたところに大テントを設置。もちろんいつも簡易トイレ付きだ。

 さて大夕食会だ。今回は最初からばらけているぞ。いい傾向だ。お酒なしの大宴会だな。


 エレーネさんのところもエレーネさんたちの収納から食事をもらったら、各自それぞれ仲が良くなった人たちと食事をしている。エレーネさんはエチゼンヤさん夫妻と懇談している。


 僕?僕はブラブラとみんなのテーブルを巡っています。明日、市場で買い物だからね。袋に塩を入れて配っています。買い物の軍資金ですよ。子供の分は親に渡しておきます。小さな空の袋をつけて。小遣いだから親から相応しい量の塩を渡して貰えばいい。エレーネさんにも当然渡します。もちろんゴードンさんやエチゼンヤさん夫妻にも。


 大人に渡した一袋は、標準的な家庭が一ヶ月暮らせるくらいの価値があるだろう。十分買い物をしてもらえればいい。


 明日は、ソーロクオアシスの市場巡りだから朝はゆっくりでいいと話しておいた。

 ベーベーにも飼い葉と水を十分に与えました。


 遠くから見ていますね。ソーロクオアシスのみなさん。でも来ませんね。

 夕食が終わったらさっさと寝ましょう。あれみなさん大テントの下にテントを張りだしました。いいですけど。


 僕たちもテントです。お狐さんが来ました。お狐さんの話を聞いて眠ります。イヅル国は平和のようです。


 翌朝、日が昇ってしばらくしたらみなさん起きて来ました。朝食後ゴードンさんの訓示だ。

 「今日はソーロクオアシスの市場巡りだ。シン様からお小遣いをもらったので各自好きな買い物をしてもらいたい。ただし、わかっていると思うが、ここにいるのはすべてシン様の関係者だ。なにかあるとシン様の責任が問われる。各自十分注意して行動してもらいたい。昼食が終わったらオアシスを抜けた場所が集合場所だ。さらに先に進む。では楽しんでくれ」


 テントを片付け、三々五々オアシスに向かっていく。僕らも大テント、簡易トイレを収納し、砂漠をきれいにして出発だ。


 僕はシナーンさんがうるさいと面倒だからオアシスはパス。

 市場は大賑わいのようだった。

 トラブルもなく全員オアシスを抜けて来た。


 予定の2泊をこなして、日の出前に全員を送り返して、次班を最初のスタート地点に連れてくる。エレーネ女王さんと執事長、侍女長は交代せずだ。収納は3人しか使えないからね。プリメーロとプリメーラは今回もいるらしい。ジェナと遊んでいる。


 同様に体験してもらい、最後の班も無事に体験が済んだ。全員を送り返して砂漠の体験、別名オアシス市場買物付懇親会二泊旅行が終わった。


 ラシードさんたちの訓練は4日休んで5日後からとすることにした。ゴードンさんにも話しておいた。


 ラシードさんに訓練は5日後に開始、日の出前にラシード屋敷前まで迎えに行く。テントはラシードさんの収納に入れて持参、剣も持参とエスポーサとドラちゃん、ドラニちゃんに告げにいってもらった。ベーベーも一緒に連れ帰ってもらった。

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