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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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353 ゴードンさんの砂漠体験事前調査 (2)

 もうおやつの時間だ。ジェナとドラちゃん、ドラニちゃん、ブランコが起き出した。腹時計は正確だ。

 おやつにして、さて出かけようかな。


 ジェナがゴードンさんが脱いだ靴からスコーピオンを引っ張り出した。涼んでいたらしい。

 「おじたん。これ要る?」

 「それはなんだ。昔海老をみたことがあるが似ているな」

 「全く僕もそう思った。茹でれば赤くなるかと思っているんですが。一応こいつはスコーピオンと言って、尻尾の針に刺されるとイチコロです」


 「おとたん、熱い湯に入れる?」

 「いれません。よく見ると出汁も取れそうもない」

 ほっとしているぞ。スコーピオン君。


 「ジェナちゃんは持っていて大丈夫なんかね」

 「この子はね、尻尾の針でくすぐってくるの」

 ゴードンさんが引いている。

 「ポイしておきなさい」

 ポイした。良い子だ。


 お狐さんが前足でちょいちょいと右へ左へと転がしている。悪気はない。珍しいのだろう。スコーピオン君は硬直してしまった。


 「砂漠で靴を脱いだら確認しないと何が入っているかわかりません」

 「なるほど、勉強になった」


 ゴードンさんが靴を振るっている。出てきました。毛むくじゃらの蜘蛛。こいつら仲がいいのかね。スコーピオンがいるといつもいるぞ。

 早速ジェナが捕まえた。


 「ジェナが持っている蜘蛛も刺されるとイチコロのようです」

 ゴードンさんがまたまた引いてしまった。


 「いつもは蛇も出てくるのですが、今日は、ーー居ますね。やはり」

 テントの柱を登ったのだろう。涼しい布のそばで休んでいます。ジェナがふわふわと浮いて捕まえました。


 「この蛇も咬まれるとイチコロだそうです。蜘蛛も蛇もポイしておきな」

 ジェナがポイした。お狐さんは蜘蛛と蛇を前足でちょいちょい。スコーピオンを入れて三匹が仲良く硬直してしまった。涼しいと思ったら化け物の巣だったと思っているね。放っておこう。


 日除を収納して、ゴードンさんにはベーベーマンに乗って貰おう。傘はもういいね。収納。

 「ゴードンさん、砂漠の船のベーベーに乗ってみてください。ベーベーが座っているとき乗ると、立つ時に前後に体が振られます」

 ゴードンさんが座っているベーベーマンに跨った。ベーベーマンが立ち上がる。体が前後に振られるはずだがさすが、うまく揺れを殺した。


 「おお、これは高いな。眺めがいい」

 「普通のベーベーは砂漠を出るのを嫌がります。さっきの森からだとアレシアス王国の王都あたりが限界です」


 ベーベーは何も言わなくてもソーロクオアシス目指して歩いていく。

 「ベーベーに道がわかるのかね」

 「このベーベーはこの砂漠をよく知っていますから間違えずに目的地に行くことが出来ます」

 「賢いんだな」

 ベーベーマンがベーベー言って嬉しそうだ。


 僕はアカを抱っこしてベーベーだ。

 ブランコにはエスポーサがジェナを抱っこして乗った。ドラちゃん、ドラニちゃんはバトルホースに乗ったりこっちにきたり、エスポーサのところに行ったりしている。


 三時間ほど乗って早めだが夕食。日が落ちて行く。砂漠が冷えてくる。

 「これは日が落ちると急に寒くなるな」

 「はい。昼と夜の温度差が甚だしいです」


 今度は歩きだ。

 しばらく歩くと星空の下、黒々とした森の中に灯が見えてくる。

 「あれがソーロクオアシスです。もう少しです。急ぎましょう」

 ソーロクオアシスに入り、最初にテントを張った小さな広場に着いた。


 「体験の時はここでは狭いから、オアシスの手前か、越えたところにテントを張りましょう。今日はここにテントを張りましょうかね」

 あれ、誰かがこちらを見て走って行った。すぐシナーンさんが来た。


 「シン様。こんばんは」

 「こんばんは。久しぶりです。ここにテントを張っていいですか」

 「いや、是非拙宅にお泊りください」

 あれあれ。ずいぶん対応が違うぞ。坊主から出世した。どうしたんだ。


 「今日は砂漠を見たこともない人に砂漠を体験してもらおうとその事前調査ですから、ここで結構です」

 「いやいや是非拙宅に。この前カーファに人質になっていた縁戚の娘二人を助けていただいたお礼をしていませんし」

 アカがしょうがないんじゃないとおっしゃっています。そうですか。


 「それじゃ明日の日の出前までお世話になります。朝食はいりません」

 泊まると聞いてホッとしているね。シナーンさん。誰だ、余計なことを吹き込んだ犯人は。多分ラシードさんだな。どうしてくれよう。


 「こちらです」

 シナーンさんの屋敷に連れて行かれた。ラシードさんの屋敷ほどではないが立派な屋敷だ。使用人がずらっと並んでいる。最敬礼されてしまった。バトルホースとベーベーは馬丁が連れて行った。流石に家の中には入れない。


 応接室に案内された。奥さんも来たよ。

 「この間は縁戚の娘二人を救出していただき、またカーファの傀儡の代表を裁判にかけていただき誠にありがとうございました。おかげさまをもちまして、このオアシスが救われました。このご恩は」

 長くなりそう。

 「いや、通りがけにしたことで、お気になさらずに」

 「そういうわけにはまいりません。今日はごゆるりとお過ごしください」


 3人組とジェナが飽きてきた。

 「あれ、これは気がつきませんでした。すぐお茶菓子を用意します」

 奥方があわてて奥に走って行った。

 すぐお茶菓子が出てきました。見たことのある娘さんが二人見えた。


 「シン様。エスポーサ様。皆様方。この前は助けていただきありがとうございました。ベーベーも頂戴し感謝のしようもありません」

 あの時の娘さんだ。綺麗になっているぞ。アカが笑っている。マリアさんがいると肘で突かれるところだ。


 「無事で何よりでした。ベーベーも元気と思います。なにかお困りのことがあれば遠慮なくラシードさんに言ってください。僕に伝わります」

 ふふふ、ラシードさんに振ってしまった。僕に言ってくる前にラシードさんが解決しなくてはならないぞ。汗をかいてもらおう。余計なことを言った罰だ。あははは。

 3人組とジェナはお菓子に夢中だ。美味しいみたいだ。


 「ありがとうございます。何かありましたらすぐラシードさんからシン様に伝えてもらいます」

 あれ最後の方に力が入っていたような気がする。まあいいか。


 「そうそう。ご紹介しておきます。こちらは僕たちの国の外交担当のゴードンさんです。お見知り置きを」

 「シン様の国と言いますと?」

 「シン国です」

 「神国ですか。どこにあるのでしょう?」

 「滅びの草原の中です。なかなか来づらいようですからアレシアス王国の先の方のリュディア王国のスパエチゼンヤ内に名誉総領事館があります」


 「砂漠の民は、隊商以外砂漠から出ることはほとんどありません。せいぜいアレシアス王国くらいです」

 「そうですか。こんどアレシアス王国の隣の亡国の通れなかった草原に石畳の道ができましたので、リュディア王国まで来るようなことがありましたら歓迎します」

 「そのときはよろしくお願いします」


 ひとしきり話をして夕食をいただいて、客間に案内される。広い部屋で寝室と2部屋になっていた。ゴードンさんは一部屋だが帰りたいようだから観察ちゃんが送って行った。明日の日の出前にはまた観察ちゃんが連れて来てくれる。ぼくらも神国へ戻った。

 やれやれ肩が凝る。ベーベーとバトルホースには観察ちゃんがついているからなにかあったら連絡が来るだろう。


 シナーンの館では、シナーンと奥方が話をしている。

 「あの狐のようなそうでないような方はなんなのでしょう」

 「わからん。初めて見る。あの小さなドラゴンも大きくなるのだそうだ。だから迂闊には聞けない。大狐になって踏み潰されては困る。ラシード様が来たら聞いてみよう」

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