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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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351/499

351 砂漠体験ツアーの企画

 僕暇だなあ。今日は何をしようか。朝食を食べながら考える。

 塩の板は重いから、積み下ろしが大変だろう。ラシードさんの隊商でも鍛えようかな。


 みんなにも砂漠を体験してもらいたいし。スコーピオンを退治したときとカーファを潰した時に砂漠には来た人はいるけど、砂漠そのものは体験していないから。点だからね。今回は線で体験してもらおう。


 エレーネさんのところの600人も呼ぼうかな。

 アカがいいんじゃないとおっしゃっています。


 体験は二泊三日で砂漠に慣れてもらえば十分だろう。三日ずつ3班だな。


 体験内容はどうしようか。ゴードンさんに明日から三日間僕たちと砂漠で過ごしてもらって考えてもらおう。そうすると体験開始は四日後だな。二百人衆はほっとけばいいね。自分たちで体験するだろう。ということは、実質、エレーネさんのところと神父さん連中の体験を見ればいいんだな。


 基礎はできているんだから、砂漠の自然に慣れてもらえればそれでいいかもしれないな。昼間の暑さ、夜の寒さ。砂丘の登り降り。あったことはないけど砂嵐。ジェナの友達とか知ってもらおう。


 ベーベーにも乗ってもらおう。ベーベーはラシードさんから借りればいいな。この間の55頭を訓練の名目で借りよう。

 物見遊山だな。うん。たまにはいいか。


 じゃあ、最初に明日から3日間、ゴードンさんと砂漠で体験。行ける人は来てね。

 それが終わったら、二百人衆、神父さん、エチゼンヤさんなどの体験を二泊三日ずつ、3班で行う。三日目は、夜明け前まで。転移で送り、その足で次班を転移させてくる。詰めて行おう。食事はみんな収納があるので各自持参。

 最初の班は、4日後の日の出前、泉の広場または、エチゼンヤスパ門前に集合。


 じゃ、二百人衆はステファニーさんから話してもらおう。バトルホースも連れて行こう。飼い葉も頼もう。二百人衆にそれも頼もう。


 「ステファニーさん、3班にわけてお願いね」

 「わかったわ。家族も連れて行っていいのかしら」

 「いいよ。プリメーロとプリメーラは来るだろうし、他の人も来てもいいよ。せっかくだから来た方がいいかもね。そうそう砂漠を体験することはないと思う。いいチャンスだ」


 ゴードンさんと三馬鹿はマリアさんに行ってもらおう。観察ちゃんに転移で連れていってもらおう。神父さんだけでもずいぶんいるぞ。30人+12人+6人で48人だ。それにはハビエル神父は入っていなかったか。それとトルネードだな。こちらも3班に分けてね。ゴードンさんは連れて来てね。

 「エチゼンヤさん夫婦はどうかしら」

 「いいよ。岩塩を運ぶのに砂漠近くの純情女王の国に行くから、砂漠の話も出るだろう。来てもらった方がいいかもね」


 その体験が終わったら、ラシードさんたちの訓練に入ろう。

 ラシードさんたちの訓練は、軍人ではないから、二百人衆を頼むまでもないな。柔らかくやろうかな。

 訓練担当は、ゴードンさん、三馬鹿、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃんだな。強面神父さんに何人か来てもらおう。手取り足取りだろうから人数がいるかも知れない。10人くらいかな。

 女性がいればマリアさん。


 ラシードさんにはエスポーサにお使いに行ってもらおう。ラシードさんたちはドラちゃんが好みのようだからドラちゃんに乗って行ってもらおう。

 「じゃ15日後くらいから一ヶ月くらいでどう?って聞いてきてくれる。女性も希望者がいればどうぞだよ。それとベーベーを55頭4日後から借りてくれる」

 ドラちゃんとドラニちゃんが人化したエスポーサを乗せて飛んでいった


 みんなよろしく。

 あれ、エレーネさんのところは誰が行くんだ。僕か。


 ラシードをはじめ、隊商に出るまでの束の間の準備という名の休息だ。

 「ドラゴンだー」

 誰かが叫ぶ。ドラゴンが2頭悠々と空を飛んで近づいてくる。ベーベーはとうに伏せてしまって震えている。


 ドラゴンが下を見る。迂闊に動けば握りつぶされそうで皆動けない。一頭は空を舞い、一頭が徐々に高度を下げてくる。誰かがドラゴンから飛び降りた。ラシードの前にスタッと着地した。


 「こんにちは。みなさんお揃いで。お久しぶりです。エスポーサです」

 ラシードは口をパクパクしている。


 「今日はシン様のお使いです。塩板が重いですし、金目の岩塩を運んでいると知られると襲われることも十分考えられるでしょうから、みなさんには強くなってほしいとのことです。そこでシン様が特別にみなさんに訓練の機会を設けてくれるそうです。参加なさいますか」


 首を縦に振るしかないラシードであった。


 「そうですか。喜んで参加ということですね。100人くらいかしらね。一度にそんなに隊商に行かないでしょうけど。隊商に出る可能性のある人は出た方がいいですよ。女性も受け入れます。男女平等ですよ。来るもの拒まず。15日くらい後から一ヶ月ぐらいみておいてくださいね。15日くらいありますから、その間みなさんで参加者の朝昼晩の一ヶ月分くらいの料理を作ってラシードさんの収納に入れて持参してください。多少余裕があった方がいいですよ。食材でもかまいませんけど、調理も大変でしょう。開始日が近づいたら連絡しましょう」

 ふたたびコクコク首を縦に振るラシード。


 「それとお願いがあるのですが、砂漠の訓練に使いたいのでこの間のベーベー55頭を4日後から貸してもらえます?」

 三度コクコク首を縦に振るラシード。

 「ありがとう。ベーベーは後で迎えに来ます。ではごきげんよう」


 ドラゴンが急降下して来てあたりが翳る。エスポーサが音もなく飛び上がり、スピードをいささかも落とさないドラゴンの背に降りたち、ドラゴンは衝撃波を地上に叩きつけて急上昇、飛び去った。

 皆、衝撃波で倒れ込んだ。

 あわあわ言っている。


 ドラゴンが見えなくなってやっと人心地がついた。

 「隊長、まだ怒ってるっすね」

 「そのようだな」

 「どうするんですか」

 「訓練はやらねばなるまい」

 「殺されそう」

 「殺されはしないだろうが恐ろしいな」

 「なぜ受けたんです?」

 「お前、断れるか?」

 「断れません」

 「だろう。今死ぬか、後で死ぬかだ。訓練というからにはまさか殺されはしまい。それに塩板を運ぶからには前以上に襲われることもあるだろう。今のままでは危ういことも確かだ。シン様は考えてくれているんだろうよ。それに女性もいいと言ってたな。また誘拐されてはかなわんから、娘たちに声をかけてみてくれ」


 「ベーベー55頭は砂漠の訓練と言っていましたが何をするんでしょうか」

 「わからないが言われたら貸すより他しょうがない。悪いようにはならんだろう」

 「そうですね」


 さて行きますかね。エレーネさんのところ。アカとブランコとジェナで行ってこよう。

 転移する。エレーネさんの宮殿前だ。


 守衛さんから執事長さんに連絡が行きすぐ迎えが来て、宮殿内に案内される。

 いつかのようにエレーネさんが走って来た。

 ジェナを見て急に止まる。いつかの通りの反応だ。


 「こんにちは。今日はお誘いに来たのですが」

 「シン様、こっちです」

 応接室に案内された。執事長と侍女長も同席した。

 「ご無沙汰しています」


 「なんのお誘いでしょうか?」

 「今度砂漠体験をしようと思いましてね。皆さんと兵隊さんもどうかなと思いまして」

 「ぜひお願いします。シン様も行かれるのでしょうか」

 「もちろん行きます」

 女王さんが嬉しそうな顔になった。


 「四日後から3班に分けてもらって三日ずつ体験したいとおもいます。体験の三日目は夜明け前次班と交代です。兵粮は収納して持参して来てください。収納は時間停止なので温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままです」

 「わかりました。3班に分けておきます」


 「じゃ四日後、日の出前に宮殿前広場に集まっていただけますか」

 「承知しました」


 「それから砂漠の隊商の人を訓練したいので、いつぞや皆さんと訓練したお城の周りをお貸し願いたいのですが」

 「どうぞご自由にお使いください。いつからでしょうか」

 女王さんはシン様から頼まれたので二つ返事だ。

 「皆さんの砂漠体験が終わってからです。皆さんより少し柔らかい訓練を考えています」

 「シン様に鍛えていただいた兵で国軍をあの城の周りで訓練しています。今はちょうど交代時期で使っていませんので留守番の兵には話をしておきます」


 侍女がお茶とお茶菓子を持ってきた。

 足元にいたブランコが食べていい?と見上げるからいいよと頷いた。

 ジェナと美味しそうに食べる。


 「そういえばエチゼンヤさんは来ましたか?」

 「はい。来て倉庫二棟を購入して、店も市場に出して大賑わいです」

 「それはよかった」


 「宮殿のみなも買いに出掛けています。巨木マークの製品でないと、品質が全く違うので、それを知った国民も亡国の民もやってきます。アングレアのこちら寄りの方も亡国の草原が通れるようになって王都より近いから見えるようです」

 「魔物も出ないから来やすいのでしょうね」


 「それからエチゼンヤさんには塩もいただきました。シン様が発見したとおっしゃっていました」

 「ここは砂漠に近いし、砂漠のラシード隊商が来るから塩の卸しをするようですよ」

 しばらく四方山話をして宮殿を辞した。


 女王は今日はウキウキ。踊り出した。

 「シン様が来た、シン様が来た。一緒に体験、一緒に体験。シン様に頼まれた、シン様に頼まれた」

 執事長と侍女長は顔を見合わせ肩を落とす。

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