339 僕とアカは散歩 お狐さんが餅の話をしてくれる
午後はお昼寝。みんな人化は解いた。ジェナはブランコに寄りかかって寝てしまう。
ドラちゃんとドラニちゃんは抱っこ抱っこと言って抱きついてきた。可愛いねえ。そのまま寝てしまった。餅の食べ過ぎだろう。満腹して眠くなったのに違いない。アカが大きくなってくれたので寄りかかってうとうとした。
ステファニーさんたちは寝ませんよ。大人だからと思ったら、みなさん餅を食べ過ぎたらしい。椅子に座ってコックリコックリしています。そのうち寝室に行ってしまった。
一時間くらい寝てしまった。ジェナも起きた。
「あの餅というのは危険な食べ物ね。美味しくて食べすぎてしまう。満腹感が後で来る」
ステファニーさんの感想です。皆さん頷いています。
3人組とジェナは美味しい、美味しいだ。いいことだ。
「ジェナちゃん、あそぼ」
プリメーロとプリメーラだ。
ジェナがこっちを見る。
「行って来な」
「あそぼ」
ブランコとドラちゃん、ドラニちゃんも出ていった。
管理職の皆さんも出ていった。
残ったのは僕とアカ。
何時もの散歩。
ベーベーはまだ帰って来ていない。
畑の方に行ってみる。二百人衆が働いています。
あれ、水田の代掻きをしている。
「シン様、餅は美味しかったです。餅米をだいぶ使ってしまったので、田植えをしようと用意しています」
「美味しくて、みんなに喜んでもらってよかった。また餅つき大会をやろうね」
「餅米は任せてください」
「頼んだよ」
メーメーのところに行く。
メーメー寄ってくる。変わりはないようだ。
モーモーも変わりはないね。唾液ベッタリだ。
コッコは雛が少し大きくなった。元気に寄ってくる。座ってやるとピヨピヨ言って脚に登ってくる。よしよししてやる。ピヨピヨピヨピヨ賑やかだ。しばらく遊んでやった。
ミツバチの森に転移する。
こちらも元気だね。蜜を集める蜂が増えた。女王蜂さんが出てきた。もう十分蜜がたまったからあげると言っている。そうかい。ありがとう。後で二百人衆に来てもらうからよろしくね。撫でてやる。嬉しそうに巣箱に戻る。
お花畑のベンチに座る。アカを膝に乗せてお花畑を行き交うミツバチを見ていると果樹園の奥から二百人衆が出てきた。果樹ももう収穫できるようだ。籠にたくさん入っている。
「シン様。果樹が収穫できるようになりました。二百人衆に配っても十分です」
「それは良かった。スパエチゼンヤの二百人衆にも届けてね。それと女王蜂さんがもう蜜が十分たまっていると言っているから、あとで少しもらってね。蜂蜜用の瓶と蓋を作ったから、収納にプッシュしておくね。当分足りると思うけど、足りなくなったら言ってね」
「承知しました。蜂蜜はミツバチさんからもらって後でお届けします」
「はい、よろしく。明日から居ないからそれ以降でいいよ」
「わかりました。お帰りになったらお届けします」
ジェナはプリメーロとプリメーラの家に行っておやつをもらっていると観察ちゃんが言っています。そうですか。それでは家に帰る必要もなし。ブランコたちは見回りをしているらしい。僕らも見回りだ。アカとブラブラと歩いて二百人衆と一言二言話して歩いていく。天気はいいし、みんなと話せるし、いいねなかなか。ところどころにベンチを設置した。
夕方に家に戻る。すぐブランコら3人組が帰って来た。環状の森の外を一周して来たらしい。ジェナと観察ちゃんも戻って来た。みんなお腹が空いたと言っている。
オリメさんとアヤメさんが帰って来た。ステファニーさんとマリアさん、エスポーサも帰ってきた。
餅を食べたのに腹ペコさんが多いので今日は夕食が先。きっとお腹を減らそうと一生懸命働いたに違いない。お狐さんも観察ちゃんと戻って来た。
夕食はお狐さんのために二百人衆に雑煮を作ってもらった。僕らはいつもの夕食だ。
『わー。雑煮だ』
お狐さんが喜んでいる。
「雑煮を知っているのかい?」
『うん。イヅル国で新しい年に食べるの』
「そうか。僕たちはお昼にいっぱい食べたから、お食べ」
『うん』
「美味しいかい?」
『うん』
お狐さんは一生懸命食べている。食べづらいのだろう。ポンと人の姿になった。オリメさんが慌てて布を取り出して体にゆるく巻き付けてやった。アヤメさんが箸を取り出して渡した。お狐さんは布から手を出して箸をもって食べている。上手だ。
「神様、あのね。それから餅はお祝いの時食べるの」
「そうかい」
「それでね。お雑煮にしたり、中に餡子を入れた餅にしたりするの」
「餡子かい」
「そうなの。あずきという丸い豆を煮て甘い粉を入れて煮るの。甘いの。でも甘い粉がなかなか手に入らないから滅多に作らないの。砂糖って呼んでたの」
「そうか」
「それとかね。丸い赤い餅と丸い餅を作ったりするの。お祝いの紅白餅なの」
「色をつけた餅かい?」
「そうなの。餅をつくときに色の粉を入れるの」
「こんど作ってみようかな」
「うん。赤いのはお祝いなの。お餅はね、時々社にお供えしてくれるの。でも硬くなっているから、子供が来たら子供と焼いて食べるの。美味しいの。火は危ないから小川や泉のそばで焼くの。火はちゃんと消すの」
餅を食べ終わったらお狐さんはまたポンと元のお狐さんの姿に戻った。
夕食のデザートに二百人衆が今日収穫した果物が出て来た。美味しい。人の世界の果樹より大変美味しい。巨樹の森の果物とは比べ物にならないけど、これはこれで大変美味しい。エチゼンヤさんでも来たら出してやろう。
お風呂に入りながらお狐さんの話を聞く。何時ものように子供と遊んだという話を喜んでしてくれた。良かったね。うん、と答える。いい子だよほんとに。
砂糖はそのうち考えよう。
何時もの一日が終わった。何時までも平穏な日々が続いて欲しいね。




