324 ガーリー一味とブラックスパイダー壊滅作戦遂行
「戦闘開始」
ガーリー屋敷にステファニーさんが門を蹴破って入っていく。
「トールキー一族を亡き者にしようと企んだガーリー一味。義によってこの忍者鴇影が助太刀いたす。我と思わんものは出会え」
「同じく忍者シン影15名参上」
手向かう者は殲滅。ガーリーとその家族は生け捕り。あっという間に完了。
宿では突っ込んで来たブラックスパイダーの前にオリメさんとアヤメさんが立ちはだかる。
「忍者鴇影2名参上。主のベーベーを狙う不届きもの覚悟せよ」
「ベーベー、ベーベー」
ベーベーも特製狐面だ。嬉しそうだ。
二百人衆
「俺たちも観察ちゃんの中継で見たセリフだ。行くぞ」
「同じく忍者シン影15名参上」
決まった。
「狐面を被っておまえたちふざけているのか。やれ」
「プッ。チビが忍者鴇影だとよ」
ブラックスパイダーよ、それは禁句だ。観察ちゃんの映像を見ていた僕がつぶやく。
忍者鴇影の両拳が光を帯びてくる。眩しいくらいに。狐面からもメラメラと焔が。はてそんな機能があったっけ。とにかく大変怒ってます。
あっという間に二人で50名殲滅。怒りが大きかった。プッがいけなかったのだろう。ブラックスパイダーさんはまとまっていたのも不運だったね。
ブラックスパイダーさんは観察ちゃんが全て滅びの草原に転移させました。
出る幕がなかった15名とベーベー。夜の街を疾走し二手に分かれてアジトを目指す。
アジト襲撃班は、ベーベーと二百人衆の増援を得て周りを固め、エスポーサが薙刀をドンと突いて口上を述べる。
「忍者鴇影参上。我が主のベーベーを盗まんとするブラックスパイダー許すまじ。出会え」
怪しさこの上ない狐面忍者。それでもバラバラとブラックスパイダーの構成員が飛び出して来た。あっという間に薙刀の餌食になって滅びの草原行き。
二百人衆が、ベーベーがアジトに突っ込む。先ほど活躍できなかった鬱憤を晴らすよう建物の柱を切り飛ばし、または体当たり、蹴飛ばして柱を折って回る。ぐらぐら揺れる建物の中からたまらずブラックスパイダーが飛び出してくるが、あっさりと二百人衆に得物ごと両断される。
頭領と幹部は生け捕り。監禁されている女性もいた。救出後建物は崩壊し、アジトは壊滅した。
もう一箇所のアジトも狐面鴇影忍者ドラニちゃんが短槍をドンと突いて口上をのべ二百人衆とベーベーが突っ込んで、ブラックスパイダーを殲滅。囚われの女性を救出し、アジトは壊滅させた。
みんな過激だねえ。僕はアカを抱っこしています。ブランコは横になってジェナがおなかの毛に包まれて寝ています。時間が遅いからね。
観察ちゃんがお狐さんに今日は出入りがあるので行かない方がいいと言ってくれたそうです。気が利きます。お狐さんに修羅場を見せてはいけません。
さてこちらはどうか。
マリアさんと二百人衆20人は150名の賊を物ともせず、スパスパと切り刻んでいきます。もうほとんど残っていません。二百人衆は塀の外にいる賊の掃討にかかりました。
マリアさんが戻って来ました。
「押し入って来たものは殲滅。二百人衆が塀の外の賊を掃討しています」
「ありがとう」
奥さんと主だったものと外に出てみます。死屍累々だね。
奥さんと主だったものは蒼白です。中には口を押さえている方もいます。
二百人衆が戻って来ます。
「賊は掃討しました」
「ありがとう」
「私たちはシン様の僕ですからいつでもお命じください」
アカが二百人衆を神国に転移させます。
「死体はどうしましょうか。消しましょうか」
口元を押さえていた奥さんがやっと答えた。
「屋敷のものに見せてからお願いします」
奥さんについて来た人が従業員を呼びに行った。出て来た従業員は惨状を一目見るなり一様に蒼白になり、吐いている。
奥さんも夢ではないのを確認したかったのかもしれない。また全員があったことを正確に知ることが重要と考えたのかもしれない。
「お願いします」
それじゃみんな滅びの草原だな。今日は大盤振る舞いだ。
血潮、飛び散ったものは全て消しておこう。臭いも消す。元通りになった。塀の外も綺麗にした。
「ありがとうございます。我ら一族、助けていただき、このご恩、終生忘れず、子々孫々伝えていきます」
皆跪いた。
エスポーサからブラックスパイダーの頭領と幹部5人を捕虜にした。また捕えられていた女性を両アジトで計30人ほど保護したと連絡があった。
エスポーサが事情を聞くと、慰み者として、または子供を産ませるために確保していたことがわかった。家庭を持たず、こういう方法で次代のブラックスパイダーを確保していたらしかった。
アカに寝室で人化してもらって、女性の対応のために行ってもらった。
怒りが沸々と湧いて来た。急激に周りの温度が下がる。
アジト跡に転移して、頭領と幹部5人は生き木乃伊の刑に処した。足と手先からじわじわと木乃伊になっていく。首から下が全て木乃伊になっても生きている。徐々に頭も木乃伊になっていく。そこまで意識ははっきりしている。意識を失わせることはしない。木乃伊化の速度は非常にゆっくりだ。木乃伊化進行状態がよくわかるように裸にし、だれもさわれぬよう透明な檻に入れた。生きて最後まで苦しめ。
ブラックスパイダーの残党も全て刈り取った。
ジェナがムクッと起きた。
「おとたんが怒っている。大変だ」
ジェナはブランコに跨って玄関に行く。
屋敷の人がガタガタ震えてひれ伏している。頭も体も真っ白に霜がついている。
「おとたんが怒った。だから寒くなった。あっためてあげる」
屋敷の人に手をかざした。
「あったかくなれ」
霜はあっという間に消えた。だが屋敷の人は血の気が引いて真っ白になって震え続けている。
「だれかがおとたんを怒らせた。みんなは心配ない。お家に入ってあったかくしてね。おとたんは、あっちか」
ジェナがブランコと転移していく。
残された人々は平伏したまま震え続けた。とても動けない。動けば怒りに触れて分解されそうだ。
「おい、寒くなったぞ。なんだ。おかしい」
ラシードが叫ぶ。
ベーベーが怯えて騒ぎ出す。
「冷気が盆地の砂漠を満たし溢れて押し寄せてくるぞ。ベーベーを抑えろ」
総出でベーベーを宥める。
「さっきはブランコ様の遠吠えでしたね」
「だれかシン様を心底から怒らせたのかもしれないな。恐ろしいな。広大な砂漠一つ冷気で覆ってしまう」




