表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/499

032 巨樹の森に入り竹林下の河原まで歩く

 さて日付が変わっていよいよ巨樹の森へ。


 「さあ入るよ」

 少し抵抗があって、外の世界のものが落ちる感じ。続いてマリアさん。バングルが光った。通行証みたいなものかね。入ってこられた。ブランコとエスポーサは一緒に入ってくる。やはりアンクレットが光った。最後に不安そうなドラちゃんを乗せてアカが入って来る。ドラちゃんのアンクレットも光った。結局、僕とアカのバングル・アンクレットは光らなかった。元々中の人だからね。


 「川そばの竹林まで行こう。竹林下の河原で一泊するよ。巨樹の森には生き物はいないからのんびり行こう。アカ、案内して」

  今回は先頭がアカ、次に僕とマリアさん、ブランコとエスポーサだ。ドラちゃんはふわふわと前に行ったり後ろに行ったり、時々アカに乗せてもらったりしている。


 『もしもーし、世界樹さん』

 『久しぶりだわね。もっと連絡して来てもいいのに』

 『色々ありすぎて。ところでブランコからドラちゃんまで、ここの水とか果物は食べて大丈夫?』

 『シンとアカと違って、彼らがバングルやアンクレットをしている限り水も果物等も並の効能のものよ。バングルやアンクレットを外せば本来の効能を発揮して彼らは耐えられず死ぬわね。この森のものはシンとアカ以外は収納できないわ』

 『わかった。皆んな一緒に食べたり飲んだりして出来てよかった。ありがとう』

 『珍しいわね。お礼なんて』

 『いつも感謝しているよ。じゃまたね』


 途中休憩したり昼食を食べたりして竹林に着いたのはまだ日が高いうちだった。20キロくらい歩いたかな。


 「夕方まで時間があるから皆んな遊んでていいよ」

 わーーいって言いながら、ブランコとドラちゃんが河原に降りて行った。水遊びを始めた。アカとエスポーサは竹のてっぺんに飛び付いては竹を咥えてしならせて遊んでいる。僕は水筒をいくつも作ったよ。エチゼンヤさんにだけは魔の森の泉の水を入れてやろうかな。今頃どうしているかな。版画制作の試行錯誤をしているかな。


 「マリアさんこうやって作って収納しておくと世界樹さんが熟成してくれるんだ。マリアさんやエチゼンヤさんが旅するとき、水はどうしているの?」

 「基本は皮袋に弱いワインを入れて持ち歩きます。水は腐りますから水筒に1日分を入れておくのがせいぜいです」

 「魔法で出せないの?」

 「たまに出せる人はいますが、まずいです。馬の飲み水くらいにしか使えません」

 「そうか」

 「旅先で美味しい水が飲めるのは泉だけです。川ですと沸かして飲むようです。水場としての泉は大変数が少ないです」

 「じゃエチゼンヤさんに魔の森の泉の水を水筒に入れてやろうかな。あと、収納袋はどうだろうか」

 「あれば助かることは助かりますが」

 「アカ、エスポーサと蔦を少し取って来てくれる?」

 ワンて言ってエスポーサと駆けて行ったよ。

 「あまり容量が多いと問題が」

 「折角やるんだから、そうだなあ、馬車一台分くらいでどう?」

 「その容量は今のところ帝国皇帝が一つ持っているだけです。持っていることがわかったら襲われ奪われそうです」


 「でも強いでしょう、エチゼンヤさん。セドリックさん、バントーさん。マリアさんも、皆強い。普通じゃない。音を立てず暗躍する影の者じゃないでしょうか」

 「バレていたんですね。影の組織です。お話しましょう」

 「話していいんですか?」

 「折をみて話す様に頭領から言われています。今が良い機会です。絶対誰も聞いていないから」


 アカとエスポーサが蔦を取って帰ってきた。一緒に聞いててね。ブランコとドラちゃんはまだ聞いてもわからないだろう。川の中で相撲を取っているよ。


 「あら、アカとエスポーサも聞くの。じゃ聞いてね」

 「この二人はよく話が分かりますから聞いておいてもらった方が良いです」

 「ご承知の様にエチゼン ローコーはエチゼンヤの前の当主です。実はローコーは先の国王の同腹の歳の離れた弟です。兄弟仲は大変よく、国王のただ一人の弟として政務を期待されていたのですが、体を動かすのが好きでじっと政務を執っていることを嫌ってあちこち旅をしていました。そのうち国王も諦めてその代わり影の組織の長を任されました。性があったのでしょうね。エチゼンヤ商会を立ち上げ、各地を巡って情報収集・操作と商売を行なっておりました。時には外国へも行きました。影の組織としてはエチゼンヤの支店が本部で王都にある本店が支部となります。若い子を本店から受け入れているのは影の組織の一員としての教育も担っているからです」

 「なるほど、そうだったんですね」


 「最初に出会ったときは影の仕事だったんですか」

 「いや、あれは普通の商売です。護衛も外部に依頼した人たちです。普通の商会の様な行動もしなければならないので、近場への商売ではよく護衛を外部に依頼します。襲われるような場所ではなかったのですが運が悪かったです」


 「護衛はさほどの腕とはみえませんでしたがそう言う理由だったんですね」

 「はい。ローコー、影の組織では頭領と呼んでいますが。頭領も強さを見せてはカムフラージュが台無しですから大変だったと思います。でも魔物の数が多かったようですから頭領一人では危なかったです。3、4頭倒せれば良い方でしょう」

 「なかなか頭領に厳しい」

 「護衛四人で一頭も倒せませんでしたので、数頭倒せれば驚異的な強さです。頭領は一頭一頭よりは強いですが、数の多さで必敗です。シン様は命の恩人です」


 「今でも影の活動をしているのですか?」

 「頭領として落ち着いて本部に居ればいいものを、セドリックとバントーさんをかわるがわる連れて出かけ、影の仕事のついでに商売をしています。幸い今は版画に熱中している様ですが」


 「それじゃ、収納サイズは小さめに、商売用に見える巾着型の収納袋にして、頭領とセドリックさんとバントーさんに渡しましょうかね」

 「いいんですか。貰いすぎの様な」

 「大事なマリアさんをもらってしまったのでお返しです」

 マリアさんにぶたれた。恥ずかしがって河原に行ってしまった。


 竹水筒と小さめの収納袋を作った。だいぶ上手になった。空間庫に収納する。これで明日にはきちんと水筒と巾着型収納袋になっているだろう。


 アカ、エスポーサ、河原に行こう。夕食にしなくちゃね。

 河原に露天風呂を出してマリアさんとエスポーサに先に入ってもらう。テーブル、椅子と食材などいつものセットを出した。そのうち圧力釜を作ろうかな。


 今日はテントも出す。河原は石だらけだからね。ずっと前にエチゼンヤで購入したテントだ。空間庫から出し設置だ。おや、見かけは二人用だが、中は異様に広い。進化した。全員入れる。どうしよう。マリアさんなんて言うかな。


 考えているとマリアさんとエスポーサがお風呂から出てきた。じゃ交代でお風呂に入ろうかね。エスポーサ、なんでマリアさんと一緒なの?だってご主人とアカ様を除いたら唯一の大人だから。へえ、ブランコは大人じゃないの?あれはまだまだ精神的に成長していない。へえ、そうなの。確かに川でドラちゃんと遊んでいるね。


 「おーい、ブランコ、ドラちゃんお風呂に入ろう」

 お風呂で遊ぼ、お風呂で遊ぼだって。確かに大人じゃないね。でみんなでお風呂で遊ぶわけだ。楽しいね。あれ、僕もアカも大人じゃないか?まあいいか。みんなと仲良く遊ぶのは楽しいからね。


 十分遊んで夕食を食べて片付けて、さて問題のテントだ。

 「マリアさん、今日は河原で石がゴロゴロしているのでテントを張りました。中は広いのでよかったら一緒にどうですか?」


 テント、テントとブランコとドラちゃんが突撃する。アカもエスポーサも後に続く。アカが頭を出した。本当に皆んな入れるよだって。

 「はい、一緒に寝ましょう」

 躊躇なく返事をしてくれた。良かった。


 中は何もないけど、床は平らで柔らかい。ベッドもいらないね。毛布を出そう。この頃作れるようになったんだよね。頭の中で考えるだけで出来てしまう。それで大きな毛布一枚。へへへ。


 横になって毛布をかけるとアカが右、マリアさんが左に入ってくる。ブランコとエスポーサは頭のあたり。ドラちゃんはもそもそとお腹の上。なんだか形が決まったな。頭の中は35歳ピンク色だけど残念、すぐ眠ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ