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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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308/499

308 野宿していたら隊商が来てトールキー族長と知り合った

 隊商宿は昨日はブラックスパイダーに襲われることもなく無事だったようだ。


 湖を離れるとまた砂漠です。1日歩いても砂漠。でも何となく涼しい。時に隊商とすれ違うが、普通の隊商だね。賊ではない。やっぱり涼しいんだろう。昼間でも歩いている。夕方になった。

 ブラックスパイダーとすれ違うといけないから、今日は久しぶりに野宿だな。マリアさんに連絡しておいた。


 隊商路から少し外れたところにテントを張った。まずは夕食だ。

 テント前にテーブルを出して、二百人衆が作ってくれた料理を出します。わかっています。観察ちゃんの分も用意してあります。


 ベーベーにはまず水。飼い葉桶いっぱいに魔の森の水をあげます。それから飼い葉、にんじんなどを飼い葉桶いっぱいに出してやります。

 ではみんなでいただきます。ベーベーはベーベー言って食事です。


 ジェナはエスポーサが面倒を見ています。面倒を見なくても大丈夫そうだけどね。面倒を見る方も見られる方も嬉しそうだからいいのだ。観察ちゃんもちゃんといます。ちゃんといるというのもおかしいけどね。昨日は何を食べたの。木の実があちこちあって、珍しい木の実もあって歩き回るのが楽しかった。そうですか。それは良かった。

 食事が終わって片付けてさてテントで就寝。というところで隊商がこっちにやって来ました。


 「坊主、隣にテントを張っていいか」

 「隣ですか?」

 「それは常識程度には離すから心配するな」

 「そうですか。誰の土地でもないようですので僕らがあれこれいうことはできませんが、お互い気持ち良い距離を保ちましょう」


 「わかった。坊主たちはどこへいくのか」

 「おじさんたちが来た方に行ってみようと思います」

 「何で歩いている」

 「旅です。諸国漫遊」

 「諸国漫遊か。面白いことを言う」


 「おじさんたちは」

 「俺たちは隊商だ。お前さんたちが行こうとしている方に緑の回廊がある。そこから来てこれからディースに寄ってこの砂漠の端に沿って、先の方のオアシスに行くんだ。ヨーセキ、ショーエンに寄って、ウータンオアシスの手前で川に沿って砂漠を横断して、元に戻るんだ」


 「へえそうなの。イヅル国は行かないの?」

 「あそこは国が小さい。それにラシード族長が寄っているからな。ラシード族長の縄張りだ」


 「縄張りなんてあるの」

 「小さいところはな、隊商が次々寄っても商売にならない。何代にも渡って付き合いがある隊商の方が必要なものも分かるしいいこともある。ラシード一族は公平だからな、他の隊商が行かないからと言って高く売りつけることはない。むしろお得意様割引をしているくらいだ」

 「なるほど」


 「それにイヅル国にはお狐様がいてな。俺たち無作法者には敷居が高いのよ」

 「そうなの」


 エスポーサがお茶を淹れて持って来た。

 「どうぞ飲んでください」

 「おう、いただこう。旨いな」

 「それは良かった。隊員にも淹れましょうか」

 「たのまあ」

 エスポーサがお茶を淹れて隊員に配っている。美人すぎてドキマギしているな。近づくと顔がこわばる。面白い。


 「俺たちはたいていディースに寄って引き返すんだ。ただ何年かに一度顔つなぎもあってウータンの手前まで行って砂漠を横断して帰るんだ。色々情報も仕入れられるしな。情報の交換市だな」


 「そうなんだ。ウータンオアシスは潰れたよ」

 「なんだと、本当か。あそこは裏で色々やっている噂があるが、千人隊というのがあって、誰も手を出せず被害にあっても泣き寝入りだったが。俺たちもウータンオアシスの手前の小さなオアシスによって、川に沿って砂漠を横断していたんだ」


 「寄らなくて良かったね。あそこは悪人ばかりだった。普通の人は何人もいなかった」

 「悪人ばかりだったか。おれは緑の回廊のトールキーという。坊主は」

 「僕はシンだよ」

 「これをやろう。緑の回廊に行ったら、これを見せてくれ。俺の一族が歓迎する」


 また族長のナイフだよ。族長ナイフコレクターって言われないだろうな。

 「ありがとう。これをもらってくれる?」

 ラシードさんにやったのと同じナイフだ。


 「このナイフと同じ拵えの剣、ナイフを持っている人に僕からナイフをもらったと言ってもらえれば良くしてもらえるけど、潰れオアシスの手前を曲がってしまうとほとんどいないな。潰れオアシスを越えてその先に行くと役に立つと思うけど」

 「そうか。ありがとうよ。テントが張り終わったから行くわ」


 隊員は貴重な水でお茶碗を洗ってエスポーサに返している。ペコペコしているね。面白い。

 僕らはテントの中。


トールキーと隊員が話している。

 「お前ら鼻の下を伸ばしているんじゃない」

 「それが隊長、一見したところ美人で鼻の下を伸ばしたのですが、お茶を配られた時に背筋が寒くなってしまって、お茶碗も貴重な水を使って洗って返しました」

 「そうか。そうかもしれんな」


 「お茶もうまかった。俺たちの回廊の交易品のお茶はただの色付き水だ」

 「そこまでひどくはないが、確かに飲んだことがないな。売れば大儲けだ」

 「飲んでよかったのでしょうか。水はよかったでしょうか」

 「いい。しょうがない。あの連中には人の気配がない。あの小さい子にもない。付き従う、犬、白い狼にも動物や魔物の気配がない。ベーベーも同じだ」

 「人ではない?動物でも魔物でもない?」

 「お前たちが感じたことは正しいと思う」


 「族長のナイフは渡して良かったんでしょうか」

 「ああ、むしろ渡して良かった。お近づきになれて良かった。だれかナイフを出せ」


 シンからもらったナイフで枝を削るようにナイフを削った。スッとナイフが切れた。

 沈黙が支配する。

 「明日は気をつけろよ」

 全員頷いた。

 全員大人しくテントに入って寝た。


 僕も寝ます。あれ、お狐さんが来た。よしよし、いい子だ。撫でてやります。頭の上にいたブランコはどかされてしまいました。いつもの足元へ。ドラちゃんとドラニちゃんにちょっとどいてもらってブランコをヨシヨシします。持ち直したようだ。

 ドラちゃんとドラニちゃんはすぐ僕のお腹に乗ってきます。いい子いい子しましたよ。

 観察ちゃんも胸の上に転移してきましたから撫でます。それから足元に転移。出入り口が近い方がいいみたい。色々観察したいのでしょう。

 ジェナが胸の上に登ってきました。撫でてやると満足してエスポーサの腕の中。

 みな落ち着いたので寝ました。

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