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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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306/499

306 城壁都市ディースにて 人身売買一味を片付ける

 観察ちゃんの案内でまだ暗い道を走っていく。暗いけど誰も困らない。大きな屋敷についた。儲かっているみたいだね。人身売買。


 塀を乗り越え忍びこむ。あまり騒ぎを起こしたくないな。みんなで音を立てないように襲いかかる。手当たり次第滅びの草原行き。

 ドラちゃんとドラニちゃんが思う存分短槍を振るう。音を出さないようにね。一瞬で片付くから音も出ないか。お亡くなりになった方は全て滅びの草原行き。血飛沫も綺麗にしておく。

 足首がなくなった方々とかそのお友達もいたがみな滅びの草原行き。


 屋敷の中には囚われている人を除き誰もいなくなった。

 さて囚われ人を救い出しましょう。

 簡単な鍵のついた部屋だ。外から開くが中からは開かない

 ドアをあけて誘拐された人に外に出てもらいました。事態がわからないのでしょう。混乱しています。こういう時はマリアさんに任せます。

 綺麗な部屋を見つけてそこで話を聞きました。一人を除いてこの街の人でした。残る一人はイヅル国の人。


 まずはこの街の人たちに自宅に帰ってもらいましょう。マリアさん、ステファニーさん、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃんに家の近くまで送って家に入るのを見届けてもらいます。誘拐された人の中に友達同士の人もいたから何人か一緒に連れていって、一回で済みました。


 残るはイヅル国の女の子ですが、お狐さんと観察ちゃんが届けてくれるそうです。女の子はお狐さんと言って抱きついて泣いていてお狐さんがぺろぺろしてやっているので大丈夫でしょう。

 お狐さんと観察ちゃんの収納に人用の食事をたくさんと食器の類、生活用品、砂漠の泉で汲んだ水の竹水筒と組み立て済みのテントを入れてやりました。風があったらポンポンとテントとロープで繋がった杭を打ち込めば良いようにしておきました。


 家の前に札を立てておきます。


 ここは人身売買の館

 心正しき官憲以外立ち入りを禁ず

           シン


 ではさっさとこの街を出ましょう。夜も明けて来ました。城門も開いたようです。出る時はなにもチェックがありません。


 お狐さんと女の子は砂漠に通じる道を歩いて行きます。いざとなれば観察ちゃんが転移してイヅル国に連れて行ってくれるでしょう。お狐さんも自分の分身のところには戻れるからお狐さんでも良いし。


 僕らはどうしようかな。ぐるっと城壁にそって入り口の反対側に出て先に進むか、砂漠に戻ってラシードさんのオアシスの反対側に進むか。どうしようかな。

 ブラックスパイダーとか言っていたな。面白そうだから行ってみよう。城門を出て戻ろう。街から見えないところまで進む。

 遠くにお狐さん一行が歩いて行く。観察ちゃんが手をあげた。任せろということだね。頼んだよ。嬉しそうだ。じゃ神国に転移。


 シンが泊まった宿。

 娘が早起きだ。両親が起きて来る。

 娘が手を出している。

 「なんだい」

 「昨日の宝石」

 「何か美味しいものでも」

 「ダメ。早く出す」

 「だってお前」

 言いながら渋々宝石を出した。


 「どうするんだい」

 「決まっているでしょう。売って宿を改修するのよ」

 「美味しいものでも」

 「わかっているの?昔馴染みが何回かに一回お情けで泊まってくれるだけなのよ」

 「でも」

 「でもじゃない。このままじゃ今年のうちに宿を閉めるようになってしまう。働いている人はどうするの?」

 「それはお前」

 「改修するからその間はお客がいない。お父さんは従業員を連れてラシードさんから塩を買って来て。市場で売って少し儲けさせてもらって、改修が終わったらうちでもその塩を使って美味しい食事を泊まり客に出すのよ」

 「お前頭が回るなあ」


 「あたしは大工のおじさんの家に行ってくるわ。従業員二人貸してね」

 娘が出て行った。

 旦那は従業員と砂漠に行く準備だ。ベーベーも久しぶりに砂漠に行けるとわかったのか荷を積まれても嬉しそうだ。


 しばらくして娘が大工さんと帰って来た。材木を積んでいる。材木を下ろすと砂金の袋がいくつも出て来た。

 従業員が総出で砂金の袋をしまう。

 「お母さん、大工のおじさんと契約して来たわ。ちょうど大きな仕事が終わったところで明日から仕事にかかってくれるって」

 「それはよかった。お願いします」

 「ああ、任せとけ。少し中を見させてもらおう」

 娘と母親が案内する。


 「なるほど、これはひどい。宿泊室は牢獄だ。これでは泊まる人がいないだろう」

 「お金がなくて改修できませんでした」

 「改修できないとだんだんジリ貧になるよな。でも娘さんが頑張って宝石を持って来たからもう大丈夫だ。知り合いに引き取ってもらった。良い値で売れたぞ。どこで手に入れたんだ」


 「シン様という泊まり客に一年分の宿賃だといただきました」

 「噂のシン様だな。シン様の関係だと押し込みはないと思うが砂金は気をつけることだ」


 「噂とは?」

 「街中が大騒ぎだ。まず人攫いに攫われた女子供が家に戻った。それから役人が女子供が監禁されていたという家に行ってみると、シン様の立札があった。かねてから賄賂をもらっていると噂のあった役人がまず踏み込んだが、足を一歩屋敷に踏み込んだところで死んだ。即死だ。原因はわからないが、シン様の立札に、『心正しき官憲以外立ち入りを禁ず』とあったから賄賂役人との噂は本当だったということになった。役人は引き摺り出され広場にさらされている」


 「それでどうなったんでしょうか」

 「結局、ボンクラ役人だけ中に入れて、書類を持って外に出て来た。亡くなった役人が人身売買の連中とつるんでいることがわかった。そいつは証拠書類の隠滅をしたかったんだろうが、自分が真っ先に神罰を受けた。それから何人かの役人が賄賂をもらっていることがわかって大騒ぎだ。屋敷の中には誰もいなかったというぞ。夕食の途中らしくて食べかけがそのまま、まるで生活していた人たちが一瞬で消えたあり様だとボンクラ役人が言っている」


 「シン様は神様なのよ。お狐様も一緒に泊まっていたし」

 「なんだと、お狐様もいらっしゃったのか。シン様は今知れたが、お狐様は誰でも知っている。誘拐された中にイヅル国の女の子がいてお狐様がつれて帰ったそうだぞ。そりゃお前、改修して、シン様・お狐様御宿泊の宿となれば千客万来だぞ」

 「えらいこっちゃ」

 あわてるおばさん。

 「看板を作るか?」

 「畏れ多くてとてもとても」

 「まあ、人の口に戸は立てられないというからな。同じことだ。おれも気張って仕事をしよう」


 後に本当にシン様・お狐様御宿泊の宿との噂が立ち連日盛況となった。

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