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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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305/499

305 城壁都市ディースにて 宿でのイベント二本立て

 さて本日のイベントです。

 まずは市場の布商人だね。

 ああ、しまった。テーブルはそのままにしておけばよかった。

 まあいいや。オリメさんに聞いて、買った布を十分並べられるくらいのテーブルを並べた。魔石ランプも多数置いた。


 来た来た。商人さんだ。宿の中庭に入ってもらう。テーブルが並んで、魔石ランプが多数ついているのでびっくりしている。

 オリメさんがニコニコしている。

 「どうぞ、荷をほどいて品物を並べてください」

 「いや、梱包を解くと大変でしょうからこのままで納品ということで」

 「荷造りは私どもがしますのでお気になさらずに。そちらが大変なら私どもが荷を解きましょう」


 オリメさんとアヤメさんがひょいひょいと荷造りされた布をテーブルに乗せ、荷を解く。

 「おや、昼間見たものと違いますね。ほとんど違っていますね。これは安物というか、屑ですね。荷を間違えたのではないでしょうか」

 「そんなはずがない。これが正しい。だいたい田舎者に生地の良し悪しなどわかるまい」

 「そうですか」


 アヤメさんが屑生地をテーブルから退ける。地面の上に。

 「私達が普段使っている生地をお見せしましょう」

 オリメさんが言ってアヤメさんが生地をいくつか取り出した。

 「あなた方も生地を扱っているなら良し悪しがわかるでしょう。触って見たら如何」

 「こ、これは。巨木タグ、オリメ商会」


 「もっと見ますか?」

 「いえ、結構です。生地の荷を間違ったようです。すぐお持ちします」

 急いで屑布を荷車に乗せて出て行った。


 「なんですぐ引き返したのだろう」

 「私たちがオリメ商会で扱っている布は、自信をもってお勧めできる布で、巨木マークのタグをつけ、織物工房の名と販売者としてオリメ商会の名前を入れてあります。そうして売っています。今出した布もその一つです。巨木マークに気がついて、巨木マークの噂を思い出し怖いのでは」


 へえ、オリメ商会は生地も扱い始めたのか。ますます繁盛で結構なことだ。巨木マークの噂ってなんだろう。まあいいや。


 しばらくして荷車を引いて商人がやって来た。オリメさんとアヤメさんは荷を解かず、ぽんぽんと持ってみた。

 「いいでしょう。お支払いします」

 「お調べにならないので」

 「私どもを騙したら、わかっているでしょう。そういうことになります」

 「はい。承知しております」

 砂金を受け取って帰って行った。


 オリメさんとアヤメさんはだいぶ安く買えたと喜んでいる。中を見なくてもいいのかね。持ってみた感じで大体の品質がわかるそうだ。へえ。そうなの。それで騙したらどういうことになるのだろう。わからないけど相手が納得しているからいいか。

 さっさと二人は荷を収納して、僕はテーブルを収納した。


 さて次のイベントだねえ。

 宿の扉はそのままにしようと思ったけど、それだと何か罠があるのではないかと警戒するという意見があって閉めさせてもらった。


 ベーベーも参加したがっているね。厩は柵を外しておいた。そのままにしておいてもいいけど修理することになってしまうからね。


 神国で待機しましょう。いつも通り寝るとつい寝てしまいました。観察ちゃんが言って来ます。

 『シン様。シン様。来たよ。9人だよ。足首を切られた身内だよ。誘拐犯は押し込みはやらないそうだよ。足首が無事だった二人は絶対嫌だと参加してないよ』


 おお楽しいね。それにしても観察ちゃんは詳しいね。分裂して見張っていたんじゃなかろうか。そういえば神国で何人も合体していたな。分裂しても大丈夫なように合体していたのかな。準備万端だね。

 そうやって褒めるからどんどん図に乗るのですとアカが申しています。すみません。


 ドラちゃんとドラニちゃんは短槍を取り出してニコニコしています。

 「これ使って見るの。面白そうなの」

 「面白そうなの」

 「そうかい。それはよかった。投げても元に戻って来るよ」


 来ましたよ。一人身軽な男が塀を乗り越えて中から扉を開けました。そうですかなるほど。全員入りましたね。では扉は閉めましょう。扉のそばに転移しエスポーサが扉を閉めました。

 侵入者が後ろを見ると薙刀を持ったエスポーサとベーベー2頭が立っています。前は僕と三人組、横にマリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさん。つまり囲まれています。


 ステファニーさんが聞きます。

 「私たちを捕まえて闇に流すと言っていたわね。どういうこと?」

 「うるさい。俺たちはお前たちを闇に流せるルートを持っているんだ。闇の組織が出てくる前にさっさと降伏しろ」

 「そうなの。闇の組織に出て来てほしいわね」


 『シン様、シン様。女の人3人と子供2人が閉じ込められている家を見つけたよ』

 『ありがとう。もう少ししたら行くよ』

 「闇の組織というのは、女性と子供を捕まえて監禁しているのかい?」

 「そうよ、お前らも降伏すれば連れて行ってやる」


 「今、女の人3人、子供2人いるから、僕たちが行ったら入りきれないだろう」

 「なんで知っている」

 「知りたいかい?」

 「いや」


 「お前たちにアジトを案内してもらうことにしよう」

 「冗談はよしてくれ。やっちまえ」

 ベーベーが張り切っています。やっちまいました。


 9人を二つに分けて重ねて、上にベーベーマンとベーベーが座り込んでいます。下からボキボキ音がしています。重いんだろうな。

 ドラちゃんとドラニちゃんがせっかくの短槍を使う暇がなかったとぷんぷんしてます。

 男たちを短槍の石突でツンツンしているよ。

 「根性なし」

 返事は、ボキボキ。だんだん折れる箇所がなくなったようだ。音が減る。

 「もう降りてもいいよ」

 ベーベーマンとベーベーが降りました。

 男どもは動けないな。

 「こいつらはどうしようかな」

 面倒だね。証拠隠滅。滅びの草原行き。さようなら。


 それではいきましょうかね。アジトに。

 娘さんがこっそり見ていた。

 みんなを扉から外に出し、僕が内から鍵をかけて、娘さんに手を振ってポンと塀を越えた。


 しっかり者の娘さんだ。宿は改修するだろう。古くなっていて昔からのお客しか泊まらないのが見え見えだったからね。


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