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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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301/499

301 街を目指して歩いていると盗賊さんに出会う

 自宅スパ棟に戻ってくつろいでいると二百人衆の夫婦が三組来た。赤ちゃんが生まれたので名前をつけてくださいって。もちろんつけますよ。僕が帰ってくるまで名前をつけず待っていてくれたのだそうだ。


 アカが奥に行って、人化して、お盆に水の入った銀色の器と線指輪をのせて持って来た。

 名前をつけた。光った。赤ちゃんの唇に水をポタポタ。口をもぐもぐしている。光った。線指輪をしてやる。光った。

 母親に手を向け、

 「お乳がよく出るように」

 「健やかに成長するんだよ。幸あらんことを」

 赤ちゃんに手を置いて祝福した。

 三組の赤ちゃんに名前をつけ、祝福した。


 今度は、生まれたらすぐ連絡をもらおう。名前をつけず待っているのでは大変だ。観察ちゃんが部屋の隅で見ていたから観察ちゃんに赤ちゃんが生まれたら教えてくれるように頼んだ。『シン様から頼まれた。シン様から頼まれた』といいながら尻尾を振って抱きついて来た。頼まれるのがよほど嬉しいのだろう。なでなでしてやる。


 遊んでいた子たちが帰ってきた。続いて管理職のみなさんが帰ってきた。

 全員揃ったから一応聞いてみる。

 「明日、イヅル国の先の高原の街みたいなところに行くんだけど、行く人いる?」

 みんな手を上げた。新しいところは面白そうなので行く。すでに午後のうちに明日から空けるための手配は済んでいるのだそうだ。観察ちゃんだね。いいけど。


 徒歩ではいかにもまずい。砂漠から来たのならベーベーだね。ベーベー二頭に何か積んでそれらしく見せかけていこうか。ドラちゃんとドラニちゃんに人化してもらってジェナと一緒にベーベーマンに乗ってもらって、オリメさんとアヤメさんにベーベーに乗ってもらおう。エスポーサにベーベーを引いてもらおう。ベーベーマンはステファニーさんがひく。引く必要は全くないのだけど、それらしい格好です。あとはブランコに少し大きくなってもらってアカを抱っこして僕が乗ります。マリアさんも乗るの?そうですか。ええ、お狐さんも行くの。観察ちゃんを乗せて。そうですか。ジェナの遊び相手がいた方がいいし、どうぞどうぞ。


 あとは何をベーベーに積んでいくかだね。塩はこれからラシードさんが売り歩くだろうから邪魔をしてはいけないね。塩を小袋で少し持っていこう。必要があればあとは屑石だな。屑石の中の屑にしよう。オリメさんがこの間仕入れた布を売ってもいいとおっしゃっています。必要なら手持ちの布ということで売ってもらおう。そのくらいでいいや。隊商でもないしね。旅人で行こう。


 朝、もちろん朝食は食べました。二百人衆にベーベーとベーベーマンに荷物と鞍を積んでもらって、見送りを受けて転移します。昨日の街が見える寸前の地点だ。誰もいない。


 では長旅をして来たような顔をして行きますか。

 街が見える。見えるけどかなり遠い。間に何もないから遠くの街が見えるが距離はかなりある。歩くのに苦労はしないけど、時間はかかる。お狐さんも大丈夫だと観察ちゃんが言っています。なにしろ未だかつていたことがない九尾のお狐様だから、眷属並みなのだそうだ。もっとも眷属だった。


 では行きましょう。てくてくてくてく。飽きる。てくてくてくてく。飽きる。マリアさんが飽きた?と聞いて来ました。うん。飽きた。前の方の岩陰に何人かいますね。飽きそうもない。なんだろうね。こちらにみられないようにしている。そうですか。みないようにして脇を通ります。おお、先の方の岩陰にも何人かいますね。結構な事です。岩陰から出て来ました。


 「おい、立派そうなベーベーといい女だな。坊主には過ぎたベーベーだな。置いていけ。女も可愛がってやる」

 「盗賊さんでしょうか」

 僕、ワクワクしてしまう。

 「そうだ。盗賊だ」


 「何人ですか」

 「見ればわかるだろう」

 「後ろの人がまだ出てこないけど。もう出てきてもいいんじゃない」

 「けったいな坊主だな」


 「後ろの人を入れて11人ですか。半端な数ですね」

 「半端も何もあるものか。俺たちの仲間だ」

 「これだけですか?」

 「そうだ。十分だ。俺たちは大きな隊商は襲わない。そっちはそっち専門の盗賊団がいる。名高いスコーピオンだ」

 「へえ、そうなの。スコーピオンは有名だったの?」

 「当たり前よ。砂漠一二を争う盗賊団だ」

 「スコーピオンの他に盗賊団があるの?」

 「ああ、ここから砂漠に出て左がスコーピオン、右がブラックスパイダーの縄張りだ」

 「へえ。そうなの。知らなかった。楽しみが増えた」


 「おかしな坊主だ。グタグタ言ってないでそこから降りろ」

 「楽だからやだね」

 「おい、坊主を引き摺り下ろせ」

 「でも、親分、坊主が乗っている狼みたいのは強そうですよ」

 「俺もそう思う」


 「じゃベーベーをいただくか」

 「親分、ベーベーも強そうです」

 「そうだな。強そうだ」

 「どうしましょう」


 「女にするか」

 「親分、女も強そうです。女が持っていじっているのは名高い神聖鞭(偽物)のような」

 「あの鞭が動いた後の黒い光跡は、神聖鞭(本物)のようだ」

 「逃げましょう」

 「者ども逃げるぞ」


 逃げていった。情報は命とかラシードさんが言っていたな。ブラックスパイダーのことを教えてくれたからいいとするか。でも言っておこう。

 「今度あったら生き木乃伊の刑だよー」

 「ひえええ。故郷に戻りますー」


 「ああ楽しかった」

 「小悪党までも行かないわね。チンピラ以下だわね」

 ステファニーさんが言っていますが、そうだね。

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