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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第一部

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030 空飛ぶドラゴンが仲間になった

地上18日目

 朝、買い置きの朝食を食べて、いよいよ今日は乗り物を手に入れよう。空飛ぶ乗り物だ。


 「皆んな、今日はこの崖を登るよ。途中で空飛ぶ乗り物が手に入ると思う。頑張って登ろう」

 崖がどのくらいの高さかは言わない。ブランコがビビるといけない。


 「ブランコ、今日も先頭を任せるよ」

 喜んで登り始めた。足の爪を使う事を覚えたらしい。必要は発明の母だね。これで戦いの幅が広がる。え、エスポーサ、だめなの?おばかだから爪を使っている事を気付いていないから戦いで使えないって。尻尾を振って登っていくブランコを見る。中々良いルートを選択している。爪のことはまあいいか。じゃ皆んなでついて行こう。


 皆んなで崖を登る。200メートルくらい登った。木の梢はとうに超え翼竜の支配地域に入った。翼竜は何羽、何匹、何頭?わからないけど複数飛んでいる。


 襲って来る。餌を見つけたと思ったんだろうな。あれ、近づいて来る翼竜の中に見覚えのある奴がいる。あれはタクシーだ。ヘイ、タクシー。キョトキョトしているよ。あ、こっちを見た。ビビってる。

 止まれ。ホバリングしている。乗車を待っていてくれるのだろう。違う違うって。そんなことあるかい。タクシーが乗車拒否したらダメだよ。みんな乗るよ。飛び乗った。げぇって顔をしているよ。運転手さん、そんな嫌そうな顔をしない。お客だよ。皆んなくっつけって唱えると落ちないよ。マリアさんがくっつけって言った。

 「手を離しても落ちません」

 こら、ブランコ、ポンポン跳ねて遊ぶんじゃない。運転手さんに嫌われるよ。


 崖上まで上がれるかな。何?無理なの。根性だよ。根性。羽をバタバタやっているよ。空気が薄いからね。飛ぶ時は魔法で空気の流れを作りそれに乗り飛んでいるらしい。空気が薄くなると流れができないから必死になって羽を使っている。なかなか根性がある。贔屓にしてやろう。


 最後は崖に取り付いて攀じ登ってやっと崖の上まで辿り着いた。精も根も尽き果てたようだ。ほっとくと死ぬね。谷川の水をポタポタと。死にそうだからもう少しサービスしてやろう。ポタポタ。ちょっと光って生き返った。


 名前をつけてやろう。お前はタクシーだ。嫌ぁな顔をしている。それじゃハイヤーでどうだ。いいみたいだな。光った。

 「用があったら呼ぶから好きにしてな。タクシーもハイヤーも乗客を乗せるのは同じだよ。貸切なのがハイヤーだ」


 ギャー、ギャーって飛んでった。なになに、騙されたーー。結局乗るんかい。詐欺だーー。おお、長い言葉を喋れるようになった。


 胴体が太く長くなったね。翼竜改めドラゴンになったのか。空気が薄いのにはばたかず滑空している。あ、気が付いたようだ。首を回して自分の身体を見て不思議そうな顔をしている。速度を上げてみたり、ループ、急降下、急上昇、垂直に上昇して失速させて反転して急降下。おお翼を畳んで弾丸のように落ちてゆく。回転しているよ。あの落ち方は重力だけじゃ無いね。頭を持ち上げ翼をバッと一杯に開いて急上昇。翼も丈夫だね。下の森が衝撃波を叩きつけられ揺れた。翼竜がいくつか落ちた。


 少し先方に水平飛行してインメルマンターンをして戻って来る。ふわりと着陸した。でかいな。全長50メートルはあるな。


 アカによると重量は軽減しているとのことだ。骨格筋肉ががっしりみっしりしているから、重量を軽減しないと地面にめり込んでしまう。硬い地面の上で足に踏まれて重量軽減を解かれると瞬間的に限りなく薄いのしイカになりそうだ。


 アカがウザいから小さくなれと言っている。ブランコが得意げに、大きくなったり小さくなったりしてこうやれと先輩風を吹かしている。あ、すぐ小さくなれた。ブランコがしょげた。やっぱりバカねぇとエスポーサにヨシヨシされている。


 ハイヤーがありがとうって言っている。大空を自由にアクロバット飛行出来るのがものすごく嬉しかったみたい。前に飛び乗られた時みたいに墜落覚悟なら少しはできたけど、普通はやろうとしても上昇、下降、緩い旋回くらいしか出来なかったんだって。


 皆んなは何してるの?って聞かれた。

 ここは誰も上がってこられない禁断の地だよ。ここで一泊して森の中心まで行くんだ。


 面白そうだから一緒に行くって。ピカピカ光るアンクレットが自分にも欲しい。あんな光は見たこともないって。あれはずっと一緒に居る仲間の印だよ。

 一緒に居るから欲しい、ちょうだい。そうかい。人の住んでいる街にも行くから首輪とセットだよ。それじゃと作る。見せると気に入ったようだ。一晩寝かせると皆んなと同じようになるから、明日の朝やるよ。


 「今日はここで野宿するよ。お風呂を出すから皆んな入ってね」

 

 昨日と同じでマリアさんとエスポーサが先に入る。僕はかまど、テーブル、椅子、調理道具、食器類、食材を出す。気圧が低いからね。焼いてもらおう。昨夜内職して作ったアカなどが座るための長椅子も出す。

 

 マリアさんが風呂から出て来たので残りの皆んなで入る。ハイヤーは今日が始めてだね。脱衣所を通って風呂場に突進し飛び込もうとした。アカに洗い場で洗ってから入れと怒られている。

 順番に洗ってやるよ。待ってな。アカからね。次はブランコ。その次だよ。汚れ飛んでけでも良いんだけど、触れ合えるからね。洗ってて楽しいんだ。

 ハイヤーは毛がないから洗うのが楽だ。ほら終わった。自分は皆んなと遊びたいから汚れ飛んでけ、綺麗になれだ。

 

 皆んな遊ぼう。それっとハイヤーを風呂に投げ入れる。上手に頭から水に入った。潜ったまま泳いでいる。ブランコにちょっかいをかけた。くんずほぐれずやっている。


 エスポーサは参戦しないみたい。大人だね。右腕でアカを撫でて左腕でエスポーサを撫でる。アカを見て撫でているとエスポーサがクーーンクーーンというから左を向いて撫でていると右から前足で催促されるから右を向きアカを撫でる。繰り返しだよ。忙しい。


 お、ブランコとハイヤーが気がついた。僕も私もとバチャバチャと寄って来る。アカとエスポーサは満足したみたい。ピッタリくっ付いて頭を擦りつけて来る。ブランコとハイヤーをヨシヨシしてやる。


 「夕飯の支度が出来ました」

 マリアさんの声だ。


 さあ出ようと声をかけて脱衣所に向かう。おわっ、マリアさんが拭き布を持ってニコニコ待っている。下着姿だよ。シンデザインの。傾国の美女だよ。顔良し体良し。出るところは出てへこんでいるところはへこんで、なおかつパワーが漲っている。


 35歳が激しく反応する。大きくなっちゃう?二十代半ばに。ギャラリーがこれだけいるとまずいね。考えていたら拭き布に包まれてしまった。頭を拭かれ前後ろを拭かれた。当たっているよ。ショコタン確定。


 マリアさん、服を手に取った。

 「自分で着ます」

 焦った。慌てて服に綺麗になれって言って着る。


 アカが皆んなを乾かしている。何、アカはやって欲しいの?乾けー。よしよし。

 皆んなさっぱりしたね。


 「マリアさん。髪を乾かしましょう」

 椅子を出して座ってもらって、暖かい空気の塊を作って、髪の毛を覆って、しっとりサラサラに乾けって言った。空気の渦の中で髪が踊る。マリアさん気持ち良さそう。


 「ありがとう」

 チュされた。ほっぺに。嗚呼11歳。

 露天風呂を綺麗にして収納して夕食。


 何も知らないドラちゃんがいるから世界樹と僕とアカの事をもう一度話す。ブランコは記憶にないだろうけどね。今も美味しい美味しいと言って夕食を食べている。


 「僕はこの世界に呼ばれた者だよ。一ヶ月とちょっと前、この台地の中心で気がついた。この大地に世界樹が生えていて、その世界樹が数万年に一回生まれ変わる。生まれ変わるため外の世界から必要なエネルギーを持った生物を呼ぶんだそうだ。今回は僕が呼ばれた。元の世界の自分の記憶は35歳だったということしかわからない。アカは元の世界の愛犬だよ。一緒に台地でしばらく暮らしていて、それから台地から降り、魔の森で2頭のブランコとエスポーサに会い、森を出て街道でエチゼンヤさんが襲われているところに出会い、マリアさんに出会い、ハイヤーに出会い今に至っている。一応内緒の話」

 わかったかな。ブランコは相変わらず食欲に従っている。


 「ここは普通の木が生えているけど、少し行くと巨樹の森になっていて、そこは外と隔絶した世界だよ。森の外の生き物は体の組成上入れない」

 

 じゃ誰も入れないの?とブランコが聞く。いつから聞いてたんだい。皿が空になっている。そういう事か。

 「僕とアカは中の生き物だから入れるよ。みんなは、バングルやアンクレットをしていれば入れる」


 あたしは?とハイヤーが聞く。ええ、ハイヤーは女の子だったの。知らなかった。アカもエスポーサも知ってたって。ブランコは、知らなかった。そうなの、ブランコ、お仲間だ。いつもは落ち込むところだけど仲間がいるから尻尾を振っている。


 女の子にハイヤーはどうかな。通称ドラちゃんにしよう。説明しなくてもわかるし。


 「ドラちゃんのアンクレットは明日渡すね。今世界樹が調整中だよ。それをして体が光れば中に入れるよ」

 みんなと一緒だって。そうだよね。


 「ついでに言うと、そのバングルやアンクレットは一回装着すると自分では外すことができない。巨樹の森の中では外すと死ぬよ。もし嫌だったら言ってね。外してあげる。だけどこれから先一緒にいることはできなくなる」


 「私はシンとずっと一緒にいたい」

 みんなうんうんと言っている。ドラちゃんもうんうん言っている。ありがたいな。


 夕食を片付けて皆んなで寝る。今日はアカが右、マリアさんが左、頭の左右にブランコとエスポーサ。お腹の上に猫サイズになったドラちゃん。皆んなでくっついて寝る。幸せ幸せ。

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[一言] >ショコタン確定。 マリアは猫とゲームとアニソンが好きなのか?
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