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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第四部

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293/499

293 助けた大君の姫を送る サイトの旅館に泊まる

 町年寄りが旅館に案内してくれた。中心の一等地にある旅館だ。僕らは旅館の離れに案内された。かなり広いね。一部屋がテーブルと座布団が置いてある部屋。もう一部屋が寝室だろう。風呂とトイレは渡り廊下で別にあるみたい。


 少ししてコマチさんがやってきた。

 「今日はすみませんでした。厩へなど案内して申し訳ありませんでした」

 「いいですよ。何も知らなければそうかもしれません。気にしないでください」

 「そう言っていただけると助かります。夕食は旅館の女中が運んできます。お風呂は沸かしております。もう少ししたら入れると思います。お風呂は貸切です。お風呂が先であればそう手配しておきます。厠もそばにあります。必要ないでしょうか」

 「お風呂が先でお願いします」

 「かしこまりました」

 コマチさんはよくみているね。観察ちゃんみたいだ。


 『呼んだ?』と観察ちゃんが窓から覗きました。お狐さんと一緒だ。いつの間に仲良くなったんだろう。

 「入っておいで」

 お狐さんと一緒に入ってきた。


 「コマチさん、こちらが僕の眷属、観察ちゃんです。普段は見えないですが、呼べば出てきます。旅の間、何かありましたら、呼んで話してください。すぐ僕に伝わります」

 「わかりました。カンサツちゃん。よろしくお願いします」

 観察ちゃんが片手(足?)をあげて了解の返事をした。


 観察ちゃんとお狐さんが抱きついてきたので二人を撫でてやる。

 「また後でおいで。そうだな。食事の配膳が終わって女中さんが出て行ったら入っておいで」

 二人が窓から出て行った。


 「なんというか、お狐様がシン様に懐いていらっしゃいますね」

 「ずっと寂しかったんでしょう。一緒に長く過ごせる人はこの国にはいないでしょうから」

 「そうですね。それでもこの国を離れることなく見守ってくれていたのですから、私たちはもっと感謝しなければなりませんね」


 「もう寂しくないでしょうから、今まで通り、自然に付き合うのがいいと思います。それがお狐さんの幸せでしょう」

 「わかりました。では一晩ごゆっくりお過ごしください。夕食の片付けが終わったら朝まで誰も近づかないように申し渡しておきます。布団はお風呂に入っている間に敷きにきます」


 コマチさんが礼をして出て行った。

 ステファニーさんが、

 「姫さんよくわかっていますね」

 「そうだね、さすが姫さんだ」


 「お風呂に行きましょう」

 マリアさんが座布団から立ち上がった。眷属だから痺れはしないけど、慣れないみたいだね。


 風呂は、脱衣所は男女別で安心していたら、中は一緒だった。ここにきてまで混浴修行とは思わなかった。観察ちゃんとお狐さんを呼ぼう。すぐ来た。


 アカ、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、観察ちゃん、お狐さん。洗ってやろう。え、エスポーサも?白狼だからいいんだけど。全員洗いました。ジェナは人化したアカが洗っています。

 ステファニーさんが私もと言っていますが無視です。期待しないでください。マリアさん、オリメさん。アヤメさん。しかし遠慮しないね皆さん。困ったものだ。


 僕も自分をざっと洗ってすぐに浴槽へ入った。モタモタしていると洗われてしまいます。

 浴槽は木ですよ。浴槽も洗い場も木だ。腐らないのかね。目が詰まっていて油を含んだ木だから大丈夫なのかもしれない。僕が心配することではないけど。みんなでしばらく遊んだ。


 お狐さんと観察ちゃんは自分で乾かせないだろうから、温風の渦巻き球体を作って乾かしてやった。ドラちゃん、ドラニちゃんはすぐ真似してできるようになった。

 ブランコは渦巻き球体の中で体がぐるぐる回転している。渦巻きが強すぎるのだね。エスポーサが放っておいてと言っています。でも目を回すよね。少し渦巻きの回転の力を落としてやる。回転が止まった。やっぱり目を回したようだ。ジェナが治れ治れしている。すぐ治った。ブランコがジェナをぺろした。きゃっきゃっと喜んでいる。


 部屋に戻ると寝室に布団が敷いてあった。

 旅館の女中さんが夕食を運んできた。この旅で初めてこの国のまともな食事にありつけた。ご飯に味噌汁。おかずは野菜の煮物。白菜の漬物。質素だけど洗練された美味しさだね。器も陶器だ。実際に使われているのを見るのは始めてだね。味噌汁の椀は塗り物だ。塗り物の食器も見たことはない。それに箸。みなさん苦戦するかと思ったら、持ち方を教えたらすぐ使えるようになった。


 食べ終わってお茶を飲んでいると、夕食の片付けに女中さんがやってきた。観察ちゃんとお狐さんはすぐ寝室に退避。女中さんは手早く片付けてお辞儀をして出て行った。何を言われたのか知らないけど手早い。


 さてそれでは神国に行きますか。お狐さんはどうすると聞いたら、九尾になったから分身の術が使えるようになったので、分身を置いていくとのことであった。それじゃみんなで神国に転移。


 泉の広場だ。お狐さんがあちこちみている。まだ日があるのでドラちゃんに乗せてもらって一周してきたらと言ったら喜んだ。ドラちゃんも。


 ドラちゃんがお狐さんと観察ちゃんを乗せ、ドラニちゃんはドラちゃんの脇を飛んで、ブランコはジェナを背中に乗せてかけていくらしい。行ってらっしゃい。


 二百人衆にどちらさまでしょうかと聞かれたから、かいつまんで事情を話しておいた。今日のデザートをお願いし、明日はイヅル国の旅館で朝食を食べる。夜は帰れたら帰ると話しておいた。

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