029 露天風呂を作る
テーブルマウンテンで収納していた大きな岩を出す。相棒でスパッと平らに切った。百坪ほどある。一旦収納して、平らな方を底面にしてもう一度出す。
地上から2メートル位の高さのゴツゴツした岩が出来た。
「その木刀はなんなんですか?作って貰ったロングソードでもそんなことは出来ません」
「これは此方に来た時からの相棒です。この世界で切れないものは無いです」
「神剣のロングソードが霞んでみえます」
「そうかな」
話題を変えよう。
「今作っているのは露天風呂です。浴槽はどの位の深さがいいですか?」
「座って肩より少し下くらい?」
「そうしましょう。入る方には段をつけましょう。縁は丸くして」
浴槽部分を平らにして掘り下げる。岩に沿った形だ。露天風呂が四角では風情がないからね。
洗い場は滑らない様に自然な感じで少し凸凹させる。岩の隅に穴をあけ柱を差し込む。腐らないかって、それは腐るな腐るなって言って差し込むからね。柱に板を打ちつけ3メートルくらいの高さの囲いを作る。洗い場の排水は囲いと石の間に消える謎仕様だ。うん、いいね。
脱衣所を作らなくてはね。脱衣所は広めに作ろうか。風呂との間はクランク型通路、外からの出入り口は引き戸。土間を作らなくちゃね。靴を脱いでもらう。土間から上がったところにもスペースが要だね。その奥に脱衣所。見えないようにしよう。あとは棚を作ろう。脱衣カゴも要だね。後で内職をしよう。今日は勘弁してもらう。脱衣所には屋根も作った。屋根と壁の間は離して採光するようにした。窓はそのうち考えよう。屋根は銅葺きだから、今夜しまう時に緑青できろと言って収納しよう。
魔の森の泉の水を風呂に入れ温かくなれって言った。いい湯になった。あれ、洗い場で使う湯がない。しょうがない金属で箱を作って水を入れて暖かくなれだ。ああ、タライも要だ。金属で作った。
「マリアさんどうぞ入ってください」
え、エスポーサも?女同士の話があるの?ええ。アカは?いつも一緒。嬉しいな。
ブランコは寂しいのか。そうかそうか。ヨシヨシしてやろう。
することないな。石でかまどを作ろう。簡単に出来た。テーブルも椅子も作った。鍋、フライパン、まな板、包丁、食材、食器類をテーブルに出しておく。
よし、久しぶりに遊ぼう。ブランコと相撲を取る。楽しいね。なかなか強くなった。ほれ慢心したらダメだよとひっくり返す。大親分強いってか。ヨシヨシ。
アカとは追っかけっこした。アカが鬼。捕まえられそうになるとするりと逃れる。鬼、交代。逃げるけどパッと向き直ってアカを捕まえる。鬼じゃなかったの?いいのいいのアカを抱っこしたかったから。ペロペロペロされた。座り込んで撫でてやる。背中はストレートな剛毛だね。昔っからそうだけど。嬉しいの?そう。いい子だね。頭も撫でてやる。おっと、ブランコも来た。撫でてやる。もちろん。この子も可愛い。おばかだけど。
あ、出たの?マリアさんの洗濯袋に綺麗になれ、柔らかくなれっていいきかす。エスポーサをブラッシングする。気持ちよさそうだね。いい子だ。で、エスポーサ、中で何話したの?内緒だって。ブランコも聞きたそうにしている。内緒なの。そうなの。しょうがないね。
「アカ、ブランコ、お風呂に入ろう」
アカとブランコがついてくる。お風呂綺麗になれって言ってお風呂に入る。24時間風呂より綺麗だ。湯の中の減った成分は補給したからさら湯になった。アカとブランコを洗ってやって、自分も体を洗って、綺麗になれって言って風呂に入る。洗わなくても綺麗になれだけでもいいんだけど、作法があるからね。なんとなく。
「マリアさん来てくれないかなあ」
ブランコもエスポーサに来てもらいたいよね。うん、うんって言っている。いい子だね。
お風呂で遊ぶ。広いからね。100坪の広さから脱衣所を除いた部分が洗い場付き岩風呂だからね。潜ったり、皆んなで追っかけっこしたり。怒る人がいないからね。盛大に遊ぶ。だいぶ時間が過ぎたから出ようね。アカとブランコを乾かしてやり、ブラッシングしてやる。目を細めて気持ちよさそうだ。
風呂から出て改めて全体に綺麗になれって言って収納する。
料理もマリアさんがしてくれたので皆んなで夕食。小さくなったアカ、ブランコ、エスポーサ用の低いテーブルもあるからね。え、自分たち用の長椅子を作ってくれたらみんなと同じテーブルで食べられるってアカが言っている。そうだね。夜、内職をしよう。あれ他にやることがあった様な気がする。マリアさんの棍棒かな。マリアさんは料理上手だ。嬉しいな。
夜は崖を背にいつもの通りの配置で寝る。根性無しのバカトカゲがくるといけないから、アカが少し周囲に力を放出した。マーキングの様なものだ。強力だけど。ブランコとエスポーサがびっくりしている。さすが親分だそうだ。ゆっくり寝ていいよ。明日はいよいよ乗り物入手だ。




