287 助けた大君の姫を送る 砂漠に戻り誘拐犯から娘さんを5人取り戻した
誘拐犯から没収したベーベーにはまた焼印が押してある。
「ひどいわね。焼印を何箇所も押されているベーベーもいるわ」
言うことをきかなかったので焼印を押し当てたのだろう。動物虐待だな。焼印消えろ。病気治れ。
ドラニちゃんが大きくなって、ステファニーさんとブランコ、誘拐犯のベーベー半分とベーベーマンを乗せて、上空で待機。次にドラちゃんが大きくなって、僕とアカ、残りのベーベーと僕らのベーベーが乗って上空へ。ドラニちゃんと合流。
ベーベーはベーベーベーベー鳴いている。怖いのだろう。僕のベーベーマンとベーベーが大丈夫だと言っている。それでは行こう。
さてどこかな。いたいた。最初のオアシスまであと少しのところだね。回り込んで着陸。ドラちゃんとドラニちゃんはすぐベーベーを下ろした。ドラちゃんだけ小さくなる。
挨拶からだね。
「こんにちは」
ベーベーも男達も腰を抜かしている。
ドラちゃんとブランコがベーベーに積んである袋をドラニちゃんに乗ったステファニーさんに渡す。5袋渡し終わった。腰を抜かしてくれていて助かります。
観察ちゃんが袋の口をスパスパ切ります。ええ。来てたの。知らなかった。
中から女性が出てきました。気絶しています。ちょうどいいのでドラちゃんに転移でマリアさんに届けてもらいました。
「俺のものを、何するんだ」
頭が我に帰ったみたいだ。さすが守銭奴。多分そうなんだろう。
「俺のものとは何を指して言っているんでしょうか」
「お前がいま攫った女だ」
「へえ、盗人猛々しいとはこのことですか。あの女性達は、イヅル国で誘拐したのでしょう。違いますか」
「ーーーー」
「時間の無駄ですね。選択肢を差し上げましょう。その1、降伏する。その2、私たちと戦う。その3、次のオアシスの仲間のところに逃げ込む。どれですか?」
「知れたこと、その2だ。やっちまえ」
気を取り直した30人と頭がかかってきます。今度は運動しましょう。
ステファニーさんが嬉々として鞭を振います。盗賊達が開発しているという股間プロテクターはまだ開発が終わっていないようだ。本当に開発しているのだろうか。確かめる気もないけど。
僕のところまでこないねえ。
ステファニーさんが聞いてきます。
「頭は残しますか?」
「そうだね。残してもらおうか」
オアシスのお仲間を探さなくてもすぐわかるからいらないのだけど、面白くないからね。
30人は全部倒れた。面倒だからドラちゃんに消してもらう。頭が目を剥いている。
「さて片付きました。後続の方々も土の中から頭だけ出しています。僕もこう送り届ける人が増えてしまっては忙しいのでね、こっちの30人は消してしまいました。こちらはベーベー30頭ですか。それにしても皆さん数が多いですね。そんなに誘拐は実入があるのでしょうか」
「うるさい。俺たちは誘拐専門じゃない。盗みもやるんだ」
親切に返答いただきました。確かにベーベーの積荷に幾らか盗品がある。イヅル国から盗んできたんだね。収納した。あとは盗賊の食料と水。ベーベーの食糧だね。盗賊の食料と水は消した。このベーベーはどうしようかねえ。焼印を消して、病気も治したよ。ラシードさんの奥さんに押し付けよう。
手紙を書いた。
ラシード様
奥様
砂漠で誰の持ち物でもないベーベーを55頭拾いました。
僕が持っていてもしょうがないので、差し上げます。
病気もありませんのでどうぞお使いください。
○年○月○日
樹乃神
ドラちゃんにベーベーを乗せる。盗賊のものは何もない方がいいね。ベーベーに積んであるものは全て消した。手綱なども消して裸のベーベーにした。
これでよし。
ドラニちゃんに手紙を持たせて、二人に届けてもらった。
「奥様大変です」
「シン様のドラゴン様が家の前に降りてきました」
シン様と聞いて娘が飛び出す。奥さんも急いで外に出る。
ベーベーがドラゴンからどんどん降りて来る。あれよあれよという間にベーベーで溢れる。
小さいドラゴン様が脚を出す。奥さんが手を出すと、手紙がポトリ。
「えええ、ベーベーが55頭も」
「返事を書きます。中へどうぞ」
ドラちゃんも小さくなって応接室へ。すぐ侍女がお菓子と飲み物を持って来る。
ドラちゃんとドラニちゃんはオアシスの木の実を使ったと思われる食べたことがないお菓子に大満足。飲み物も初めての味のジュースだ。
奥さんが返事の手紙を持参したので収納してドラちゃんとドラニちゃんが戻って行った。満足、満足という声を残して。
屋敷の前では家人総出でベーベー55頭と格闘している。2時間ほどしてやっと屋敷の中のベーベー舎に入れることが出来て執事が奥さんに報告している。
「若いベーベーが55頭いました。焼印はなし、手綱もなし。病気もないようです。大変な値打ちです」
「どうしましょう」
ドラちゃんたちはラシードさんの家からすぐ帰ってきた。
ありがとうございますという返事が返ってきた。それ以上書きようがないだろうな。確かに。




