028 ブランコとエスポーサの不安
マリアさんが剣に慣れたみたいだからね。行こうか。
「皆んな行くよ。前と同じ順。ブランコ、向かって来るのだけ倒してね。半分くらい残して」
マリアさんはショートソードは収納してロングソードで戦うみたいだ。
ブランコが嬉しそうにウオンと吠えて駆け出した。次から次へと魔物に遭遇する。ブランコが半分くらい倒す。マリアさんがロングソードを右手で振るう。スパスパ魔物が切れる。
左手にダガーを持った。ダガーは使ってないけど錘だな。体のバランスが良くなった。ダガーは見かけ同じでもう少し重量を増やすかな。それよりも棍棒がいいな。重量をロングソードに合わせれば良いか。その方がバランスを取りやすいだろう。右手も左手も膂力は同じくらいだ。素晴らしい。
魔物はブランコは倒しっぱなし。戦って前に進む事しか考えてないみたい。アカとエスポーサで収納している。エスポーサは後ろから襲って来る魔物も倒している。有能だね。アカ?アカは全体の監視だ。目配りして皆んなが動き易くしている。力は抜きん出ている。
アカがもう少しスピードを上げてとブランコに指示している。ブランコは嬉々としてスピードを上げた。マリアさんも苦も無くついていくね。まだ余力がある。
ドカドカ足音が聞こえて来る。ブランコとマリアさんが向かった。苦戦している。エスポーサが手伝いに行った。お、ドカドカともう一頭来た。アカがポンと頭を殴った。倒れてピクピクしている。既視感があるね。死んだ。根性無しの親戚か。やっぱり根性無しだ。
アカを見たブランコが、俺も俺もと殴った。痛い痛いと前足を振っている。ギロっとオオトカゲに睨まれた。調子に乗るんじゃないよとエスポーサに怒られている。だってだってだって、てさ。涙目だね。
エスポーサがブランコが殴った所を引っ掻いた。鱗が剥がれて血が出て来た。ほら続けてやりなと言われてもう一度殴った。オオトカゲは鱗が無くて傷が付いていたから痛がっている。
ブランコがエスポーサに向かって見て見てと言っているけど踏まれちゃうよ。オオトカゲが踏み付けようと持ち上げた足裏にマリアさんが切りつける。グワーって言って飛び退いた。相当痛かったみたいだ。ブランコはエスポーサに油断するんじゃないって叱られた。シュンとした。見てると面白いね。
その後エスポーサとブランコが引っ掻き、殴りを繰り返し、あちこち傷付き注意散漫になった所をマリアさんが背後から飛び上がって首筋にロングソードを差し込んだ。マリアさん、クノイチじゃなくて、必殺の方だったの?
マリアさんの隙を見て後ろからもう一頭がマリアさんを襲う。エスポーサがマリアさんに噛みつこうとしているオオトカゲの頭を殴った。オオトカゲの頭が反対側にぶれたところをブランコが思いっきり殴った。オオトカゲは倒れ動かなくなった。
仲間の危機に無意識にかけていたリミッターが外れたのだろう。
ブランコとエスポーサが自分の前足を悲しそうな顔をしてじっと見ている。
ブランコが、僕強い?怪物になっちゃった?怖い?嫌いになっちゃった?ほとんど泣きそうだ。
おいでと二人を呼ぶ。
小さくなって抱きついてくる。心配しそうな目をして見上げてくる。そうか、強くなることが不安だったのか。言葉にしてやろう。
「二人は僕の家族だよ。二人は強い力を持っていても優しい心を持っている。強い力を正しく使える心を持っている。さっきだってマリアさんを助けられた。弱ければ助けられなかった。それに、ほら見てごらん。このアンクレットは僕とアカと繋がっている。ブランコとエスポーサが何処にいてもいつも心は僕とアカと一緒だよ。これから会う世界樹とも繋がっている。だから強い力を持っていても心配しなくていいんだよ。二人とも大好きだよ。ずっと一緒にいようね」
目を見て十分撫でてやる。アカも二人を舐めてくれた。
だんだん安心して来たようだ。尻尾が振れてくる。
ともあれオオトカゲ二頭は三人で倒した。誰が収納するか押し付けっこしている。アカが自分は持っているからいらないと言ったので、マリアさん、ブランコ、エスポーサのそれぞれが収納出来た。
「さ、もう少しで崖下だ。先に進もう。ブランコ、レッツゴー」
さっきの涙目は忘れて尻尾を振ってかけて行く。単純な男はいい男だ。エスポーサが付いているからね。それで良いのだ。
崖下に着いた。今日はここで野宿。マリアさん、ロングソードで草刈りして、地面を平らに均してテントを設置。ロングソード便利。




