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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第三部

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260 ジェナの社会見学 −駅馬車の旅− 再び盗賊が出た

 駅馬車の鐘が鳴る。出発らしい。

 駅馬車に戻った。

 さて今度は国境までか。駅馬車の旅は大変な事だな。またまた無言の行だ。

 馬車にも人にも盗賊にも出会わない。順調と言っていい旅のようだ。


 国境の手前で馬車が止まった。広場になっている。国境警備の人もいるから安全なんだろう。


 国境警備の人が荷車に食材とテントを積んで来た。預けてあるらしい。腐らない食材だろうけど。僕らは自前のテントで自前の夕食と朝食なのでお構いなくと御者さんに申し出た。

 御者が屋根の上に乗っていた荷物の大半をおろして荷車に積んだ。詰所用の生活必需品なんだろうね。詰所まで引いて戻って行った。


 早速テントを張る。みなさんが見つめる中、テントへ。テントにバリアを張り、さっさとアカの元へ。

 「みんな待った」

 みんなスリスリ。バトルホースも鼻面を押し付けてくる。よしよし。ブランコがジェナを乗せて、ドラちゃんとドラニちゃんと遊び始める。賑やかだ。

 それじゃ、神国に戻りますか。みんな戻るよ。神国に転移。


 バトルホースと馬車はすぐ二百人衆が預かってくれる。また明日使うと言っておいた。

 ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんも帰ってきた。

 みんなでお風呂に入って食事。


 ドラちゃんとドラニちゃんの話が止まらない。馬車の乗り心地の話、盗賊の話、野外トイレの話、食事の話、岩塩の話など。二人でひっきりなしにお話している。アカとエスポーサが頷いて聞いている。ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんも珍しい話に聞き耳を立てている。ドラちゃんとドラニちゃんの社会見学にもなったようだ。


 ブランコは横になって、ジェナを寝かしている。

 マリアさんと僕で夕食の準備。たまにはこういうのもいいね。


 岩塩の話は僕からも話をした。エチゼンヤさんが大忙しになりそうだと皆で笑った。


 いつも通りみんなでくっついて寝る。ジェナは僕とアカとの間だけど、ゴロゴロして最後はブランコにペロリしてもらってお腹に埋もれてスースー。


 朝起きて朝食が終わる頃、二百人衆がバトルホースに馬車を引かせて来てくれた。


 昨日のとおりと思ったら、ステファニーさんとアヤメさん、オリメさんが、岩塩平原を見たいというのでまずは馬車ごと全員で昨日の馬車の停車位置まで転移した。

 ドラニちゃんが三人を乗せて、岩塩平原を一周して、神国に転移して三人を送って、馬車の元に戻ってきた。ほとんど時間はかからなかった。

 僕らは元のテントに転移。


 おや、夜中に訪問者があったようだ。しかも入り口でない後ろの方だね。悪意を持ってバリアに触れると手が真っ黒になって痺れる仕掛けだったが。訪問者さんはどうしたかね。そのうちだんだん痛くなってくるようにしてある。今はまだ耐えられるだろうがいつまで頑張れるか。


 他の人は朝食が終わったようだ。僕らもテントを出てテントを片付けた。馬車の鐘が鳴る。集合して今日は出国の手続きから始まる。皆並んで書類を見せて国境を通過。僕らは最後だ。商業組合の永年会員証を見せて通過。永年会員の家族は通過していいらしい。アングレア側の詰所には誰もいない。聞いたら一月交代でやっているのだそうだ。さすが友好国。馬車に乗った。


 馬車の屋根の上に登った人の一人が両手に布を巻いていた。もうバレているんだけどね。観察ちゃんの映像で。お仲間が出て来るまで泳がしているんだよ。


 2時間ほどして最初の休憩になった。屋根の上の人もみな降りて森の中へ。この辺りは森の中の街道だ。僕らも一応森の中へ。


 「おとたん、あいつ消す?」

 「ドッカンがいい」

 「もう少し人数が増えてからがいいんじゃない。一人じゃ数が足りないわよ」

 マリアさんだ。うちの家族は過激だね。


 「お仲間がもう少ししたら出て来るだろうからもう暫く待ってね」

 ドラちゃんとジェナをよしよしする。目を細めて嬉しそうだ。


 馬車の鐘が鳴ったので馬車に戻る。

 「二人戻らないぞ」

 御者が話している。屋根の上の人だね。一人はもちろんさっきの話題の手に包帯の人だ。


 「もう一度鐘を鳴らそう」

 鐘が鳴った。暫く待っても戻らない。

 3回目の鐘が鳴って馬車は動き出した。護衛の人が剣を確かめている。来るんだろうね。


 『シン様、シン様。22人いるよ。馬車から降りた2人が案内してくれた』

 それは尾行したの間違いだと思うぞ。

 『わかった。危ないから戻っておいで』

 『丸太で道を塞いでいるよ』

 ますます危ない。アカの馬車の中に観察ちゃんを転移させる。

 もっと見たいとか言っていた。


 アカの馬車の皆さんも飽きていたようだから詰めてくる。もう追いついた。

 御者さんが後ろを心配そうに見たが作りの良い上品な馬車なので安心した顔をしている。


 護衛さんが下がって御者をしているエスポーサに何か言っている。共闘のお願いかも知れない。もう間も無く接敵とわかっているから、普通なら逃げられないから共闘するしかないからね。


 エスポーサも人化しているときはなにか武器が有ったほうがいいかね。薙刀なんてどうだろう。作った。反りは小さい。僕の趣味だ。柄も僕の作ったものだから、木に見えるけど剣に切りつけられても切れないぞ。

 ブランコのも作っておこう。薙刀に似ているグレイヴだな。作った。刃はシンプルだ。相手の武器を受け止める機能は必要ないからね。柄の部分には天狼を彫っておこう。エスポーサの柄にも彫る。お揃いだ。彫ったところはシン金属で埋めておこう。埋めたと言ったが柄と一体だから剥がれることはない。おお、綺麗だ。いい出来だ。二人の収納にプッシュしておこう。


 ドラちゃんとドラニちゃんは、武器はいるのかね。前にやった棒で十分だろうね。でも欲しがるだろうな。短槍にしよう。柄にはもちろんドラゴンを彫った。彫ったところはシン金属で埋めた。いいねえ。投げても手元に戻ってくるようにした。これでみんなに武器が行き渡ったかな。

 刃?刃はもちろんみなシン金属だよ。


 護衛さんが戻ってきた。道がカーブしている。曲がった先に丸太だ。面白い。周りの木の陰に弓を持った人がいるね。あ、弓の弦が切れた。観察ちゃんが道の両側にいてあっという間に弓の弦を小さい棒で切ってしまった。あせっているぞ弓部隊。なんで切れたかわからないだろう。

 危ないことをしちゃだめと言っているのに。でも危なくはなかったか。褒めたいけど図に乗るといけないな。難しい。こっちを見て褒めて褒めてと言っている。可愛いからいいか。よしよし。よくやった。危ないことは駄目だよ。嬉しそうだ。


 周りを盗賊が取り囲んだ。

 「金持ちが乗っていると聞いた。誰だ?」

 みなに迷惑がかかるといけないから名乗ろう。

 「僕かなあ」

 「なんだ。坊主か。金をもっているのか?」

 「今、持ってないよ」


 「チッ、誘拐は面倒だ」

 「そうだよねえ。この間も20人誘拐されて、結局人質は奪還されて犯人は皆殺しだったね」

 「よく知ってるな」

 「よーく知っている。誘拐する?」

 「するか。気味の悪い坊主だな」

 「降参する?降参すれば命までは取らないよ」

 「するか」


 「後ろの馬車にも強い人が乗っているよ。馬も強いし。ほら馬を馬車から外した。馬が暴れ放題だよ。馬だけで全滅するよ」

 「くそ、弓で馬を狙え」

 「弓は駄目みたいだよ。弦が切れちゃった。安物の弦だったんでしょう。もっと丈夫な弦がいいよ」


 「もう一度聞くけど降参する?」

 「しない。するわけ無いだろう。こっちのほうが人数が多いんだぞ」

 弓部隊も弓を諦めて降りてきた。

 「人数じゃないんだけど。それじゃさようなら」


 バトルホースに合図する。

 あっという間に盗賊を蹂躙してしまった。文字通りの蹂躙だ。盗賊の皆さんは蹄の下だ。


 さっきお話した親分さんだけ生きている。

 「お仲間は他にいますか」

 「いない」

 「そうですか。アジトはありますか?」

 「ない」

 「ふうん。まあいいや」


 ドッカン、ドッカンと山の奥で音がした。ブランコとドラニちゃんだね。ドラちゃんが残念という顔をしている。

 「お仲間もアジトも潰れたようだよ」

 盗賊さんは黙っている。


 「護衛さん、これはどうするの?」

 呆然としていた護衛さんが我に返った。

 「縛って歩かせて王都まで連れて行って衛兵に渡します。賞金首でしょう」

 「そうですか」


 「じゃあとのことはよろしく」

 馬車に同乗していた中年さん二人に声を掛けた。

 「バレてましたか」

 「商業組合の方ですよね」

 「はい。何かあってはいけないと組合長が」

 結局お客さんはおばあさんと屋根の上の人だけだったか。


 「じゃ僕は、迎えの馬車が来ましたので、ここでおります。賞金首の賞金は護衛さんの傷の手当と、あとは組合で使って下さい」

 「ありがとうございます」

 皆さんに挨拶して後ろの馬車に。


 バトルホースもつなぎ終わったし、少し先に行って転移しよう。馬車は僕とアカとジェナとマリアさんだ。エスポーサが御者。ブランコとドラニちゃんは外がいいらしい。ドラちゃんもぱっぱと服を脱いでミニドラゴンになった。外から見えないからいいんだけどね。ドラちゃんが外に出ていつもの配置だ。前の馬車が脇に寄ってくれる。ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんが先に行く。丸太はブランコが蹴飛ばした。


 ジェナが外に行きたいようだ。

 「行っておいで」

 ふわふわ飛んでブランコの背中にストン。

 ブランコが嬉しそうだ。ウオンと言っている。


 僕はアカを抱っこします。マリアさんは僕の隣。バトルホースも僕たちを乗せて嬉しそうだ。せっかくだからもう少し乗っていよう。観察ちゃんは両脇を走っている。タフだね。疲れを知らないようだ。地図がどんどん出来ていく。

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