表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

259/499

259 ジェナの社会見学 −駅馬車の旅− 岩塩を発見した

 駅馬車でしばらく移動してお昼休憩となった。食事が配られるが、硬いパンに水だった。食事かというようなものだ。食材は傷むし、調理する時間もないからしょうがないか。


 皆馬車から降りて、御者が敷いた薄い敷物の上に座り込んでいる。水にパンを浸し食べている。馬車に揺られて疲れたんだろうね。おばあさんは横になっている。

 僕らは少し離れて自前の敷物の上だ。僕はマリアさんの膝枕。ドラちゃんは僕の右腕の中、ジェナは胸の上だ。羨ましそうな視線を感じるけど無視です。食事?配られたパンに見せかけて美味しいパンを食べました。


 「ドラニちゃんはずっと飛んでいるけど疲れないの?」

 「翼を広げているだけで力も何も要らないの。寝ててもいいの」

 「そうなの。それじゃ大丈夫だね」

 「でも飽きちゃうの」

 「そうだろうな。僕たちも馬車の中ではあまり話せないし。困ったね。馬車も意外と大変だ。馬車より歩いたほうが楽で、早いのではないか」


 ジェナが起きた。

 「おとたん、おかたんのところに行ってくる」

 返事するまもなく消えてしまった。胸の上が軽くなる。あれ、困ったぞ。まさかジェナの身代り君を作るわけにはいかない。一応バリアを張ってジェナが胸の上に乗っている画像を貼り付けておく。


 じゃドラニちゃんのところまで行きますか。

 ドラニちゃんの近くに転移。ジェナはアカにベッタリしていた。僕はドラニちゃんの頭のあたりで一緒にふわふわ。いいこいいこする。つまらなかったようだ。

 困ったね。よし。それなら馬車を一台作って、バトルホースに引いてもらって少し後からついて来てもらおう。


 みんな嬉しいと言っている。エスポーサにバトルホースを神国まで取りに行ってもらう。一頭でいいけど。

 それじゃ休憩場所から見えないところに降りてもらおう。もちろん、ドラニちゃんが見えないようにした。


 馬車は僕ら家族が全員ゆっくり乗れる大きさがいいのだろうけど、悪路だし馬車を使うことは殆どないからね。とりあえず6人乗りの物を作った。

 ちょっと豪華だねえ。盗難防止付きだよ。というか、僕ら家族しか許可なくして触れない。

 エスポーサがバトルホースを2頭連れてきた。競争が激しくて2頭に絞るのに苦労したそうだ。

 馬車に繋いだ。嬉しそうだね。僕は乗っていかないよ。あ、少しがっかりした。でもアカは乗るよ。持ち直した。バトルホースは、なりは大きいけど可愛い。


 エスポーサは御者をするつもりで人化してきたからお願いする。アカとブランコ、ドラニちゃんが馬車の中だ。皆くっついてくるからよしよしした。観察ちゃんは屋根の上だ。いつの間に。バトルホースについて来たらしい。わかりました。好きにして下さい。こちらは乗り心地はいいからね。アカも調整してくれるし。滑るように動けるだろう。


 もうそろそろ時間だね。ジェナを抱き取って転移する。ちょうど出発の鐘がなった。敷物を片付けて馬車に向かう。


 午後の部開始だね。強盗騒ぎもそんなに時間がかからなかったから今日中にアングレアとの国境あたりまでいけるのでは。それにしても人の往来がないな。馬車も人もいない。


 「いつもこんなに馬車も人も通らないのですか?」

 「前は塩商人が通っていたけど、今は神聖教国が無うなって塩商人も通わない。今は神塩があるからいいけど、早く塩が流通して貰わないと困る」

 「神聖教国はどうなったんでしょうか」

 「あそこは自分で物を生産してなかったからね。信者がいなくなれば食べるものが無いからみんなバラバラに周辺に流れたようだよ」

 なかなかおばあさんは物知りだ。

 僕の配った塩が無くなりそうになればみんな考えるだろう。


 「出発」

 御者の声がして馬車が動き出した。またまた無言で揺れに耐える時間の始まりだ。

 二時間半ほどして馬車が止まった。小さな泉があって、そのためいつもここで休憩するらしい。


 泉の水を飲んでみた。かすかに塩気がある。人では気が付かないだろう。泉の奥は山地だな。その山を越えると滅びの草原だ。多分調査していないだろう。観察ちゃんにドラニちゃんに乗ってもらって調べてもらおう。


 『シン様、シン様、ドラニちゃんと行ってみるの』

 アカがついていくようだ。馬車は道端に止めて、ドラニちゃんにアカと観察ちゃんが乗って飛び立った。エスポーサとブランコは留守番。


 すぐ泉の奥の山向こうに到着。

 『シン様、シン様。白いの。白いのが高く積み上がって上は黒いので蓋がしてあって滅びの草原まで広がっているの』

 アカが良質な岩塩で大量にあると申しております。


 多分山の街道側は簡単に調査したんだろうけど、山向こうは滅びの草原に続いていると思って、調査はしなかったんだろうな。

 観察ちゃんの映像を見ると確かに大量にある。平原になっている。採掘と言うか、側面から採取でも当面なくなる心配はないぞ。アカに少し採取を頼んだ。

 エチゼンヤさんに手紙をかこう。


  エチゼンローコー様

      エリザベス様

  こんにちは

  岩塩を見つけました。

  場所はリュディア王国内でアングレア寄りです。

  エクバティアから東西街道を通ってアングレア王都行きの駅馬車がありますが、日の出とともに始発の便の昼食の次の休憩場所が街道左の泉のところです。その泉から滅びの草原に向かい山を越えたところに岩塩の平原があります。

  お知らせまで。

  岩塩の見本を同封しました。

  ○年○月○日

     樹乃神


 書いた手紙をアカに送った。採取した岩塩の見本と一緒にドラニちゃんにエチゼンヤさんに届けてもらおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ