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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第一部

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025 滅びの草原を魔の森に向かって疾駆する

 翌朝、奥さんから聞いたとマリアさんが部屋に来た。昨日爺さんに話した事をマリアさんにも話した。喜んで一緒に出掛けてくれるそうだ。マリアさんに収納袋を渡した。容量一辺100メートルの立方体のやつだ。


 一週間程時間をくださいと頼まれてしまった。はて何の用があるんだろうと疑問に思ったが、そこに奥さんが湧いて出て

 「女性には殿方と旅行する時は色々と持っていくものがあるのよ」

 そう言われてしまった。

 「物見遊山ではなく、どちらかと言うと冒険者のような旅行ですが」

 「それでもです」

 奥さんにキッパリと言われてしまった。

 「では来週お願いします」と奥さんに頼んだ。

 「さあ、仕立屋に行きましょう」

 奥さんは張り切ってマリアさんを連れ出した。

 

地上15日目

 一週間経ち旅立ちの日、今回は馬車は無しと思ったら馬車が車寄せまで来た。街の門まで馬車で送ってもらうことになった。マリアさんは冒険者風お嬢さん。三頭の従魔。それに少年。たしかに街中を歩いていると目立つかもしれない。馬車が正解だ。おっと馬車の中には奥さんがいた。すぐ門まで着いた。馬車から先に降りると、マリアさんは馬車の中で奥さんに何か言われている。知らんふりを決め込む。馬車とはここでお別れ。奥さんと御者がご無事でと見送ってくれる。


 二人と三頭で門を出る。ここからは街の外だ。街の安全はもうない。門が見えなくなり人通りも無くなったので草原に足を踏み入れる。アカに大きくなってもらって自分の前にマリアさんを乗せる。けどマリアさんにマリアさんの前に乗せられた。


 「軽く駆け足していこうね」

 先頭はブランコ、次にアカ、殿はエスポーサ。いつもの体制だ。徐々にスピードを上げていく。30分ほど経って休憩。早いって?マリアさんが慣れていないから休憩。慣れない騎乗で疲れたみたいだ。


 魔の森の泉の水に谷川の水をポタポタ垂らして飲んでもらう。あれマリアさん、光った。休憩なしで森の入り口まで行きたいから、三頭には魔の森の泉の水を飲んでもらう。途中で喉が渇くといけないからね。ダミーのバックは収納にしまう。マリアさんの腰の剣も収納にしまってもらう。前後を固めてもらっているから安全だし、邪魔だからね。


 「森の入り口まで突っ走るよ。壁を突き破るような感じがしたらそのスピードを維持。ブランコ、何かいたら排除して。エスポーサも頼んだよ。みんな大きくなってね」


 え、アカ、大きくなるとそんなに大きいの?サラブレットの2、3倍あるんじゃなかろうか。もっと大きくなれるの、へえ。ブランコもエスポーサもサラブレットより大きい。乗りにくいからサラブレットの大きさで統一しよう。


 「マリアさんスピードを出すけど、気持ち悪くなったら言ってね」

 「アカさんは駆け足しているのに揺れませんので、大丈夫だと思います」

 「今度はさっきの比ではないスピードです。ただブランコが先頭で風を切り裂きアカも結界を張るので風は来ないと思います。先頭は風を受けるのでエネルギーを使います。そのため途中ブランコとエスポーサが位置を変えたりしますが、問題はありません」


 「アカさんもブランコさんもエスポーサさんも大きいですね。びっくりしました」

 「大災厄か、災厄かというサイズなのでいつもは小さくなっています。相当スピードを出すので馬くらいに大きくなって行きます。音より早く進むため普通だと周りで衝撃波が生じて災害が起こるでしょうが、アカとエスポーサが上手く消してくれますので大丈夫でしょう」


 ブランコが駆け出し、進行方向に向けウオーンと吠え、スピードを上げる。草原なので景色は変わらないし、揺れないのでスピードがはっきりしない。時々ブランコとエスポーサが位置を変える。ブランコは空気の流れの処理が下手だね。後ろを見ると草原が荒れている。衝撃波が発生しいるのではないか。誰も来ないからいいだろうけど、ブランコよ、あとでエスポーサに怒られるぞ。


 一時間ほど走ったら森が見えてきた。余裕だね。どのくらいスピードが出るんだろうか。持続時間も余裕。これ、誰も敵わないだろうな。徐々に減速を始め森の入り口についた。草原の幅は1300ー1400kmくらいかね。確かに国が入りそうだ。


 「マリアさん大丈夫ですか?」

 「ええ、アカさんが走るのが上手でちっとも揺れないのでなんともありませんでした」

 「それは良かった。日はまだ高いですが無理せず今日はここで野宿しましょう」

 魔の森の泉の水を出して三頭に飲んでもらう。マリアさんには魔の森の泉の水にポタポタと谷川の水を垂らして飲んでもらう。おっと、またマリアさんが光った。進化したんだろうか。


 「この水はなんでしょうか。なんだか体が軽くなって力が湧いてくる様です」

 「それはこの先にある泉の水です。普通の水ですよ。多分」

 「さっきポタポタと垂らしたのはなんでしょうか」

 「あれは台地の上の巨樹の森が切れる手前の谷川の水です」

 「台地とは」

 「明日見えると思いますが、この森の奥にある台地です」

 「それって禁断の地のことでしょうか」

 「そう呼ばれているのかも知れません。明日説明します」

 まだ世界樹さんに報告していないからね。でも見ているだろうけど。


 ブランコとエスポーサに夕食用の肉をとって来てもらう。その間にマリアさんのテント張りだ。張り終わると丁度ブランコとエスポーサが肉を持って帰って来た。ヨシヨシする。


 野菜や調味料は市場で購入した物だ。テーブルマウンテンのものはマリアさんが食べられないといけないからね。そんなに凝った料理は知らない。焼くか煮るくらいだ。食材を並べているとマリアさんが手伝ってくれた。野宿の食事は干し肉が基本で、こんなに食材はないそうだ。


 ブランコとエスポーサがとってきてくれた肉を使ったマリアさんの手料理を皆んなで食べる。美味しい。いつも美味しいとしか言って無いような気がするが、美味しいものは美味しいで良いんじゃないか。

 食後の片付けが終わってマリアさんは休むようだ。慣れない事で気疲れしたのだろうな。


 さっき食材を出して気づいたのだが、僕は収納袋を触っていない。もう一度しっかり確認しながら相棒を出す。空間から直接取り出せた。入れる事もできる。収納袋と繋がっている空間庫が出来た。空間庫の容量の上限は無いようだ。


 収納に何が入っているか考えるだけで収納袋と空間庫の収納物リストが頭の中に浮かぶ。どちらからも出し入れ出来るみたいだ。アカも確認している。空間から出し入れ出来ている。空間へ枯れ枝を入れ収納袋から出している。その逆も出来た。空間庫の容量の上限は僕と同じで無いようだ。

 出来たよとこっちを見る。良い子だね。アンクレットは要らないか。無いと寂しいって。そうか、そうか。出来た褒美にアンクレットを作り直してやろうね。金属で作ろう。崖下で採掘した色々な金属で合金を創り出し、アンクレットを作る。うん、鈍色のアンクレットが出来た。空間庫と繋がっている。


 おや、ブランコとエスポーサが一生懸命空間を引っ掻いている。あ、エスポーサが枯れ枝を持ち上げると消えた。足で空間を引っ掻くと枝が出て来た。ヨシヨシして空間庫を確認する。容量は家一軒位だ。収納袋のアンクレットに繋がっている。

 え、アカ親分と同じような金属のアンクレットが欲しいの。それじゃご褒美に作ろう。さっきの合金でアンクレットを作り、今までのアンクレットの収納機能を合金アンクレットに移す。出来た。


 ブランコが両足で空間を必死に引っ掻いている。泣いているよ。エスポーサと宥める。

 ブランコの前足を取ってゆっくりと一緒に空間庫できろと念じる。エスポーサが頭を撫でてやる。何回かやると出来た。一人でも出し入れ出来たよとクリっとした目で見つめて来る。エスポーサではないが、出来の悪い子が出来るようになると嬉しいな。可愛い。ヨシヨシ。容量が馬車一台くらいなのは、内緒だ。金属アンクレットも作ってやろうね。ほら出来た。


 アカがみんなで同じ物をつけようと言っている。ブランコとエスポーサも、うん、うんと言っている。そうかい、じゃ金属のバングルを作ろう。マリアさんのも作ろう。全員の分が出来た。ついでに首輪も作った。一晩熟成させよう。全員分を収納袋に入れてテントのそばでアカに包まれて寝る。


 ブランコとエスポーサはテントの側とアカの側に分かれて警戒体制で丸くなる。良い子達だね。アンクレットの出来を楽しみにしてね。

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