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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第三部

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249/499

249 エレーネ女王と兵が誘拐された子供を奪還しリュディア王国まで送り届ける

 初めてシン様から直接依頼された作戦に兵は奮い立つ。翌、日の出とともに出発。午後には布陣完了。人質奪還後帰還する兵40が背嚢で運んだ食糧を中心に夕食と朝食にした。


 昼前に観察ちゃんが身振りで馬車の到来近しと告げる。帰還する兵が神剣を抜刀。馬車が目前に来た時、エレーネ女王の合図とともに馬車に襲いかかった。馬車から飛び出して来た賊も含めあっという間に馬車の外の賊を殲滅。

 馬車の中では身代わり君一号が奮戦。腕を振るうたびに賊が馬車を突き破って外へ投げ出される。犯人のくるぶしの少し上あたりまでしか背がない観察ちゃんが賊に体当たりをすると信じられないことに賊が馬車を突き破って外へ。


 身代わり君一号と観察ちゃんが賊全員を2台の馬車の外に追いやり、観察ちゃんが短い棒を振るうと賊の首がスパンスパン。兵が目を瞠る。さすが神兵は小さくとも恐ろしいと思った。


 エレーネ女王が叫ぶ。

 「賊の死体を片づけよ。人質の子供に酷い所を見せるな」

 賊の頭を数えると15あった。


 人質の子供を馬車から降ろし、シートの上に座らせて休ませる。

 人質の子供は元気だった。小さい動物が犯人の目を盗んで食べ物と水を供給してくれたと言っていた。


 エレーネ女王がひと息ついた子供達に説明する。

 「私はシン様から君たちの奪還と、リュディア王国への移送を依頼されたアレシアス王国女王、エレーネである。なお、君達を世話してくれた小動物は、観察ちゃんと言ってシン様の兵である。休憩後ただちにリュディア王国に向かう。また移動だが今度はシン様がお作りになった馬車だ。揺れは少ない。国に、家に帰る旅だ。頑張ろう」


 「その前に君たちの名簿を作る。侍女が回るので用紙に記入して欲しい。ハミルトン公爵家の子はいるか?」

 利発そうな子が手を上げた。

 「道中、君が纏め役になりなさい。高い地位にあるものの務めだ」


 観察ちゃんが女王の服の裾を引っ張る。他の観察ちゃんが帰るらしい。人形が一体手を上げた。

 「シン様の観察ちゃんと人形さんが帰るらしい。礼を言おう」

 口々に礼を言う。観察ちゃんと人形が消えて行く。初めて見る転移に子供達がどよめく。


 観察ちゃんが戻って来た。身代わり君一号も。ご苦労さん。

 『うまくいったの』

 『世界樹様にもらった棒はスパン、スパンなの』

 『シン様にプッシュしてもらった食糧で助かったの』

 『犯人の食事は不味くて少ないの』

 そうかそうか。長い間ありがとう。みんなを抱いて十分よしよししてやる。


 『シン様に褒められたの。嬉しいの』

 『じゃまた何かあったら頼むよ』

 スパエチゼンヤに転移させる。大人しくしているか不安だ。


 身代わり君一号は、全く傷んでいない。汚れ飛んでけはして、オリメさん、アヤメさん、エスポーサに頼んでアヤメ商会に返却だ。


 そうだ。エリザベスさんから頼んでもらって、エレーネ女王一行のアングレア王国内の移動をサポートしてもらおう。費用はハミルトン家につければいいよね。


 そうそう、花街の女将さんにもういいと言わなくてね。宰相殿に連絡してうまく処理してくれるだろう。


 かくしてアングレア王国、東西街道終点、爺さん国境監視所に国軍が到着。爺さん連中はびっくりするのである。


 エレーネ女王は騎乗。周りを騎乗侍女軍団が固める。

 兵は、いち、にい、さん、しい、そーれ、の掛け声とともに駆ける。

 シン様製の馬車は揺れも少ない。

 兵站部隊の荷車は馬が引き、兵站部隊の兵は、いち、にい、さん、しい、そーれで走る。

 兵も馬もシン様に訓練してもらっているのでエレーネ女王一行は快走。


 亡国を通過。アングレア王国の国境監視所に着いた。

 国境監視所にはアングレア王国国軍が待機していた。


 将校がやってくる。将校が名乗り、続ける。

 「ようこそ。アングレア王国へ。これよりリュディア王国国境まで我々がサポートさせていただきます。兵糧、誘拐されたお子さんの食事、休憩場所、宿泊施設はすべて我々が提供いたします。兵糧は痛みやすいものを除き、監視所に預けてください。リュディア王国に入っても同様にサポートさせていただくとのことです」

 「わかりました。ありがとうございます。では兵糧は預けさせていただきます」


 荷車を預け、馬に鞍を乗せた一行。身軽になり、騎乗が増え、ますます快走である。国軍も自国内であるので拠点、拠点に兵糧が用意してあり、身軽で快走しているはずなのだが、ともすれば整然と走る女王一行に遅れをとってしまうのである。宿泊して翌日はスピードが落ちるかと思ったが全く落ちない。何泊しても翌日は快走。これが噂に聞く軍事オタクの女王かと身をもって納得したのである。


 リュディア王国との国境に着く頃にはアングレア王国の兵馬は疲労困憊、やっとリュディア王国の兵に引き継ぎ、バッタリと倒れこんだ。


 ハミルトン家の馬車が待っていて、坊ちゃんを乗せようとした。

 坊ちゃんは首を横に振る。

 「迎えご苦労。だが僕はハミルトンの者としてこの者たちが家に帰るまで見届けなければならない。先に帰っていよ」

 「坊ちゃん、立派になられて」

 執事は涙である。


 後に誘拐された仲間の18人は、ハミルトンの18人と呼ばれ隠に陽に様々な立場でハミルトン坊ちゃんを支えていくのである。ハミルトン坊ちゃんも18人と生涯交流を絶やさなかった。


 女王一行は意気軒昂、引き継ぎが終わったと見るやすぐ走り出したのである。慌てて走り出すリュディア王国兵。死ぬなよとアングレア王国の兵から声がかかる。


 女王一行は、徒士の、いち、にい、さん、しい、そーれ、の掛け声とともに東西街道を疾走。息も絶え絶えのリュディア王国兵が追う。


 王都に近づく。馬に乗った男が待っている。ゴードン鬼教官である。馬はバトルホースだ。女王、侍女の着替えのためのテントも張ってある。

 「ここからハミルトン邸まで案内する。王都内に入ったら徒歩行進だ。身なりを整えたら出発だ」


 女王、侍女はシン様からいただいた白い華麗な軍服に着替えた。騎乗で城門まで進むと、整列した精悍な男たちが待っていて馬を預かってくれた。訓練に付き合ってくれた人たちだ。

 城門はフリーパスで通過。王都に入った。

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