247 ジェナと遊んで子供が怪我をする
エスポーサも帰って来たし、心配だからアカとジェナを孤児院に迎えに行く。
あれ、どうしたのかな。静かだ。
三馬鹿がすぐやって来た。遊んでいる拍子にジェナと子供がぶつかって何人か複雑骨折をしてドラちゃんが治している。
アカが飛んで行ってすぐ完璧に治した。ジェナが泣いている。
「ごめんね、ごめんね」
子供に謝っているが子供は怖いものを見る目つきでジェナを見ている。
子供がトラウマにならなければいいが。
アカがすぐ子供全員の記憶をたまたま遊びに来た小さな子供と楽しく遊んだと書き換えた。
三馬鹿に謝った。こちらこそちゃんと見ていなくて辛い思いをさせたと謝られた。
「ジェナ、子供は大丈夫だ。痛い思いも覚えていない。よその子と楽しく遊んだ思い出があるだけだよ。ジェナが悪いんじゃない。おとたんとおかたんが悪いんだよ。さ、おじさんにごめんなさいして帰ろう」
「ごめんなさい」
「ジェナちゃんは悪くない。いいんだよ。ジェナちゃんと楽しく遊んだ思い出しかないから子供もつらくないよ」
「ごめんなさい」
「すまなかった。これを使ってくれ」
木製の小さなブランコ馬車、ドラちゃん馬車、ドラニちゃん馬車を作って出した。4輪でまたがってこぐか、綱で引っ張るかだ。ブランコの頭には小さなジェナが乗っている。丈夫で安全設計だから何年も使えるだろう。
「かえってすみません。おもちゃが積み木しかなくて助かります」
アカがジェナを抱いてみんなで転移。
アカはジェナを抱いたまま先に寝室へ行った。
ブランコとドラちゃんとドラニちゃんが落ち込んでいる。
三人を抱っこして、みんなは悪くないよ。よく面倒を見てくれている。僕とアカが油断したんだ。みんなにもジェナにも可愛そうな事をしたね。ごめんね。僕らは人とは一緒にいられないのに、ついジェナが小さいものだから判断を間違った。ごめんよ。
ジェナはみんなとしか遊べない。これからも一緒に遊んでくれる?
うん、だそうだ。
三人を十分撫でてやる。
みんなが帰って来て揃った。ジェナの事を話した。
「可愛そう。みんなで気をつけてやりましょう。暇な時は遊んであげましょう。ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんもごめんね、辛い思いをさせちゃって」
ステファニーさんが代表して言ってくれた。
ブランコはエスポーサに甘えている。ドラちゃんとドラニちゃんは僕にぴったりくっついている。
マリアさんが今日はこのまま寝ましょうと言ってくれた。よくできた姉妹だ。汚れ飛んでけして着替えて寝室に。
ジェナはアカの胸に縋りついて啜り泣いている。みんなでそっといつもの位置に横になる。
ジェナはおとたん、おかたんと言いながら泣いている。痛々しい。二人でジェナを抱きしめる。
しばらくしたら寝息が聞こえて来た。アカとホッとする。子供は大変だ。世の中の親の苦労、三馬鹿の苦労もわかった。
アカがうんと言っている。
朝になるとジェナはいつも通りブランコのお腹にくっついて寝ていた。良かった。
「朝よ」
アカがジェナに声をかけた。ブランコがジェナをペロリとなめる。
「おかたん、おにたん」
ジェナがいつも通りニコニコしている。小さいなりに理解したのだろう。
『シン様、シン様』
『なんだい?』
『ジェナ様は二百人衆の神国で生まれてすぐ線指輪をした子と遊ばせるといいの。ぶつかったくらいだと骨折しないの』
『そうか』
『プリメーロ、プリメーラがもう少し大きくなったら遊ばせるといいの。今回は油断したけどもう油断しないの。あたし達も見ているの』
『その時は頼むよ』
『シン様に頼まれたの』
嬉しそうだ。
『それがいいわね。神国の子なら、あそぶ時は軽く保護をかけとけばいいし。神国生まれは本能でわかっているから成長しない事を気にかける必要もないわね。それにふつうの子より成長が遅いから長く遊べるわね。気づかなかったわ。ありがとう』
『アカ様にお礼をいわれたの』
嬉しそうだ。
少し先だけど、ジェナの遊び相手の問題は解決した。アカによると神国の子は三、四歳までの大きさになるまでは成長が早いがそれからゆっくり成長するのだそうだ。
朝食の時アカが抱っこしたジェナに話した。ジェナはぱあっと明るい笑顔になった。昨夜、もう同じような子供と遊べないと観念したらしい。
ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんもホッとしている。
ステファニーさん、マリアさん、オリメさん、アヤメさんも良かったと言ってくれた。
観察ちゃんに感謝だな。ほんとによく観察している。




