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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第三部

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245/499

245 誘拐の首謀者が判ったので忙しい

 魔の森から神国の泉の広場に転移。二百人衆に拝跪される。観察ちゃん以外は全員人化して世界樹製服を来ているからね。神様モードだ。


 軽く祝福して、すぐ自宅スパ棟へ。スパです。お風呂です。相変わらず、混浴です。僕、小さくなってしまった。残念。すぐ着替えます。僕は11歳です。


 観察ちゃんはいそいそと転移でスパエチゼンヤに行きました。きっと、合併、分裂を繰り返して、みんなに小さな棒と水筒が行き渡るようにするに違いない。交換した水筒?どうなるのかね。わからんけど上手くいくんじゃないか。アカが合併すると前の水筒は消えるようにしておいたと言っています。


 誰か来ました。夫婦が赤ちゃんを連れてきました。

 はいはい、祝福ですね。

 男の赤ちゃんですか。名前をつけましょう。光った。

 アカがお盆に水の入った銀色の器と線指輪をのせて待っている。

 唇に水をポタポタ。口をもぐもぐしている。光った。線指輪をしてやる。光った。

 母親に手を向け、

 「お乳がよく出るように」

 「健やかに成長するんだよ。幸あらんことを」

 赤ちゃんに手を置いて祝福した。

 あれ、メーメーさんに言ったような気がする。いいか。

 若夫婦はお礼を言って帰っていった。お乳の出が良くなくて心配していたらしい。


 ステファニーさんが一言。

 「だんだん祝福が様になってきましたね」

 アカが楽しんで道具を用意しているからね。祝福を受ける人も喜んでいるらしいからそれでいいか。


 それから6日、飽きるね。誘拐犯はやっとアングレアの東、爺さん国境監視所を通過と観察ちゃん。

 観察ちゃんが映像を送ってくる。ホッとしたのだろう。色々話している。依頼主も話したぞ。オアシスの三族長の一人、カーファだ。そうかい。これで懇切丁寧にお聞きする必要がなくなったな。さてどうするかな。ここは、アレシアス王国の人たちに参加してもらおう。


 翌日、観察ちゃんが連絡してきた。ハミルトン公爵が孫のことが心配で衰弱しているらしい。倅は心痛だろうが今のところ衰弱まではいっていないと報告があった。今回、ハミルトン公爵は被害者なので、教えといてやるか。エリザベスさんからだと嫌だろうな。


 まずはエリザベスさんに教えておこう。

 携帯でいいな。

 誘拐犯は今、アングレア王国を出たところの亡国の森の中で休憩。依頼者の目星が付いたので、アレシアス王国に入ったところで子供をアレシアス王国の人に奪還してもらうつもり。子供は全員無事。ハミルトン公爵は衰弱しているようだから、少し情報を与えておくと連絡した。

 エリザベスさんもハミルトン公爵の衰弱は掴んでいたそうだ。なかなか難しい関係なので何も接触していないという話だった。やっぱり。


 おお、忙しくなったぞ。

 まずは、ハミルトン公爵だな。

 次に、アレシアス王国へ連絡だな。

 それから、カーファ族長の情報をラシードさんから仕入れよう。ラシードさんは、どこかな。いたいた。シナーンさんのオアシスを抜けて、次のオアシスに行く途中だな。観察ちゃんを送り込んでおこう。でも暑いのは大丈夫かな。


 『シン様。シン様、水も木の実もあるから大丈夫」

 『暑いから駄目』

 『ねーねーシン様。熱転換シートで服を作ってちょうだいなの』

 いつ熱転換シートなんて覚えたのか。言った覚えはないぞ。怪しい。ま、いいか。

 『わかった。二着作ろう』

 『ありがとうなの』


 オリメさんとアヤメさんに、観察ちゃんの服を熱転換シートで作ってもらうように頼んだ。リバーシブルにしてもらう。

 「こんな生地でどうでしょうか」

 丈夫で薄い生地を収納から出してきた。色は薄墨色だ。なんとなく出来はわかった。忍者服だ。もう一枚の布は鴇色だ。


 熱転換加工をする。これぞリバーシブルが役に立つぞ。寒くなっても裏返せば温かい。冷えすぎ熱すぎはいけないからちゃんと調節した。体と服の間の温度が32度前後になるようにしておこう。あれ、観察ちゃんの体温はどのくらいなのだろう。寒いときは寒い、暑いときは暑いと思えば温度が変わるようにしておこう。熱転換ではなく熱調節になってしまった。あれリバーシブルにする必要ないか。首筋、頭も保護するようにしてもらおう。


 「生地はいいと思います。熱調節加工をしますね」

 要望をつたえたら過保護と言われてしまったが昼食までには作ってくれることになった。

 小さくても小さいなりに手がかかるらしい。


 僕たちはどうなんだろう。あれ、熱転換シートがあれば涼しいが、なくても苦労した記憶がない。観察ちゃんもほんとは熱調節服はいらないんじゃないか。砂漠に行く口実だな。ま、いいか。観察忍者は可愛いし。ある時は観察忍者参上、ある時は鴇影忍者参上。いいね。


 ええと、次は。

 アカが忙しい方が楽しそうと言っています。そうなのかもしれません。


 さて、ハミルトン公爵の番だ。どうするかな。うつらうつらしているだろうから、夢枕に立つか。

 アカが一緒に行くと申しております。青年になって世界樹製の服を着ていくといいと申しております。

 さいですか。二人で着替えました。


 じゃちょっとハミルトン公爵のところに行ってくるねと言いかけたところで気が付きました。今日は管理職さんは仕事、オリメさんとアヤメさんには仕事を頼んだし。留守番は、三人組とジェナだけだ。大丈夫か。


 アカが、大丈夫、だろうと申しております。いささか自信が無さそうですが。うーーん。いいことを思いついた。保父さんに頼もう。三馬鹿さんはどこかな。いたいた。孤児院だ。ゴットハルト、ラインハルト、ベルンハルトの三人とお仲間さんが保父をやっているぞ。


 アカともう一度着替えます。僕もアカも美男美女だとまずいからね。美男美女は自称です。


 三人とジェナに言い聞かせます。

 「ちょっと用があって出かけるから、その間、三馬鹿ハルトさんの孤児院で遊んでいてくれるかな」

 「いいよ」

 返事はいいね。転移。


 「三馬鹿ハルトさん、こんにちは」

 「シン様、どうしたのですか」

 「一時間ばかり、この三人とジェナを預かってもらえますか」

 「いいですよ。どうしたのですか」

 三馬鹿さんを脇に呼んで説明しておいた。

 あのハミルトン公爵も弱点があったかとの感想でした。だいぶリュディア王国にも詳しくなったみたいだ。

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