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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第三部

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244/499

244 ジェナを世界樹の元に連れて行く (下)

 霧が頬に触れて流れていく。目を開けると真っ白だ。

 「最初もこうだったね」

 アカが更にくっついてくる。

 最初と違うのはみんながいることだ。

 まだ何も見えないから静かにしている。


 だんだん霧が薄れてくる。少し明るくなってきた。

 皆起きてきた。ドラちゃんとドラニちゃんは伸びをしている。ジェナがゴロゴロしてきた。

 よしよし、起きたね。水を飲むかい?

 抱っこして里芋の葉っぱのコロコロした水を見せると葉っぱを揺らしてコロコロ水を動かしてキャッキャッと喜んでいる。葉っぱに顔を突っ込んだ。

 「おとたん、美味しい」

 里芋の水は気に入ってくれたようだ。

 みんなも飲んでいる。美味しいよね。

 ジェナはふわふわ世界樹のもとに飛んでいってくっついて、おかたん、美味しかった、だ。どういたしましてだそうだ。


 朝食は、巨樹の森の恵みだ。午前中は好きにしてもらう。

 ドラちゃん、ドラニちゃん、観察ちゃんは、世界樹を登っていった。

 マリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんは、果樹などを収穫しに行った。

 ブランコはジェナをつれて探検だそうだ。危なっかしいのでエスポーサがついて行った。


 僕とアカは世界樹に寄りかかっている。

 「随分色々あったね」

 「そうね。でもいつも一緒にいられて嬉しい」

 「いつも一緒にいようね」

 手を繋いで、うとうと。

 夢の中で、僕が帰ってくると、アカが尻尾を振りながら走ってきて抱きつく。いつも一緒にいたいのに、そういうわけにもいかないから、しっかり抱っこして撫でてやる。顔をペロペロしてくる。いつも一緒にいたいね。ペロペロ。でも幸せな日々は長くは続かなかった。僕が出ていたときにアカは病気で亡くなった。最後は僕が帰ってくる道の方に2、3歩歩いて亡くなったそうだ。アカを撫でてももう返事をしない。段ボール箱に入れて、庭の花を取ってきて箱に入れてやり、庭の隅を深く掘って埋めてやった。アカごめんね。一緒にいられなくて。もっとかまってやればよかった。もっと遊んでやれば良かった。もっと撫でてやればよかった。もっと一緒に散歩に行けばよかった。ごめんね。

 目が覚めた。アカが隣りにいる。良かった。手をしっかり握る。

 夢を見たの?

 うん、ちょっと悲しい夢。

 そう。今度はずっと一緒にいられるわ。

 一緒にいようね。


 頭の上から音がする。ドラちゃんたちが帰ってきたようだ。

 「一着」

 ドラちゃんが落ちて来たので捕まえて抱っこ。ドラニちゃんと観察ちゃんが相次いで落ちて来たのでキャッチした。みんな抱っこする。ドラちゃんとドラニちゃんは人化しているから大きいけど僕も青年だから大丈夫だ。


 「てっぺんまで行けたかい?」

 「途中まで」

 「てっぺん見えないの」

 「高いの」

 「そうか。楽しかったか?」

 「楽しかったの」

 3人はアカと僕を行ったり来たりしてお話してくれる。いい子たちだ。


 ガサガサと音がしてブランコが里芋の茎をかき分けて来た。ジェナはエスポーサにおぶさって寝ている。

 「お帰り。ジェナも満足したようだね」

 「はい。ブランコとかくれんぼして遊んでいました」

 「ブランコ、ありがとう」

 「こんなことしかできないから」

 「そんなことないよ。いつも先頭に立って引っ張ってくれているし、ジェナもおにたんと言ってブランコに寄りかかって寝るし、助かっているよ。頼りにしているよ」

 「うん」

 いい子いい子してやる。嬉しそうだ。ブランコはなりは大きいけど可愛いね。エスポーサが可愛がるわけだよ。


 ステファニーさん達も帰って来た。

 ジェナも目が覚めた。

 じゃ昼食にしようね。

 世界樹の根元で森の恵みで昼食にした。


 休憩して下界に戻ろう。

 みんなで世界樹に抱きついた。

 「また来るね」

 『いつでも帰ってきなさい。待ってるわ』


 里芋さん、僕が生きていられるのも里芋さんのおかげだよ。ありがとう。

 葉がざわついて返事をした気がする。


 泉まで行こう。ジェナはふわふわ飛んでいく。ドラちゃんとドラニちゃんもふわふわ付いていく。人化しても飛べるのか。当たりまえか。

 泉で水筒を回収。ジェナの収納にも入れてやる。


 泉の水を心ゆくまで飲む。美味しいな。一番美味しいだろう。もちろんみんなも飲む。ジェナを除き、一番美味しい水はここに来なければ飲めないからね。

 ついでだから沐浴。気持ちいい。ただ、みんなも入ってくるから困る。いつものブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんに加え、ジェナも参加してバチャバチャ遊ぶ。すぐ水は澄むからいいんだけど。


 沐浴が終わって、出発。果樹はもう十分なようだ。観察ちゃんが木の実をもう少し欲しいと言うので果樹園に寄った。ジェナはふわふわ果樹をすこしづつ収穫している。

 観察ちゃんが木から降りてきたので、出発。

 竹林を経て、谷川が森の外に出る手前まで到着。水筒を回収、ジェナと観察ちゃん用の空の竹水筒に沈めてあった竹水筒の水を転移させ、収納にプッシュ。ジェナと観察ちゃんにはこの水のことをよく説明した。


 世界樹に挨拶。

 『またねー』

 『行ってらっしゃい、愛しい子たち』

 巨樹の森を出た。


 生き物の息吹が押し寄せてくる。

 いつか巨樹の森に入れるか試した蟻も足元を一生懸命歩いている。

 覚えていないだろうな。世代は変わったろうし。

 覚えているの。へえそうなの。個体は変わっても記憶は集積されていくらしい。ほんとなの。へえ。台地の蟻、畏ろし。またね。


 崖の端まで来た。ここに一泊だ。

 テントを出して、テーブルと椅子を出して、二百人衆が作った食事をいただく。水平線に落ちる夕日を眺めてテントに入って就寝。


 朝はゆっくり起きた。もう日は昇っていた。

 朝食を食べて、崖から飛び降りだ。

 ジェナは自分も飛ぶと言っているが、アカがまだだめと言って抱いてしまった。膨れている。可愛い。

 次々と飛び降りアカと飛ぶ。みんなはちゃんと着地できたようだ。

 僕とアカも着地。


 知らないドカドカオオトカゲが出てきた。

 ジェナがさっきの鬱憤を晴らすように、ぽんした。飛んでった。生きているかね。

 木の陰からいつもの親子が覗いている。ジェナの怪力にびっくりしている。

 ジェナに劣化袋を通したりんごを2つ渡した。ジェナがポン、ポンと投げる。なかなかコントロールがいい。2つとも親子の口に入った。小さくともりんごは美味しいらしい。お礼を言われたよ。

 「またね」


 魔の森の泉まで駆け足。

 泉から水筒を引き上げ、さっきと同じようにジェナと観察ちゃん用の竹水筒に水を移し替え渡す。これは一応普通の水に近いから誰に飲ませても死なないけど、何か効能があるようだから、相手をよく見て飲ませようねと教えてやりました。なんだかわからない効能があるんだよね。

 ここからはもういいね。転移だ。

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