表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第三部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

240/499

240 ジェナの誕生会

 アヤメさんから連絡があった。

 馬車はアングレア王国に入り、街道からそれて休憩しているとのことである。一泊するらしい。普通夜は走れないからね。


 観察ちゃんの映像では、袋を解いて食事とトイレ、囚人服に着替えさせている。馬鹿に重い赤ちゃんだと言いながら身代わり君一号を袋から出した。囚人服に見えるようにしてごまかす。着せた気になっておしまい。食事もトイレもしたふりだ。離乳食を持ってきたぞ。早いのではないか。まあいいか。食べたフリして離乳食は消す。

 犯人たちはリュディア王国を出てホッとしているようだ。


 この人たちは何がやりたいんだろう。

 観察ちゃんが引き続き映像を送ってきます。


 「あったか?」

 「ない」

 「どうしてだ?リュディア王国の国民だぞ。なぜない?」

 「俺に聞かれてもわかるか」

 「リュディア王国なら普通に手にしているという話だったぞ」

 「念のため、ランダムに対象を選んで誘拐したのに一人も持っていないとはどういうことだ。子供はだめなのか」

 「大人だと面倒だから、子供にして、子供も売り払えば一石二鳥だと言ったのはお前じゃないか」

 「前金のすべてを使って、俺たちのお金も出したのに」

 「依頼主から一個で一生遊んで暮らせるお金がもらえるはずだったのに、もし前金を使ってしまって、その上、手に入らなければ殺されるぞ」

 「20人誘拐して、20個手に入れ、子供も売り払えば女も手に入れ放題、極楽のような暮らしができるはずではなかったか」

 「普段は見えないということだ。もう少し様子をみるか。ここはリュディア王国に近い関係の国だ。遠からず手配が回ると思う。とにかくこの国も出よう。今捕まると全員死刑だ」


 ああ、そうか。やっと動機がわかった。どうりで身代金の要求がなかったわけだ。

 誰だろうね。こういう依頼をするのは。誘拐犯ではないが、もう少し様子を見るか。

 観察ちゃんに僕の家族みんなに動画を見せておいてと頼んだ。


 「おとたん、おとたん。馬車の男。悪人。コロす、コロす」

 ジェナが転移してきます。抱っこしました。ジェナの周りの空気がパリパリ音をたてています。

 危ない危ない。映像を見たな。よしよし。


 「ジェナはいい子だね。おとたんもそう思うけど、もうちょっと待ってね。馬車の男に頼んだ人がいるから、その人をやらなければまた同じことが起こるよ。元から断たなきゃ駄目だよ」


 「それと赤ちゃんが殺すって言ったら駄目だよ。消すくらいにしておかないと」

 「おとたん、わかった。元も消す」

 よしよし。

 みんな呆れている。おとたんの教育が悪いと言う顔をしている。


 あれ誰か来た。今エチゼンヤに派遣している二百人衆だ。

 「どうしたの?」

 「なにか大きなエネルギーが現れたので何なのかと思いまして」

 ゴードンさんも顔を出した。同じことを言っている。

 「シン様、アカ様につぐエネルギーの塊が現れたので急ぎバトルホースを飛ばして来た」


 「おじたん、おじたん」

 ジェナが二百人衆とゴードンさんに手を伸ばす。

 「「おじたん・・・・」」

 言う割にはかわりばんこ抱っこしてニコニコしている。


 またバトルホースの蹄の音と共に誰か来た。エリザベスさんとイサベルさんだ。三馬鹿もハビエルさんもトルネードも来た。きょうちゃんも来た。

 みんな、おじたん、おばたん攻撃にやられている。


 「シン様、宴会の用意ができました」

 二百人衆が泉前広場にテーブルと料理を並べている。今日の食堂の夜営業はないようだ。

 誘拐事件も動機もわかったし、王都には犯人は居ないからいいか。


 三馬鹿ゴッドハルトさんが司会だ。

 「昨日、ここに新たな大きなエネルギーの塊が誕生したことに気付いて集まった皆さん。エネルギーの塊は、シン様、アカ様、御眷属様から成り立った、ジェナちゃんだ。まずは、みんなでお祝いの言葉だ。今日は三馬鹿ゴットハルトが司会を務めさせていただく」


 「シン様。アカ様。御眷属さま、おめでとうございます」

 「ジェナちゃん、誕生おめでとう」

 みんな唱和した。


 「次は張本人のシン様の挨拶だ」

 「皆さん今日はありがとう。はからずもジェナが、僕とアカ、眷属から昨日誕生しました。力はあるけど、幼いのでご迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします。誕生の契機となったのは、王都の誘拐事件です。私達は、人の世は人自身が作り上げていかなければならないと、人の世から引きましたが、みなさんがいる関係が深い、リュディア王国、アングレア王国、スパーニア王国については、なかなかそうも言っていられないのも事実です。今回の事件について今までにわかったことをお知らせします。犯人は依頼人より依頼を受けて、リュディア王国に潜入、目的は、線指輪です。誰でも持っていると勘違いして、人身売買と線指輪の入手を目的として子供を20人さらい、現在、リュディア王国を出国、アングレア王国に入ったところで野宿しています。背後関係を明らかにすべく、現在監視中です。人質の安全は確保しますのでご安心ください。僕は今回の事件の関係者を抹殺することに決めました。解決までもうしばらくお待ち下さい。なお、線指輪の性質を知らず、美しい指輪とのみ伝わると今回のような事件が起こります。みなさん自身は誘拐犯などものともしませんが、周辺にも気をつけてお過ごしください。それでは一時楽しんでください」


 長い付き合いでシンの中に神を見ているエチゼンヤ夫妻、ゴードンさんを除き、外から来た参加者は抹殺のくだりにゾワッとした。言葉ではなくその醸し出す雰囲気に、シン様は神で人ではないと悟った。たとえ人の側面は見せても本質は神と悟った。

 神を心の底から無条件で受け入れられるのは、眷属と二百人衆の僕、バトルホース、神国にいる動物、エチゼンヤ夫婦、ゴードンさんくらいだろうと理解した。


 「王都でもやもやしていた雰囲気は、こういうことだったのですね。王都のことはエチゼンヤさん夫妻に一任して、今夜は誕生会だ。楽しくやりましょう。乾杯の音頭は、年長者のハビエル殿にお願いしよう」


 「みなさん。シン様御一家のご繁栄と、ここに集った関係者一同、来られなかった関係者一同のますますのご発展を祈念し、ジェナちゃんの誕生を祝して、乾杯」

 「乾杯」


 「それでは今日は立食、無礼講だ。砂漠のベーベーという珍しい、シン様の新しい眷属も参加している。ベーベーと挨拶してくれるぞ。しばし、浮世の憂さを忘れて楽しく飲もう」


 前回同様、メーメーもモーモーもコッコも参加だ。バトルホースも参加。ベーベーも参加。トルネードも参加。仲良しトルネードが来たのでブランコが喜んでいる。賑やかだ。


 ジェナは大人気だ。おじたん、おばたん、おねたん、おにたん攻撃にみなハートを撃ち抜かれている。

 ドラちゃん、ドラニちゃん、オリメさん、アヤメさんも戻ってきた。動きが無いから、観察ちゃんに頼んできたそうだ。


 観察ちゃんもいるぞ。どうやって来たの?

 「あのね、何人か合体すると転移出来るの。分かったの。やってみたの」

 「へえ、何人合体すると出来るようになるの」

 「内緒なの」

 「へえ、そうなの」


 ジェナがふわふわ浮いてやってきた。これはドラちゃん、ドラニちゃん譲りか。

 「観察たん、観察たん」

 だそうだ。抱っこしている。観察ちゃんも喜んでいる。

 ジェナは、ふわふわ、あっちこっちに愛想を振りまいている。

 

 そのうち眠くなったのだろう。おかたんといいながらアカの背中にストンと覆いかぶさった。アカが自宅に運んでいく。寝かしつけるのだろう。


 エリザベスさんがやってきた。

 「シン様、ありがとうございました。誘拐があったのはわかったけど、動機がサッパリわかりませんでしたので対応が出来ませんでした。ハミルトン公爵は頑なに何も言ってきませんので、今日のことは伏せておこうと思います」

 「わかりました。僕も動機がわかったのは今日です。王都内に今回の誘拐犯の一味はもういません。何かあったら言って下さい」


 みんな帰っていく。帰りはドラちゃんとドラニちゃん、エスポーサが転移で送っていった。

 観察ちゃんも帰っていった。

 バトルホースもベーベーもメーメーもモーモーもコッコもお礼をいいながら住処に戻った。


 「いつも済まないね。宴会ばっかりで」

 「私達はシン様の僕ですから。シン様のお役に立つことが本分です」


 自宅に帰るとすでにジェナは寝ていた。

 女将さんはなんと観察ちゃんが転移で連れて来るそうだ。女将さん用の部屋は、フロランスちゃんを世話をしている二百人衆の部屋の近くにした。観察ちゃんが面倒見てくれるなら、そのほうが女将さんも気楽だろう。


 みんなでお風呂に入って寝ました。

 今夜から僕とアカの間にジェナが寝ることになりました。

 結局寝相が悪いから、あっちに行ったりこっちに来たりと一晩中ゴロゴロしていた。みんな喜んだからいいけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ