232 拷問される
観察ちゃんを観察していたら、衛兵が報告に行ったようだ。高級街だな。ということは独裁者の館かな。通用門から入ったぞ。観察ちゃんも塀を乗り越え入って行った。そこまでしなくていいのに。
上司に報告している。ベーベーもテントも女も何もありませんでしたと言っている。これから奴を拷問すると言っているよ。やだねえ。なんだろうね。拷問なんて。プチしちゃうよ。オアシスごと。
獄吏がやって来ました。出ろと言っています。出ましょうかね。鍵を開けました。
「お前、今何をした。犬がいたような」
「出ろというから鍵を開けて出てきた。言われた通りにしたまでだが」
「それはそうだが、鍵を開けろとは言っていない」
「鍵を開けなけりゃ出られないでしょうが」
「鍵が壊れているのか」
獄吏殿、中に入ったよ。では、鍵をかけてやろう。
「おい、出せ」
「鍵は壊れてなかったでしょう?牢番さんのせいじゃありませんよ。もし牢番さんのせいにするなら、鍵が開かないようにするけど」
「わかった。何もなかった。犬もいなかった。鍵も正常だ。牢番もちゃんと働いている」
「じゃ、出してあげましょう」
鍵を開けて出してやる。
「これじゃ牢といえないな」
「黙ってりゃ分かりませんよ。下手なことを言って問い詰められると困るでしょう」
「そうだな。じゃこっちだ」
牢番に続き、獄吏も知らんふりすることにしたらしい。
拷問部屋かね。ここは。
やだねえ。梁にロープがかけてあるよ。あれで吊るして鞭打ちか。
「吊るせ」
さっきの上司が言っている。
はいはい吊るされましょう。体重は無しにしたから、手を上に上げているだけだ。
棒を持ってきたよ。あれで叩くのか。叩いた人と、あの上司とで痛みを半分ずつにしよう。
「叩け」
拷問する人が叩く。バシッ。音がいいね。上司がひっくり返った。あれ間違った。半分つだけど、一回交代で結果半分になるようにしてしまった。これは痛い。
やめろと言われないから、拷問する人が叩く。
バシッ。
拷問官がひっくり返った。上司も拷問官も呻いている。そんなに力一杯叩くからだ。
「なにがどうなっている。痛かったぞ」
「分かりませんが、本官も痛かったです」
「もう一度やってみろ」
拷問官が思いっきり叩く。
バシッ。
上司が吹っ飛んだ。
拷問官は気がついた。次は自分の番だ。音はいいがあまり痛くない叩き方をこっそりしよう。賄賂をもらった時にやる技だ。
バシッ。
そううまくはいかない。拷問官も吹っ飛んだ。
上司も拷問官も呻いている。
「続ける?」
聞いてみる。首を横に振っている。そうかい。じゃ降りよう。ロープを外して床に降りた。驚愕している。
「今度は何?」
水責めと言いかけて、上司は言うのをやめた。きっと、水甕に頭を突っ込んだら、自分の顔に水が張り付くことを想像したんだろう。
石板とギザギザな板が置いてあるね。ギザギザな板の上に正座させて、太ももに石を乗せるんだろう。
「石にする?」
聞いてみたけど、上官も拷問官も首を横に振っている。自分の脛にギザギザと傷がつくと思ったんだろう。
「じゃ、牢に戻るけどいい?」
どうぞだそうだ。
「自分で鍵を開けて入るからお構いなく。鍵も閉めておきますから」
牢に帰った。空気が良くないね。壁に窓を作ってやろう。大きな窓を作った。鉄格子がないと雰囲気が出ないな。この世界の品質の鉄の棒を作って、鉄格子にして窓に嵌めた。うん。牢屋らしくなった。見晴らしがいい。牢は普通地下に作るものだと思うけど。地下水位が結構上まで来ているのかな。水が溜まってしまうのかもしれない。
夕食の時間だ。アカと二百人衆が来たので鍵を開けてやる。
テーブルと椅子を出した。今日も美味しそうだ。牢番さんにベントウを渡すと黙って壁に向いて食べ出した。今日も勢いよく食べている。
アカを膝の上に抱き、二百人衆の給仕で美味しく夕食をいただきました。子供のマネキンを一体作って、布団に寝てもらいます。狐面も忘れずにつける。壊されないように保護も忘れずにかける。身代わり君一号だ。牢番さんも交代したけど、よく引き継いで、牢の中は見ないことにしたようだ。
じゃ転移。二百人衆とアカと一緒に神国自宅に帰る。みんな帰って来ていた。そうか夕食もこっちで良かったのか。僕一人夕食無し。ショボン。お風呂は一緒。持ち直した。
身代わり君一号の話をして、これが終わったらオリメ商会で引き取ってもらうことにした。子供服を着せておけば良いからね。じわりと扱い商品を増やせば良い。みんなで寝ます。
朝です。今日も皆さんはオアシス見学だそうです。何でも宿を確保したそうだ。宿代は女将さんに服を下着から一セットやったら感激して十日間無料になったそうだ。物々交換の世界だな。
朝食を全員で食べて、みんなはオアシスの宿の部屋へ。僕はスコーピオン君に用があってスコーピオン君に出会った岩陰に。スコーピオン君に頼み事をしてから牢へ転移。身代わり君一号を収納。牢番さんに葉っぱで包んだ朝食を進呈。葉っぱは捨ててもらう。どこにもある葉っぱだから牢番さんが捨てても全く問題はない。牢番さんは今日も美味しそうに食べる。




