221 暇なのでアカと三人組と出かける
ああ、暇だ。
三人組が帰ってきた。
『メーメーに赤ちゃんが産まれたの』
『産まれたのー』
『それでシン様に祝福してもらいたいって言ってた』
『言ってたのー』
今日は赤ちゃんに縁がある日だ。
三人組の案内で、メーメーの赤ちゃんを見にいく。お母さんと一緒に寝ている。生まれた赤ちゃんは一頭だね。
お母さんが起きた。よしよし。よくやったね。横になっていな。撫でてやる。お乳がよく出るように。
赤ちゃんに手を置いて祝福した。
「健やかに成長するんだよ。幸あらんことを」
あれ、さっき言ったような気がする。新生児には違いないからいいか。
メーメーママとメーメーパパにお礼を言われた。メーメー、メーメーだけど。
スパ棟に帰るとオリメさん、アヤメさんが戻って来た。引き続いてアカと管理職の皆さんが戻って来た。食事をしながら宰相殿の女将さんの赤ちゃんのことを話した。良かったと喜んでくれた。
ステファニーさんとマリアさんが、悪い風邪は数年ごとに流行を繰り返しているので今年は流行するかもしれないと言っていた。
僕に出来ることはないな。せいぜい周りの人に気を配るくらいしか出来ないな。アカがそれでいいと言っています。神による管理社会は良くないとおっしゃっています。自然に任せることも大切だそうです。
そうだよね。とりあえずエチゼンヤ本店、コシのエチゼンヤ支店、孤児院に観察ちゃんを送り込んでおこう。希望者を募って二人ずつ送りました。喜んで行ってくれました。
一夜明けて今日も暇だ。お飾りにはする事がない。アカと三人組を除いてみなさんは今日も仕事だ。
アカがどこかに行きたいんでしょう。みんなに話してあるから夕方には戻っていれば大丈夫と言う。さすが僕のアカ様だ。
三人組はもう期待に満ちてこちらを見ている。
「じゃ、ドラちゃんに乗って行こうね」
ドラちゃんがすぐスパ棟を出て、大きくなる。早く早くだって。
「じゃみんなで行こうね」
ドラちゃんがふわっと浮き上がって、外にいた二百人衆に手を振って一路アングレアに、東の国境上空へ、国境警備所のお爺さんたちは今日も平和のようだ。農作業に勤しんでいる。次はエレーネさんが居た城の上空へ寄ってみよう。エレーネさんの兵隊さんはいない。知らない兵隊さんが留守番している。
エレーネさんの王都に向かって行き、4000メートル級の山脈の手前で山脈に沿って左折。少し行ったところで着地。歩いて行こう。
特に何もないな。普通の森だ。細い道が続いている。獣が少しいるくらいだな。
山脈に沿って駆けていこう。僕も駆ける。ヨーイドンだ。ブランコが駆けていく。ドラちゃんとドラニちゃんが飛んで追いかけていく。木が生えていて直線ではないからブランコを抜けない。ブランコも木が邪魔でトップスピードは出せない。いい勝負だ。僕とアカは三人の後ろを駆けていく。楽しいな。しばらくぶりだ。
時々休んで半日駆け足で過ごした。だんだん木がまばらになってきた。足元も徐々に砂に変わってきた。森が切れると、目の前には砂漠が広がっていた。三人組は立ち止まった。僕らもびっくりだ。初めて砂漠を見た。
山脈はまだ続いている。上空から見てみよう。ドラちゃんに乗って高空へ。山脈は更に高く幾重にも重なって砂漠の右側を占めている。山脈の左側は砂漠だ。どこまでも続いている。遥か彼方に山脈が横たわっている。右手の山脈ほどの標高はなさそうだ。その山並みを越えた先は緑だ。山脈と山脈に挟まれた広大な砂漠だ。下に降りれば左側の山脈は見えないだろう。砂漠だけしか見えないだろうな。
砂漠にはところどころ緑がある。泉があってオアシスになっているのだろう。
オアシスには飛んでいけばすぐだけど、どこからどういうふうに来たとか聞かれるだろうな。どうしようかなあ。
アカが砂漠に顔を向けて隊商が来ると言った。なるほど、蟻のような列がこちらに向かっている。あと一時間もすれば森に到達しそうだ。降りて待っていよう。
ドラちゃんに降りてもらって、森の中に急いでテントを張る。
テントの前に折りたたみのテーブルと椅子を出して、お茶をしているふりだ。
待つこと1時間。来ましたね。コブのある動物に荷物を積んでいるから隊商に間違い無いだろう。テントを見てびっくりしている。
「こんにちは」
「おう、坊主。お茶か」
「はい、そうです。よかったらいかがですか」
「そうだな。森に入ったから我々も休憩するか。おーーい。休憩するぞーー」
荷物を乗せた動物が、こちらを見て一斉にベーベー言っている。挨拶かいね。手を振ってやる。
それをチラッと見て隊商の隊長さんだろうけど、中年の男の人が僕らのテーブルに来た。




