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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第二部

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217 暗部がエレーネ邸を襲撃する

 僕、門番はどうするか考え中。閃きました。オリメ商会のマネキンさんに活躍してもらいましょう。

 オリメさんとアヤメさんにドラちゃんとオリメ商会に転移してもらって男のマネキンさんを一体借りてきてもらいました。


 門番さんには今晩捕物があるから、門番は僕たちで行うと言って自室に戻ってもらいました。城で訓練した仲間ですから話は簡単でした。一応あとでエレーネさんに言っておこう。


 マネキンさんには軍服を着てもらい、守衛室で居眠りをしていてもらいます。動かなくてもいいのでちょうど良いと思う。暗くなればわからないだろう。おお、それらしい出来だ。


 今日は全員に活躍してもらおう。客間に戻って、皆さんに支給しました。シン製忍者服。着替えるとなかなかいいね。僕も僕もとブランコが申しています。そうだな。シン製狐面。これで行こう。狐面も全員に配りました。激しく動いても落ちない、視界も邪魔しない。優れもの。もちろん僕も。お子様忍者。ショボン。ブランコもドラちゃんもドラニちゃんも仮面が気に入ったみたい。

 エスポーサは人化するというので、もう一着忍者衣装を追加。ピンクの衣装だ。うはは、忍者部隊だ。


 そろそろお時間ですから配置につきました。防音はしておきましょう。屋敷内の物音は外に漏れないようにしましょう。


 先発部隊が塀を乗り越えてやってきました。陰を伝って、木の陰から本宅をのぞいています。後ろからポンとステファニーさんが肩を叩きました。飛び上がりましたね。流石に声は出しませんでしたが。ただ着地すべき足が膝下よりありません。鞭によって雲散霧消しています。がああと今度は声が出ました。


 ブランコとドラちゃんとドラニちゃんはせっせと杭打ちをしています。かなり大きく囲っています。

 ステファニーさんが囲いの中に男を放り込みました。裏門のほうから物音がします。あちらにはオリメさんとアヤメさんが行っています。行って見ましょう。

 侵入者3人。あっという間に二人沈んで、三人目も崩れ落ちました。お亡くなりになっているようですがせっかくだからブランコたちの囲いに送ってやりましょう。


 囲いが完成しました。

 マリアさんとエスポーサが両手に男をぶら下げて戻ってきました。4人増えました。

 ブランコが走っていき、すぐ男を咥えてきて囲みの中に放り込みました。

 侵入してきた方々はこれでおしまいですね。あとは外にいます。中の様子がさっぱりわからないのでイライラしていますね。だれか表門から入ってくれないかな。せっかくのマネキンさんの出番がない。


 二人門に近づいていますね。パックン門を調べるのでしょう。門番を気にしていますが、居眠りをしていると判断したらしく、そっと入って来ます。守衛所を明るくしてやろう。狐面の男が浮かび上がりました。びっくりしているぞ。面白い。


 操り人形と行きますか。壊れるといけないのでマネキンさんには保護をかけておきます。守衛所から出して、右足、左足と歩かせて、男を門の中に蹴飛ばしました。もう一人も蹴り入れました。門は閉めてしまいましょう。今回はまだパックンはなしですよ。


 マネキンさんにはもう少し守衛所で勤務してもらいましょう。

 門の中に蹴り入れられた二人はドラちゃんとドラニちゃんが下げて行って、囲み入り。


 塀を越えて、あちこちから一斉に10人突入してきました。もう隠密作戦はやめたのでしょうか。これでは出入りです。ヤケを起こしたのでしょうか。


 マリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさん、ブランコ、エスポーサ、ドラちゃん、ドラニちゃんで一人ずつ。あと二人は早いもの勝ち。ドラちゃんとドラニちゃんがもらったーと飛んでいきます。あっという間に10人全部、囲いの中。

 僕とアカはどうしたって?それは囲いの見張りですよ。岩の蓋がしていないからね。


 まだいますね外に。あと三人。偉い人とその側近らしい。唇を噛み締めています。何の物音も中から聞こえてこないからね。マネキンさんにもう一度活躍してもらいましょうか。


 守衛所から出て、右足、左足、右足、左足、歩かせるのも大変です。こちらを凝視していますね。三人組。いざとなれば一人ぐらい簡単という気持ちが溢れていますね。近づきました。


 さて今度は腹話術。

 「こんばんは」

 「お元気ですか」

 「お返事いただけないようですね」

 「私は、マネキンの防犯一号君といいます」

 「屋敷の門番をしています。御三方は、何か用でしょうか」

 

 「切れ」

 偉い人が言いましたね。

 一人が剣を抜いて切り掛かってきます。カッキンと音がしました。防犯一号君がよろめいています。踏ん張りました。操り人形は難しい。


 「痛いじゃないですか。ダメですよ。長いものを振り回したら」

 今度は二人がかりで襲ってきました。防犯一号君が腕を振り回します。当たりどころが悪かったのでしょうか。剣が折れてしまっています。これ以上お騒がせするとご近所迷惑です。三人と折れた剣を転移させました。囲いの中です。すかさずブランコが大岩で蓋をします。


 囲いの中の人に一応言っておきます。

 「皆さんの周りの杭、糸、頭上の岩に何か触れると岩が下がります。だんだん下り幅が大きくなっていきます」

 「皆さんはどなたの意向でこちらを訪問されたのでしょうか」

 「返事がありませんね」

 「では、僕たちは失礼します。ああ、言っておきますが、声を出して糸が震えても岩が下がります。僕は親切ですから亡くなった方は消してあげましょう。それと血が流れている方の血止めはさせていただきます」

 死体は消え、出血は止まった。


 おっと忘れてた。防犯一号君、ご苦労様でした。服を着せ替えて、エスポーサとオリメさん、アヤメさんでスパエチゼンヤのオリメ商会に戻してもらいました。


 僕たちはエレーネさんの執務室をノックする。すぐドアが開いた。

 「お待たせしました。おいでいただいた方々は全部庭にいつものように囲ってあります。あとはお好きなようにしてください。ではおやすみなさい」

 自宅スパ棟に転移。お風呂に入って寝ました。


 翌日、エレーネ邸の客間に転移。すぐ朝食に呼ばれました。

 「昨日はありがとうございました。今朝、会ってきました。確かに暗部の方々でした。覚悟はしていたようです。言い訳もありませんでした。岩は落ちましたので、あとは片付けていただけないでしょうか」

 「わかりました」

 三人組が外に出てすぐ帰ってきました。

 「終わったそうです」


 三人組が片付けた時、王弟邸では、パックンという、音というか声というか、その両方かも知れぬ、得体の知れぬ音声が響き渡った。


 王弟が側近を呼ぶ。

 「誰か帰ってきたか」

 「いえ、誰も来ていません。今のパックンは何だったのでしょうか」

 「暗部を昨夜エレーネ邸に送りこんだ。全員で行くと置き手紙があった」

 「パックンというのは」

 「ああ、考えたくないが、そういうことだと思う」

 「いかがいたしましょうか」

 「こちらのことをわかっているのだろう。警告だろうな。墨作戦は中止だ。夜会に賭ける」

 「わかりました。暗部がいなくなったので墨作戦はやりたくても出来ません」

 「もう誰もエレーネ邸に近づけるな」

 「またパックンでしょうか」

 「そうだろうな」


 防犯一号君のその後ですが、朝、スパエチゼンヤ支店に店員が出勤すると、オリメ商会のブースのマネキンが狐面をかぶっています。取ろうとしても取れないからなにか事情があるのだろうとそのままにした。ここはそういう方々の経営だから気にしなかったようだ。

 やがていつものように混み出して、お客さんの悲鳴が上がりました。防犯一号君が足で男を抑え、狐面でドヤ顔をして指で男のポケットを指している。店長が確認するとポケットからいくつか商品が出てきた。

 防犯一号君は、警備一号君と名札をつけられ、お勤めに励んでいるそうだ。へえ。

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