216 エレーネ邸に王弟の偵察員はパックンされ王弟は暗部に調査依頼をする
僕らは歩いてエレーネ邸へ。おや、屋敷の様子を伺っている方々がいらっしゃいますね。みんなでそっと近づいて包囲、黙って同じ方を向いています。やっと気がついたようですね。
「なにか面白いものでも見えるのですか」
ステファニーさんが聞きます。
マリアさんは門番の方に行きました。
「いや、なにも」
「そんなことないでしょう。じっと見つめていらしたでしょう」
「見てない。見てない」
「見てましたよ」
「どいてくれ。おれは行く」
ステファニーさんはご希望通り退いて差し上げました。
おやおや、三人の足が勝手にエレーネ邸に向かっているようです。
門には門番はいません。
入って行きます。
門が閉じました。
「パックン」
音がしましたね。遠くでお仲間が驚愕の表情をしています。
しばらくして門が開きます。
門番も定位置につきました。
驚愕さんは、こけつまろびつしながら走り出します。
パックンした方々はそのまま滅びの草原行きですよ。もちろん。
驚愕さんが逃げていくのを確認して、僕らは屋敷に戻りました。
ギュンター王弟邸
王弟の執務室の扉が叩かれる。
「うるさいぞ。どうした」
「それがエレーネ邸の偵察に出していた5人のうち、3人が美女と話した後、エレーネ邸に乗り込み、パックンされました」
「なんだ、パックンとは」
「城の時と同じです。屋敷の門を入ったら門が閉じてパックンされました。残りの2人が駆け戻って、パックン屋敷、パックン屋敷と申しております。いかがいたしましょうか」
「連れ込まれたのか」
「いいえ、自主的に入っていったそうです」
「連れ込まれたのなら言いようがあるが、自主的に入っていったのではな。かえって見張っていたのかと難癖つけられるだろう」
「城にパックンとやられた者はどうした。帰ってきたか?」
「それがパックンされた以後一向に帰ってくる様子がありません」
「今回戻ってきた者はどうしている」
「パックンには関わりたくないと、暇を出してくれと騒いでいます」
「もう使い物にならないだろう。暇を出せ。それからあと一週間もない。見張りは近づかず遠巻きで良い。どうやっているのかわからないが、近づけば引き込まれてパックンだぞ」
側近は王弟にパックンと脅されてしまった。
わからぬ。報告が途切れてから訳のわからぬことが続いている。絶対におかしい。何かある。
「いるか?」
「はい」
物陰から返事があった。
「エレーネ邸が寝静まってから忍び入り、なにか不審があるか調べてこい」
「承知しました」
「まさか、こんなことにお前らを使うような羽目になるとはな。もっと貴族の暗殺とか、国王とかの時に働いてもらおうと思っていたが」
「もったいないお言葉。エレーネ殿はやらなくていいので?」
「ああ、夜会で恥をかいて、恥じて自害だろう」
「承知しました」
天井裏では観察ちゃんが満足げな顔をしている。
『シン様、シン様、ご報告ーー』
『何かあったかい?危ないことはしなくていいんだからね』
『しませんよー。あのね。王弟がね、物陰に隠れた部下にエレーネ邸の屋敷に潜入調査を命じたよ』
ほうほう、映像はないけど、音声はあるのね、なるほど。なるほど。暗部というやつでしょうか。
『わかったよ。ありがとう。気をつけるんだよ』
『わかったー』
ギュンター王弟邸
影の間
影を全員集めて、頭領が訓示をしている。
「我ら暗部は、本来なら、エレーネ王女につくところであったが、国王の長患い、王女の流刑に等しい辺境送りに鑑み、王弟についた。もはや引き返せぬ。今日はエレーネ邸の調査だがたまたま王女に遭遇したら楽にしてやって良い。わかっていると思うが王女とはたまたま遭遇するんだぞ。この一戦で我らの将来が決まる。夜陰に乗じて全員で行く」
「承知」
全員の返事があった。
夕食です。今日は話すことがあります。
夕食が終わって、エレーネさんに少し話がありますと申し出ました。
執務室に案内されました。
「早速ですが、今夜王弟の暗部の方々が寝静まった頃お見えになるようです。僕たちで対応させていただきますので、建物から出ないでください。兵舎も同様に手配願います」
「承知しました。すぐ手配します」
「ところで国に暗部があったのですか」
「恥ずかしながら、国王の直属であります。今回、もしその人たちであったら、国王に見切りをつけたか、私に見切りをつけたか、王弟に誘われたかわかりませんが王弟についたのでしょう。私は暗部は不要と思っています。あるいはそういう態度を感じ取って、必要とされるだろう王弟についたのかもしれません」
「そうですか。暗部がいなくなるかもしれませんが、構いませんか」
「はい、暗殺組織など不要と思います」
「それじゃ手配願います」
シン様とアカ様が出ていった。緊張が解けたエレーネ王女。
「緊張するわね。すぐ手配してちょうだい。それにしてもどうやって企てを知るのでしょう」
「全くわかりません。すぐ手配します」
執事長は兵舎に、侍女長は邸宅内に周知しに行った。




