208 ゴードンブートキャンプ (最終日 結婚式)
さていきますか。式場近くに転移した。
ゴットハルトさんが司会だ。
「本日これから、極級冒険者 ゴードンさんとロシータさんの結婚式を行う」
何が起こるのか固唾を飲んで見守っていた兵から歓声が上がる。
「それでは、新郎新婦の入場だ。シン様ご夫妻が付き添いだ」
ゴードンさんは二百人衆に拉致されてロシータさんとリリアナちゃんの元へ。僕らと一緒に歩いていく。
兵は一斉に平伏した。エレーネさんたちも。
一段高い段に上がる。ハビエルさんが待っている。
「ではこれから結婚式を執り行う。その前に、みなさん立ち上がってください。シン様の希望です。みなさんも列席者です」
徐々に立ち上がった。
「今日の神父は、シン様教神父、ハビエル。進行は、同じくシン様教神父、ゴットハルトが務めさせていただきます。お二人はすでに皆様ご存知と思いますが、新郎は、リュディア王国にその人ありと知られた、世界に二人しかいない極級冒険者のゴードンさん、新婦は縁あってゴードンさんが猛アタックしたロシータさんと娘さんのリリアナちゃんだ」
わーっと沸いた。
「それではハビエル神父、お願いします」
「ハビエルです。本日はこのような式に立ち会えて大変嬉しく思います。よろしくお願いします」
「それでは三人前へ」
「新郎、新婦、リリアナちゃん、あなた方は、シン様を主と仰ぎ一生仕えることを誓いますか?」
「「「誓います」」」
「新郎ゴードンさん、あなたはここにいるロシータさんを、いかなる時も、妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「新郎ゴードンさん、あなたはここにいるリリアナちゃんを、いかなる時も、娘として愛し、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「新婦ロシータさん、あなたはここにいるゴードンさんをいかなるときも、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「リリアナちゃん、あなたはここにいるゴードンさんを、お父さんと認め、お母さんと家族として仲良く暮らすことを誓いますか?」
「誓います」
「それでは、シン様より指輪授与があります」
アカが線指輪が二つ乗ったお盆を出す。
線指輪は、ショートソード、短刀、竹水筒の三点セット入だ。
「ゴードンさんからロシータさんにしてあげてください」
僕がゴードンさんに線指輪を一つ渡した。
ゴードンさんがロシータさんの指に線指輪をする。ロシータさんが光った。
式場がどよめいた。
リリアナちゃんには僕がしてやろう。
リリアナちゃんの指に線指輪をする。リリアナちゃんも光った。
ふたたび、どよめく式場。
「おめでとうございます。二人は夫婦になり、三人は家族になりました。それではお待ちかね、待望のキスです」
また式場が沸く。兵が一斉に手拍子をする。
おっと式場の外に王弟の手先の連中がいる。はてなという顔をしている。ちょっと圧を加えたら逃げて行った。面白い報告になるぞ。
ゴードンさんが恨めしそうな顔をしている。
新婦が新郎に神様に逆らってはいけませんと言っている。おもしろいな。あははは。
ゴードンさんは諦めてロシータさんにキスしました。リリアナちゃんにはおでこにキス。
式場から一斉に、今度は拍手だ。
「よーし、無礼講だ。料理も酒もたくさんあるぞ。今夜はゴードンさんは攻め放題だ。訓練の恨みつらみ、ここで晴らさなければ一生晴らせないぞ。それ攻めろ。新婦とリリアナちゃんは着替えだ。ちょっと待ってね」
ゴットハルトの司会により兵がお酒を持ってゴードンさんに突入していく。沈没させようというのだな。ゴードンさんはウワバミとみた。
「返り討ちだーー」
やっぱり。兵が次々沈んでいく。
宴会は一晩続いた。朝になって、兵は死屍累々だ。
ゴードンさん、ロシータさん、リリアナちゃん、三馬鹿ハルト、ハビエルさん、二百人衆をドラちゃんとドラニちゃんが乗せて、浮き上がった。ブランコも付いていくらしい。ドラちゃんに乗っている。起きていたエレーネさん、執事長、侍女長は巨大ドラゴンに仰天している。上空で手を振ってお別れしている。またね。飛んで行った。酔い覚ましに飛んでいくらしいよ。
会場は神国から来た二百人衆があっという間に片付けた。
「ありがとうね」
「自分たちも楽しみました」
エスポーサがステファニーさん、マリアさん、オリメさんと一緒に神国に送って行った。臨時に来たバトルホースも一緒だ。
返り討ちにあった兵を除いてあっという間に片付いたね。兵は、今日はいいか。気候もいいし、ゆっくり兵隊さんには寝ていてもらう。
あれ、エレーネさん三人組が跪いている。まずい、まだ青年になったままだ。
「すみませんでした。ゴードンさんの結婚式にしてしまって」
「とんでもない。ゴードンさんは大恩人ですから」
「訓練は終わりましたので、ここで一応引き上げます。王都に着く頃お伺いします」
バトルホースを呼ぶ。あれ残っているのは僕とアカだけだ。
観察機能付小動物も転移で引き上げた。
「じゃ帰ろう。少しかけて行こう」
馬は喜んでいる。
「じゃまた後で」
お城を後にする。三人は跪いたままだ。




