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192 エレーネさんの夜会服などを準備する

 昨日は忙しい夜だった。

 何もないと飽きるし、何かあると忙しい。困ったね。


 朝は交代で自宅スパ棟に転移。顔を洗ったりする。女性はさらに色々あるらしい。

 自宅スパ棟での身支度が一回りしたら、侍女さんがやって来て洗面のお湯を持って来てくれた。お礼を言って受け取りました。

 ううむ。使ったフリをせねばならぬ。任せてとドラちゃんとドラニちゃん。小さくなってお湯の中にドボン。遊んでいる。ちょうどいいか。

 お湯から上がったので、侍女さんが持参した布で二人を拭いてやる。気持ちよさそうだ。一件落着だ。


 程なくして侍女さんが朝食の迎えに来た。

 食堂に行くとみなさんお揃いだった。

 今日は山菜スープとパンだね。

 美味しいけど。


 食事が終わって執事長さんに種芋進呈の担当の方を呼んでもらった。部屋に来てもらって袋に入った種芋を渡した。

 蒔けば収穫するまで手間要らずと説明しておいた。


 オリメさんとアヤメさんは夜会服用の生地を見にいった。面白いから侍女さんに案内されて行ってみる。


 オリメさんとアヤメさんが生地を触っている。

 「どうでしょうか」

 エレーネさんが心配そうだ。

 「そうですね。いい生地だとは思いますが」

 「が、ですか」

 「もう少しお年を召したら丁度いいかもしれません」

 「これは、その時のためにとっておいて、今回は私どもの生地を使って良いでしょうか?」

 「お願いします」


 心配そうだ。助け舟を出そう。

 「生地と製作費は宿泊代で相殺ということでお願いします」

 「いいんでしょうか」

 エレーネさんはまだ心配している。

 「はい」


 オリメさんが生地を出す。ちょっと濃いめの色だが華やかさもある。

 「夜会は夕方ではなく夜ですよね。生地はこれでどうでしょうか」

 侍女さんが生地を触って驚いている。

 「こんな手触り、初めてです。そして色、姫様に似合うと思います」

 オリメさんの実家から持ってきた高級品だからね。どんな夜会でも負けはしないだろう。


 「では生地はこれでいいとして、デザインですね。服を見せてもらえますか?」

 侍女さんが、昨年エレーネさんの母親が着たという服を持ってきた。

 アヤメさんが服を持って、オリメさんが確認する。

 確認が終わったら、役割交代、アヤメさんが確認する。

 「なるほど。わかりました。ではこのような服でいかがでしょうか」


 オリメさんが、紙を取り出し、サラサラと服のデザイン画を書いた。

 エレーネさんも侍女さんも目を見張っている。昨日戦士、今日ベテラン裁縫師さん、ありえないと言う顔をしているね。面白い。


 「だいぶ露出がーー」

 エレーネさんだ。

 「このくらいが丁度いいです。これでも抑え気味です。装身具が必要ですね。何かお持ちですか」

 エレーネさんが首を横に振る。オリメさんがこちらをチラッと見るから、頷いた。


 「では、こちらで用意します。ネックレスとイヤリングが必要ですね」

 はいはい、わかりました。

 「それと髪をセットした時の髪留めが必要です」

 「髪のセットでしょうか」

 「はい。当日は私どもが行ってセットしますのでご安心ください」

 オリメさんがチラッと見るから頷いた。


 ネックレスはダイヤモンドだな。街が買えると言われた屑石でいいか。カットしてキラキラにしよう。チェーンは一見シックだが、見る角度によっては豪華にしよう。面白いな。イヤリングも小ぶりのダイヤをカットしてキラキラだ。髪留めはどうするかな。あちこちキラキラでもな。ちょっとシックな石を使おう。出来た。

 オリメさんに渡す。


 「では、これがネックレス、イヤリング、髪留めになります」

 エレーネさんと侍女さんが仰天している。渡されたネックレスを持つ手が震えている。

 「こ、これは、ダイヤモンドでしょうか。このような大粒、誰も持っていません。見たこともないカット。こんなカットはわが国の職人では出来ません。それにこのチェーン。全部見たことはありません」


 「つけてみましょう」

 アヤメさんがエレーネさんの後ろに回りネックレスをつけた。

 うん、いい出来だ。これで素肌の上なら、映えるぞ。


 「こちらは、イヤリングです」

 オリメさんが続いてつける。

 細い金色の針金に小さなダイヤモンドをあしらい動くたびに揺れるように作った。シンプルだ。ダイヤモンドは小さくても品質は良いので、揺れるたびに光が反射する。

 いい出来だ。


 「髪留めはセットした時に付けさせていただきます」

 エレーネさんと侍女さんが震えている。

 「預かっておきましょうか?」

 オリメさんが聞いた。

 「お願いします。またアクセサリーは使ったらすぐお返しします」

 「いや、いいんですよ。先ほど申しました通り、宿泊代と相殺です」

 「これでは相殺になりません。このアクセサリーひとつで夜会の話題をさらってしまいます」


 「力を示すことが必要な時があります。事情はわかりませんが今がその時ではないでしょうか」

 「おわかりだったんですね。確かに事情があります」

 「事情は私たちに話す必要はありませんよ」

 「ここまでしていただいてそれはあり得ません。お話します」

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