表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/499

191 内通者を捕まえる

 自宅スパ棟でお風呂から出たら、二百人衆が目ざとくかぎつけてやってきた。

 「シン様、赤ちゃんが生まれましたので、名付けをお願いいたします」

 「いいよ。どこだい」

 「連れてきてあります」

 「入ってもらって」

 ホールに入ってもらった。やや、親が二組だ。子供は一人ずつ。

 名前をつけて、水を口にポタポタして、線指輪をしてやり、すくすく育つんだよと話しかけ、抱き上げてよしよししてやる。まるで宗教儀式だね。

 だってそうだよとアカ。そうなんですか。

 ついでに親御さんと握手する。喜んで帰って行った。

 さて、あまり空けてはいけないからすぐ城に転移した。


 寝ますかね。寝室は広い。ベッドが二つある。ステファニーさん、マリアさん、オリメさん、アヤメさんでさっさとベッドをくっつける。そうですか。みんなで寝たいと。

 寝ました。いつも通りです。

 夜中にドラちゃんとドラニちゃんが起きる。行っといで。ブランコとそっと窓から外に出て行った。

 ステファニーさんたちにはここで待っていてもらうことにした。たいしたことはないからね。念の為エスポーサにも残ってもらう。


 ヒュッと矢の放たれた音がした。すぐボキボキ音がしている。馬が確保したようだ。

 馬の所に行って撫でてやる。喜んでいる。思わず力が入ったんだろう。追加でボキボキ音が足元からしている。

 ドラちゃんとドラニちゃんとブランコが帰ってくる。ドラニちゃんが矢を咥えている。矢文だね。ブランコの背中に男を乗せて、ドラちゃんがその上に乗ってドヤっている。

 門はどうしたの?飛び越えた。そうですか。


 おや、執事長さんが起きてきたようだ。

 「城の中から外に向かって矢文が放たれ、放った男はそこに馬に踏みつけられています。矢文を受け取る係はブランコの背中です。矢文はドラニちゃんが咥えています。

 「出会え」

 と執事長さん。皆起きてくる。


 「矢文を渡してやって」

 ドラニちゃんが、執事長さんのところに行って矢を渡す。

 エレーネさんも来た。

 もう一度エレーネさんに説明する。


 エレーネさんが矢文を開く。エレーネさんが見せてくれた。

 『襲撃失敗。得体の知れない者たちと馬を引き込んだ。詳細は分かり次第連絡する』

 「矢を射た者は馬が捕らえてくれたか。ありがとう」

 エレーネさんが礼を言うと馬がブルブル言っている。


 「引っ立てろ。それで矢文を受け取る役目の方はブランコ様の上、ドラちゃんの下か」

 ドラちゃんが掴んでポイする。エレーネさんの足元に転がった。

 「こいつは知らんな。引っ立てろ」


 ドラニちゃんが女性を掴んで運んでくる。エレーネさんの足元にポイした。

 「私は何も知りません。矢文とは関係ありません」

 「ふん、よく矢文とお分かりですね。こいつも引っ立てろ」


 もういないとブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんが言っている。そうだね。確かにいない。城内にはいないと腕の中のアカも言っている。

 「これで城内の裏切り者というか、潜入者というか、他にはいないようですよ」

 「ありがとうございます。今日襲われたのも情報が漏れていたからと思います。ブランコ様、ドラちゃん様、ドラニちゃん様ありがとうございます」

 みんな照れてるね。よしよし。

 「それでは僕たちは戻ります」

 馬は厩舎に戻っていく。僕らも寝室に戻った。


 再び、エレーネさんの執務室。

 「本当に恐ろしい方々だ。うすうす情報が漏れているとは思っていたが、こうも簡単に犯人を捕まえられるとは考えてもみなかった」

 「捕まえた女は、近頃採用した下働きの女です。今回捕まった男の推薦でした」

 「男はどういう経緯で採用になったのか」

 「わかりません。かなり長くいます。こちらにくる時からいました」

 「調べてみてください」

 「不行き届きで申し訳ございません」

 「いや、ドタバタの中でここに異動させられて、二人しか内通者を出さなかったと言うことはたいしたものです。謝ることではありません。私がお礼をいうようですよ」


 「それにしてもシン様一行はどうしてわかったのでしょうか」

 侍女長のもっともな疑問だ。

 「それが畏れということなんだろうよ」

 執事長の、当たっているような、当たっていないような発言で会議は終了した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ