183 草に覆われた街道を石畳にする
石を収納しながら歩いていく。
オリメさんに聞かれた。
「石をどうするんですか?」
「あの草原の草に負けた道に石を敷いてやろうと思ってね。それで収納している。あと1日くらい収納すれば間に合うだろう」
何も出ないね。盗賊も人も獣も魔物も出ない。つまらなくはないけど飽きる。
ブランコとドラちゃんとドラニちゃんに偵察に行ってもらう。
しばらくするとちっちゃな獣以外何もいないよーと帰ってきた。
「えーーつまらない」
つい声が出てしまった。
「平和でいいんじゃないでしょうか」
ステファニーさんだ。マリアさんも頷いている。苦労人は違うね。
オリメさんとアヤメさんは必殺の仕事がしたいようだ。
アカからドラニちゃんまでは、強すぎるからね。襲ってくれば返り討ちだけど、襲われない限り放置だろうな。もちろん悪人はブランコとドラちゃんとドラニちゃんがドカンだ。
結局何か出て来て欲しいと思っているのは僕とオリメさんとアヤメさんだけだね。
夕方まで何事もなく歩いて、いつものように街道から外れてスパ棟を出す。
僕、飽きてきたので、石の収納は今日終わりにしてしまおう。みんなには休んでもらって石の収納に出かける。ポンと飛んで降りたところの石を収納、またポンと飛んで収納。ポンポンポンポン収納していく。ちょっとの間でだいぶ収納できた。最後にポーンと飛び上がるとドラちゃんが大きくなって飛んできて落下を始めた地点の下に来たドラちゃんの背に着陸。そのままドラちゃんに乗って帰還。
みんな待っててくれた。お風呂だよ。今日も混浴苦行。いつの間にか混浴になっていた。僕、苦行なんだけどみんなは楽しそうだ。
お風呂から出てすぐ夕食。就寝。
朝、起きて朝食後、スパ棟を収納。すぐドラちゃんに乗って草に覆われた街道の森側に行く。みんな一緒だ。
それじゃやりますか。
エスポーサとドラニちゃんで街道の上に生えた草を除去していく。
僕は久しぶりに相棒を出す。ドラちゃんに乗ったまま石を収納から空中に出す。相棒でカットして道路上に落とす。ブランコが落とした石に飛び乗ってそっとポンポンして落ち着かせる。
どんどん進む。草の勢力が及んでいないところまで石を敷き切った。後ろを見ると元の街道の幅で石畳の道が続いている。良く出来た。
これで狩場として優れている森で狩が出来るようになり人も戻ってくるだろう。
良くやったとみんなをいい子いい子する。さて逃げよう。ドラちゃんにみな乗って今朝の地点まで戻る。
飽きる。何も出ない。変わらない。二日目にして飽きてしまった。
「みんな何か変化のあるところまで駆けよう」
はーいと全員返事した。平和が続くと飽きる。皆も同じ気持ちだろう。
よし、駆ける。
いつものようにブランコが先頭だ。次はステファニーさんとマリアさん。オリメさんとアヤメさん。僕とアカ、殿はエスポーサ。ドラちゃんとドラニちゃんはあっちに行ったりこっちにきたり。比較的経験の浅いオリメさんとアヤメさんをステファニーさんとマリアさん、僕とアカで挟む布陣だ。経験が浅いと言っても世の中に二人にかなう人はいないけどね。渡り合えるのはゴードンさんぐらいか。
調子よくかけていく。何も出てこないから、フルスピードとは言わないけど、街にすぐ着いてしまう勢いだ。
ドラちゃんが前に人がいるよーと声をかけてきた。
ブランコがスピードを落とし、歩き始める。ブランコ、なかなか上手だよ。尻尾がブンブンだ。
縦長だったのをつめて塊になって歩いていく。しばらくすると人に出会った。荷車を馬に引かせている。街と反対方向に行くようだ。行商かな。あの狩人の村まで行くのかもしれないな。途中に家はなかったしね。
声をかけてみよう。
「こんにちは」
「おう、坊主。女連れでいいな」
行商さんは興味を惹かれたみたいで足を止める。
「ええ。いいでしょう。みんな美人です」
「そうだな、羨ましい」
「どこに行くんですか」
「この街道のどん詰まりの村に行商だ。五軒しかないから商売にはならないんだけど、昔からの付き合いだからな。まあ、顔を見に行くんだ」
「そうですか。よろこぶと思います」
「おまえさんたちはどこからきたのかね」
「あちこち回っています」
「そうか。まあ、色々あるさな。がんばりな」
「はい」
行商さんは歩き出した。
僕たちも街に向かって歩く。ポツポツと人に出会うようになった。だんだんご近所へ行くような格好をした人とも会うようになった。街に近いのだろう。遠くに家並みが見えて来た。つまり城壁がない。城壁がないから直に家々が外と接している。魔物とか、戦とかがないのだろうか。




