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目覚めた世界で生きてゆく 僕と愛犬と仲間たちと共に  作者: SUGISHITA Shinya
第二部

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182/499

182 狩人さんの集落に寄り病気と怪我の治療をする

 翌朝、狩人さんは朝狩りをするというので、お別れした。

 さて他人がいなくなったので、テントを残して、こっそり自宅スパに転移。お風呂に入って、朝食をすませ、こっそりとテントの中に転移。

 テントは、また他人がいるところで出すこともあるかもしれないから、ちゃんと分解して収納。

 リュックは背負ったまま出発する。


 確かに道は続いているね。東西街道の続きだろう。緩やかな起伏があって、谷になっているところには小川が流れていて、普通の見通しの良い草原と、森が点在している。その繰り返し。ただ土地は悪いみたいだ。石がゴロゴロしている。そうだ。いいことを思いついた。石を目立たぬように一箇所でなくあちこちから収納していく。

 半日ほど歩くと確かに広場を囲んで5軒の家が建っている。寄ってみよう。


 誰もいない。あ、出てきた。

 「こんにちは」

 警戒しているみたいだけど、こっちは女性だらけなので、警戒は薄いみたいだ。

 「この先で狩人さんに会って、暇だったら寄ってみたらと言われたものですから寄ってみました」

 「そうですか。多分主人と弟だと思います」

 暮らしは楽ではないみたいだ。


 「昼食を作りたいので、広場の隅を貸していただけませんか」

 「構いませんけど何のおもてなしもできませんが」

 「広場の隅を貸していただけるだけでありがたいです」


 ちょっと炊き出しをしてやろう。広場の隅にそのへんに転がっている石で昨日と同じような簡易かまどを作った。大鍋を出して、水は、もういいや。竹水筒から魔の森の泉の水をたっぷり出す。

 マリアさんとオリメさんがまな板を出して、野菜や肉を刻んで鍋に投入する。たっぷりの具入りスープができた。


 家々の戸口から顔がのぞいているね。

 「広場の隅を貸していただいたお礼です。器をお持ちください」

 みんな器をもってきた。ステファニーさんとアヤメさんがたっぷりと装ってやる。

 「肉だ。美味しい」

 あちこちから声が聞こえる。

 僕らも食べた。美味しいね。よくできた。材料よし、腕良しだ。


 あれ一人子供がおずおずとお椀を出した。

 「あの、スープだけもらえませんか」

 「いいよ。どうしたの」

 「うちでおばあちゃんがお腹が悪くて寝ているんです。長い間水のようなスープしか食べられていません」

 「それは大変だ。もしよければ診てみるけど」

 「お医者さんですか」

 「そうじゃないけど、幾らか心得が」

 「こちらです」


 アカと一緒に案内された家に行く。痩せたお婆さんが横になっていた。お腹が腫れている。

 アカが前足をお腹にあてる。お腹が光った。みるみるうちにお腹の腫れは無くなった。

 「治ったようだよ。食事は最初は柔らかいものにしてね。だんだん普通の食事に戻してくれればいいよ」

 戸口からみんなのぞいている。奇蹟だとか言っている。


 「ありがとうございます。おばあちゃんはもう治らないと覚悟をしていました。本当にありがとうございます」

 孫娘だろうね。涙を流している。頭を撫でてやる。

 母親だろうか。お礼を言われ名前を聞かれた。

 「僕はシン、こちらは柴犬のアカです」

 つい名乗ってしまった。誤魔化すのも変だしね。


 「あの、うちでも主人が寝ているのですが見てもらえませんか」

 「いいよ」

 家に案内された。ゾロゾロ集落の人がついてくる。マリアさんに目配せするとすぐみんなで片付けを始めた。


 案内された家では、足の骨を折った男の人が寝ていた。怪我もしている。狩でやられたらしい。放っておくと、というか、もう少し腐り出している。骨もずれてついている。

 しょうがない。治してやろう。魔の森の泉の水で大丈夫だろう。あまり劇的に治ってもね。


 まず傷を洗う。腐ったところは流れていく。水の効果はないはずだ。僕のせいかな。骨はポンと折ってもう一度正しく繋ぐ。別に折らなくてもいいんだけど、わかりやすいからね。手をかざすと肉がなくなったところに肉が再生していく。一瞬で治してもいいんだけど、なるべく目立たないようにした。汚れ飛んでけもやらないことにする。目出つからね。

 え、アカ、もう目立っているってか。それはいけない。早く逃げよう。


 「はい、治りました。傷はなくなりましたので後は綺麗にしてやってください」

 「ありがとうございます。ありがとうございます」

 奥さんだろうね。平伏して頭を地面に擦り付けてお礼を言われてしまった。旦那はもちろん眠らせてある。痛いからね。骨を折るのは。滅びの草原の魔物にエスポーサがしたようなことはしませんよ。


 逃げよう。

 「それでは皆さんお元気で」

 マリアさんが撤収準備を終えていたので、さっさとみんなで逃げる。逃げ足は早いのだ。

 ありがとうございましたという声が聞こえていた。


 声が聞こえなくなるまで駆け足して逃げる。十分離れたね。

 それじゃ僕らの昼食。街道から外れたところにテーブルを出して、料理を並べいただきます。みんなが作った料理。美味しいね。食事が終わって少し休んで、出発。

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