178 神国に帰り無聊を託つ
巨樹の森を出る。生き物の息吹が押し寄せてくる。
テントがいいな。テントを出す。シャワー棟でいいか。シャワーを浴びてもらって夕食。
ここからは、神国で作った料理を食べよう。
夕食を食べてテントに入って横になる。
テントだから外の気配がよくわかるね。場所は禁断の地だけど、小さな優しい生き物の気配を感じる。
ぐっすり寝た。
朝日を拝んで、朝食を食べ、出発。
崖だね。飛び降りよう。ステファニーさんとオリメさんアヤメさんは、ドラちゃんに乗ってもらって、少し下がってから飛び降りてもらう。さて行こう。ぽんぽんとみんな崖から飛び降りる。
スタスタと着地。ブランコも少し外れたが無事着地。ステファニーさんとオリメさんアヤメさんもスタスタと着地。次回は上から飛んでもらおうかな。大丈夫そうだ。
あれ、ドカドカオオトカゲ母子がこちらをみている。リンゴをやろう。劣化袋を通したリンゴを母子に投げてやる。キャッチした。食べていいよ。一口で食べた。美味しいという顔をしている。
ありがとうございますって言っている。へえ。進化してしまったのか。まあ、いいか。達者でな。
じゃね。
「ブランコ、泉まで行こう」
行きと同じ、ブランコ、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんに先行してもらって、魔物が来たら倒して収納してもらう。僕らは少し離れてついていく。安定して魔物を倒しているね。もうこの世界で三人に敵うものはいないだろう。
泉についた。泉に竹水筒をたくさん沈める。普通の水だからね。多分。みんなこの泉用の竹水筒を沈めて水の補充だ。ほとんど使ってないだろうけどね。
時間はあるけど、ここで一泊することにした。水筒の水の補充もあるしね。
シャワー棟だよ。着物はぽんぽんと払えば綺麗になってくれる。さすが世界樹製だ。
夕食後、テントだ。魔物は、襲ってこないな。近づいてもこない。彼らが安全と思っている距離を保っているね。本当は安全じゃないんだけど。かわいそうだから驚かさない。だんだん魔の森の魔物も可愛くなって来た。
朝になった。忘れないうちに水筒を引き上げる。一晩経ってもまだ吸い込んでいるよ。底なしだねこの水筒は。
朝食後、昨日と同じ配置で魔の森の外まで走る。昼頃に森を出た。神国でお昼にしよう。ドラちゃんに乗せてもらう。あっという間に環状の森の上空を通過する。ここからゆっくり飛ぶ。泉のそばの湖が見える。到着。
二百人衆に驚かれた。みんな僕と同じ着物を着ているからね。跪いて、お帰りなさいませと言われてしまった。
「ただいま。変わったことは何かあるかい?」
「何もありませんでした」
「それは良かった。みんなの着ている着物は世界樹さんにもらったんだよ」
「ステファニー様とマリア様にも神服をいただきありがとうございます。シン様の家族になれたようで嬉しいです」
「我ら一同シン様に命をかけて仕えさせていただきます」
「うん、頼りにしているよ」
「ははー」
平伏してしまった。あれれ、これはいかん。早く着替えよう。急いで自宅スパ棟に入り、お風呂だ、お風呂。着替えて、みんなには人化を解いてもらって、僕も11歳になった。
食事にしよう。食堂に行こう。
みんなで定食を食べる。美味しい。神モードを解いたからみんな寄って来る。妊婦さんにお腹を撫でてと頼まれた。元気に生まれて来るんだよ。うんて返事したようだ。
作物の出来とか他愛のない話をした。
ゆったりした時間が流れていく。こういう時間は今までなかった。少しゆっくりしよう。
翌日、朝からゆっくりしたけど、僕やることないな。ステファニー、マリアさん、エスポーサは忙しそうだし。ブランコとドラちゃんとドラニちゃんは見回りーって遊びに行ってしまったし、オリメさんとアヤメさんは裁縫棟で忙しそうだし。二百人衆はそれぞれ仕事を割り振ったみたいだし、食堂もイツカリ板長の指導が良かったから二百人衆で回っているし、ゴードンさんは来てないな。
アカ何しよう。いてくれるだけでみんな嬉しいから何もしなくていいの。そうなの。でも暇だな。
ちょっとどこかに今から行ってみようか。アングレア王国を越したところなんてどうかな。
じーー。じーー。じーー。
何か背後から視線と圧力を感じるね。振り返ると少し開いたドアの隙間から顔が三つ覗いている。一番下からドラニちゃん、ドラちゃん、ブランコの見回り三人組だ。
あれ、帰って来ていたの?黙ってどこかに行こうとした。ごめんごめん。みんな忙しそうだったから。おいで。
三人が飛びついてくる。よしよし。
で、どうしてわかったの?なんか怪しいから転移で帰って来た。そうか。よしよし。さすが警備担当だね。内緒にできない。じゃ、ちょっと一緒に行ってみる?いくよー。