173 神国でゆったりと過ごす (下)
歩いていると白いモコモコが寄って来た。偉そうにメーメー言っている。馬よりは小さいけどでかい。どうやら家族のところに案内したいようだ。後をついていく。
しばらく行くと白い石があっちこっちにある。こんな石があったかな。動いた。メーメー言いながら集まって来た。
呼びに来た白いモコモコが偉そうに、連れて来たと寄って来たメーメーに言っている。小突かれた。神様だ、謝れと言われている。
メーメーは、頭を垂れて、メーメー言っている。知らなかった。ごめんなさいと言っているみたいだ。頭を撫でてやる。小突いたメーメーが、嬉しそうだ。撫でてやる。目を細めている。
モコモコモコモコみんな寄って来た。アカとマリアさんと手分けして撫でてやる。ずいぶんいるな。アカが500頭くらいと言っている。へえそうなの。
アカ、どこから来たのかな。知ってる?あちこちに隠れ住んでいたメーメーを集めて来た。ブランコとドラちゃん、ドラニちゃんが見回りの時色々見つけてくるの。そうですか。ブランコもドラちゃんもドラニちゃんもえらいえらい。撫でてやる。嬉しそうだ。これでメーメーの毛は十分だね。ありがとう。
メーメーも満足したようで、草原に散って行く。小屋はいらないのかい。アカによると、もともと野にいるメーメーだから、いらないんだそうだ。敵はいないし、適当に森があるし、呼べば喜んで来るし、こまらないのだそうだ。ああそう。
バリカンがいるね。作って二百人衆に渡した。
糸紡ぎはどうするの?アカ曰く、簡単なコマのようなドロップスピンドルを渡した。神国は自給自足だから工業化しないほうが良い。足るを知ることが大切。そうですか。オリメ商会で売る製品の分はオリメさんの実家から布を仕入れればいい。そうですか。
アカが続ける。糸紡ぎといえば黄金繭がある。そうですか。森の中に住んでいて、毛がない毛虫型で最終的に黄金繭を作る。へえ、そうなの。繭は人の背丈くらい大きい。へえそうなの。木が丸坊主になりそうだ。特殊な木で丸坊主になった枝を切ってやるとすぐ新しい枝がでてくるので大丈夫だ。その木の葉しか食べない。二百人衆が時々枝を切りに行っている。ああそう。
繭から羽化した後で繭を煮て糸を紡ぐ。羽化した後でいいの?ちゃんと出口は最初から作ってある。ああそう。それなら煮ても臭わないか。
それと弾ける綿花がある。危なくはないがびっくりするので少し普通の畑と離れたところで栽培している。人の頭くらいの大きさの実が熟すと大きな音と共に裂けて真っ白なふわふわの綿が現れる。そうなの。
それで糸を紡いだら機織り機で織る。足踏み式で、縦糸だけ機織り機で動かす。飛杼は導入しない。ゆっくり、自然を壊さないことが大切。へえそうなの。なんだかわからないけどよろしく。
アカはいつの間にか腕の中だ。
ドラちゃんとドラニちゃんは両肩付近に抱きついている。ブランコがつまらなそう。じゃ少し大きくなってね。
大きくなったブランコに乗せてもらう。嬉しそう。マリアさんも乗って来た。後ろから抱えられる。いいんだけど。
エスポーサは側にいるだけでいいんだそうだ。
このところ忙しかったからね。こういうゆったりした時間はとれなかった。時々農作業をしている二百人衆に会う。みんなニコニコしている。
昼頃まで歩いて、泉の広場に戻った。食事は自宅スパ棟だ。
オリメさん、アヤメさん、少し遅れてステファニーさんも戻って来た。
食事を作ろう。そういえば明日から出かけるけど食事はどうしようか。板長さんの食事はまだあるが。そうだな。作っておこう。決めた。午後は食事作りだ。自給自足。うん。
それで料理だけど、まず、アカ、エスポーサ、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんが人化した。ステファニーさんは講義があるといって学校に行った。逃げたのではないと信じたいが。
エスポーサがチーフ。マリアさん、ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃん、僕で料理を作る。アカが手を出すと簡単にできてしまうので名誉監督。
始めてみたが、ブランコは小麦粉をこねると台ごと破壊して、エスポーサにすぐ戦力外通告をされた。しょぼんとしている。ドラちゃんとドラニちゃんは粉だらけになるし、こちらは将来を期待するが、現時点では戦力外の判定を受けた。ブランコが仲間ができたと喜んでいる。三人で遊びに行ってきな。見回りーと言って喜んで出て行った。
僕は、戦力外になりそうな微妙な位置にいる。手伝いに徹しよう。
結局、アカも参入し、アカ、エスポーサ、マリアさんで料理を作ることになった。
半日かけて大量に作った。食べていないのに食欲がなくなった。
作った料理は基本僕が収納するけど、各人の収納にもプッシュしておく。
ブランコ、ドラちゃん、ドラニちゃんがお腹を空かせて帰って来た。
食堂に行こう。
食堂ではおいしく食べられました。