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166 12人と元神聖教大幹部6人の訓練 (2)

「はーい、おはようございます。みなさん、打ち身、生傷、咬傷などたくさんありますね。放置すると魔物が持っている毒で大変なことになりますよ。噛まれたりしたらすぐ治療しましょう。今回はサービスです。治しました。骨折はないですね。私でも治せますが、骨折したらブランコの練習台になってもらいましょう。それと朝食は作ってあります。親切でしょう。パラソルの机の上にベントウとお茶を置いていきます。食べてくださいね。急いだほうがいいですよ」


 骨折は絶対しないようにしようと思う18人。それにベントウを配って急いだほうがいいということは、そういうことだ。寝かせないつもりだ。急いでベントーを食べる。食べ終えてお茶を飲み終わったらツアコンさんが現れた。大量の魔物とともに。


 「おまちどうさま。今回は上級コースです。滅びの草原の魔の森寄りの、元気一杯ワンワン印で鍛えられたよりすぐりの魔物です。今日は夕方まで頑張ってもらって、その後は、前進と行きたいところですが、ゆっくり休憩を取って、真夜中出発としましょう。ではごゆっくり」


 パラソル、テーブル、ベントウ箱などとともにツアコンさんが消える。魔物がツアコンさんが消えたのをみてホッとしているのがわかる。ワンワン印というのはなんだか分からないが魔物も怯えるものなのだろう。おっとワンワン印の鬱憤をこちらに向けてきた。向ける先はツアコンさんだろうと思うが、怖いのだろう。同情はする。


 ショートソードを抜いてかかっていく。昨日よりは格段に進歩したはずであるが、元気一杯ワンワン印の魔物だ。体のキレが違う。力が違う。また剣が宙を切る。うっわ、角で突かれそうになる。危なく腹部貫通であった。脇腹に激痛が走る。血が滲んできた。また角を振り立てて襲ってくる。ツアコンさんはよくこんなのをワンワン印の実験台に出来たな。力の差が段違いなのだろうな。デコピンで倒せそうだ。ツアコンさんには逆らわないようにしよう。


 「おい、いくら倒しても魔物が減らないぞ。どうしたんだ」

 「魔物が湧いているみたいだぞ」

 「腹が減ってきたが昼飯はどうなんだろう」

 「待て、あった。オニギリが収納に入っている」

 「どうするんだ。食べていられないぞ」

 「4人で食べて周りを14人で囲むか。それで食べ終わったらバリア役と交代だ」

 「それにしよう」

 4人で食べるが、バリアが脆弱なのでおちおち食べていられない。うっかりすると魔物が突っ込んでくる。それでもようやくオニギリを食べ竹水筒の水を飲み、ついでに傷に水をふりかけて、交代。一回りする頃にはだんだん慣れてきてバリアも強化された。


 「後半日だ。頑張ろう」

 「おう」

 「それにしてもこのショートソードはすごいな。切れ味が鈍らないし、刃こぼれもしない。シン様製なのだろうな」

 「さっき角もスパッと切れたぞ。魔物が角が切られていることに気が付かず、角で突いたつもりが空振りしてた。もちろん首を落とした」

 「角が売れるんじゃないか。元から切ったか」

 「いや、夢中で切ったので途中だったろう」

 「今度は根元からがいいぞ」

 余裕が出てきた18人。日が傾く頃魔物の湧出も終わり、夕方には最後の一頭を倒すことができた。


 「頑張りましたね。私は優しいから今日も夕食は用意しました。パラソルの下に用意しておきました。ゆっくり食べてくださいね」

 ほっとしてベントウを広げる18人。のんびり食べだした。

 「それから、ゆっくりしすぎると寝る時間が減りますよ。真夜中出発です」

 またまた慌てて食べだす18人。あっという間に食べ終わった。お茶が美味しい。

 「それじゃ、真夜中に来ます」


 ツアコンさんが消えた。さてゆっくり寝るかと横になったら誰かが気がついた。

 「おい、檻が消えている。魔物が襲ってくるぞ」

 やっぱりツアコンさんは悪党だった。寝ずの番をしなければならない。

 「4人仮眠、残りバリア役でどうだ」

 「それでいこう。二時間弱で交代だな」


 日が落ちて魔物は夜行性の魔物の天下になった。一頭がそろそろ近づいてくる。昨晩のように簡単には近づかない。いくらか腕が上がったのがわかるのだろうか。一頭が襲ってくる。周りの草むらからどっと襲ってくる。なんのことはない。一頭が囮になり、気を引き付けておいて周りを気づかれずに囲んで一気に襲う。こちらの腕とは関係なかった。囮作戦だった。12人が必死になって、迎撃する。これでバリアを突破されるようだと、全員が眠れず真夜中を迎えることになる。なんとか12人で耐え、交代し、なんとか全員が仮眠し、真夜中を迎えた。


 「よく眠れましたか。幸い今日は新月です。眠りやすかったでしょう」

 新月か、気が付かなかったと思う18人。それにしては魔物が見えた気がする。

 「訓練の甲斐ありましたね。夜でも夜目が効くようになったのでしょうか。おかしいな、ワンワン印が効いたのかしら」


 「まさか」

 「エチゼンヤさんがあちこち人体実験、もとい、今なら一本無料ワンワン印の無料体験を募集しているのですが、皆さんお断りになって」

 最初の言葉は人体実験と言ったような気がするが。

 「人体、人体実験なのでしょうか」

 「そんな事はありません。言葉の綾ですよ。おほほほほ。エチゼンヤさんは飲んでも何ともなかったし」

 あれはすでにあっちへ行ってしまった人だ。人外だと思う18人である。


 「ちょっと料理に入れただけですから。では行きましょう。3列で行進です。ちょうどブランコとドラちゃんドラニちゃんが来ました。朝まで岩場ですね。じゃブランコ、ゴー」

 ごまかされた。ぜったいちょっと入れたんじゃなくて、ちょっとは水も入れたんだろう。主体はワンワン印。一本というからには液体だろう。なんか胃のあたりが熱くなってきた気がする。


 「はい、掛け声」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」


 走るといくらか胃が楽になる。思わず走ってしまう。

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」


 暗い中を岩を乗り降りして走っていく。

 おお、胃が快調だ。

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

 「いち、にい、さん、しい、そーれ」

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