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158 シン様一家ときょうちゃん、ゴードン、ハビエルとで会議をする

 さて今度は拡大会議だ。

 昨晩のメンバーに加えて、エスポーサ、マリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんを呼ぼう。見回りという遊びに行った三人はどうするか、一応呼んでおこう。みんな帰っておいで。聞こえたみたいだ。シン一家総出だ。

 あとはゴードンさんとハビエルさんだな。三馬鹿ハルトは、まあいいや。ハビエルさんが代表ということで。二百人衆はステファニーさんが代表だ。きょうちゃんも呼ぼう。

 アカ、みんなを集めてきてもらえるかな。いいよってか。ありがとう。


 みんな集まって新しく作った会議室に入った。帝国からの二人にはホールで待っていてもらう。

 「集まってくれてありがとう。今日は大変重要な話があります。昨日、バルディア帝国から逃れて来たルチャーノさんとコッリーナさんを西の森で任務に当たっている二百人衆が保護しました。昨晩、アカとエチゼンヤさんご夫妻、イサベルさんとで二人から事情を聞きました。お二人の情報によると、バルディア帝国が攻めて来るようです。それと皇太子殿下に救援物資を送った際の礼状があります。回覧します」


 みんな黙っている。戦争は初めてだ。

 「ローコーさん、エリザベスさん、イサベルさん。三国の王様はどう言っていましたか。こちらで事情聴取をしていいでしょうか」

 「もちろん、同盟国の盟主、シン様にすべてお任せするとのことでした」

 いつの間に盟主になったの?知らなかった。知らないことが多い。


 帝国から逃れてきた二人に中に入ってもらった。

 「詳しくはこれから二人に説明してもらいます。では昨日の説明をもう一度お願いします」

 昨日と同じ話を二人がした。

 「有難うございます。何か二人に質問がありますか?」

 「エチゼンヤと申す。兵はどのくらいの人数か?」

 「今回動員した兵は職業軍人と予備役、傭兵合わせて5千人です。私がいた時までの情報はそこまでです。ただ根こそぎの徴兵も計画されていたようです」

 コッリーナさんが答える。5千人に関しては皇太子殿下の礼状と同じだ。将軍のところでも宰相のところでも働いていたので情報はかなり正確なのがわかった。


 「隘路拡張工事はいつごろ終わるのか?」

 「わかりません。邪魔している岩が大きすぎるという話は聞きました」

 「皇帝は、デヴィクトール15世、皇太子はデキウス、宰相はタウリス、将軍はランベルトで名前はいいですか」

 「はい、その通りです」

 「ほかにないでしょうか。ではお二人は退出願います。会議が終わるまでホールで待っていてください」

 ああ、らしくない議長をしてしまった。


 きょうちゃんが発言する。

 「神聖教国に戦える兵力はない。剣を持てるとしたら異端調査官と特務と多少の警備兵だ。異端調査官も特務も警備兵も集団戦はできない。それに数がいない。数百人単位では国家間の戦争ではどうしょうもない。それに異端調査官も特務も今はもうほとんど残っていないだろう。神聖教国の神に対する信仰が揺らいでいる今、そして元々信者がほとんどいない帝国軍に躊躇はなく、侵攻即蹂躙だろう。抵抗もほとんどなく進軍できるだろう。進軍先はこちらの三国に挟まれた小国群だが、最も進軍しやすいのは平原が続いているリュディア王国方面の小国だ。おそらく一度小国の平原に集結し態勢を整え、リュディア王国に進軍してくると思われる。スパーニアとアングレア方面は、山地で一度に動かせる兵が極端に減り、移動速度が落ちる。高速に兵を移動できる東西街道で多数の三国の兵に迎え撃たれるとひとたまりもないだろう。ゆえに小国の平原に集結して一気に押し寄せる作戦が最善だと思う」


 きょうちゃんがお茶を飲んで続ける。

 「神聖教国とこちらの三国と間には小国群がある。この小国群は神聖教国と友好関係にはあるが、積極的に友好というわけではない。隣同士いがみ合うと消耗するし、神聖教国は小国群に魅力はないという理由で戦のない関係を維持して来ただけだ。小国群はこちらの三国に対しても隣同士いがみ合うと消耗するから友好を装っていただけだ。小国ゆえに機を見るに敏だ。帝国軍が神聖教国に侵攻したらすぐこちらに救援要請があるだろう」

 的確なきょうちゃんの分析である。何も付け加えることはないくらいだ。

 アカが膝の上でよくわかっていると言っている。ブランコはとうに飽きてドラちゃんとドラニちゃんと三人でゴロゴロ遊んでいる。


 ローコーさんが発言する。

 「さすがにきょうちゃんは神聖教国のトップを務めただけはある。的確な分析だと思う。我々は隣国の平原に帝国軍が侵攻した以降のことを考えればいいと思うが」


 「国に攻め入られるということは亡国の一歩手前です。なるべく攻め入られる前に解決してほしい」

 「私もマリアと同じ。そう思う。隣国に侵攻した時点での解決が望ましいと思う」

 マリアさんとステファニーさんの実感がこもった発言があった。


 続いてエリザベスさんの発言。

 「シン様親衛隊の二百人衆はこの戦いに投入すると彼らだけで余裕で勝ててしまう。相手の人員に大損害が出るので、神国の兵は勘定に入れないことにしましょう」

 いつの間にか二百人衆は親衛隊になったのか。僕は知らなかった。まあいいか。


 ゴードンさんの発言。

 「こちらから突っ込むのか。一万五千に対する野戦だとこちらも同じくらいの人数がいるし、兵の損耗も激しい」


 エスポーサが発言する。この頃ツアコン業が忙しいので人化していることが多い。

 「まずは、戦意喪失作戦はどうでしょうか」

 僕、久しぶりに発言する。

 「どんな作戦?」

 「それはこういう作戦です」

 以下マル秘作戦です。

 「それはいい。担当はエスポーサね。それにドラちゃん、ドラニちゃん、頼んだよ。え、ブランコもやりたいの。はいはい。それじゃブランコも担当」


 エスポーサ参謀が続ける。

 「あとはそうですね。アングレアとスパーニアは接する山の稜線に監視所を置いて、もしアングレア、スパーニア方面に進軍して来たら狼煙をあげて、知らせてもらうことでしょうか」

 エリザベスさんとイサベルさんが返事をする。

 「それはすぐ手配するわ」

 勝手に返事をされてもはや国王かたなしである。娘には弱いのである。おっと一人弟の国王がいた。強い姉はいつまでたっても強いのだ。


 エスポーサ参謀が宣う。

 「戦意喪失作戦の次ね。こう言う作戦はどうかしら」

 以下マル秘作戦です。

 「それはいい」

 一同大笑いである。


 オリメさんが発言する。

 「作戦には、我々も重要な役割をするのですから、シン様の旗印を作ったらどうでしょうか」

 「そうだね」

 「旗をよく覚えておいてもらって旗を見たら戦意が喪失するように条件付けしましょう」

 「もう30人衆にはツアコンさんによって条件付けが済んでるみたいよ」

 「旗を見ただけでげんなりするらしい」

 「遠くに旗が見えただけで足が進まなくなるらしい」

 「それはすごい」

 「旗のデザインはツアコンさんの持っている旗の巨木のデザインにしましょう」

 「今回巨木の旗印をみんなの記憶に刻み込むように、戦場にずらっと並べましょう」

 「巨木の旗印を見ただけで、げんなりするように植え付けましょう」

 誰が発言したかこの際どうでも良いことにしよう。差し障りがあるといけない。

 僕、

 「じゃ、デザインは、ツアコンさんの旗と同じ巨木で、オリメさんとアヤメさんに作ってもらおう」


 「あまり全部成功してしまうとシン様に頼りっきりになり、三国の防衛意識が低下してしまうので程々のところで、あとは三国にやらせたほうがいいですね」

 我が参謀は優秀である。たしかにそうだ。平原も程々にして、山にもいくらか兵が侵攻するようにしたほうがいいか。

 しかし、あまりにもな作戦で、もはやバカらしくて会議を続ける気が皆に失せた。


 「それでは、各国王さんには、ローコーさんとエリザベスさん、イサベルさんから会議の報告をお願いします。最後のマル秘作戦はあまりにもな作戦なので、次の手を用意してあるくらいでお願いします」

 あれ、ハビエルさんが発言しなかったような気がするが、沈思黙考の方だからいいか。

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