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145 託児所の王都見学 横道にそれてしまった三馬鹿ハルト達が闇の組織のアジトを襲撃する

 「おい、あの女は人の心がないのか。悪党の俺でもこんなことはできない。せいぜい殺すだけだ」

 殺すだけだと言うのも酷いなと思う三人。


 「そもそもツアコンさんは人ではない。だから人の行動の規範に縛られない」

 「人でなし」

 「人で無しか、悪人の割にはいいこと言うね。それはそうとそろそろ吐かないと順番が来るぞ」

 「わかった。話す。だからやめさせてくれ」

 「自分で頼んだら。俺たちは怖くて話せない」


 「これもダメね。次は、ゴットハルトさんと親しく話しているあなたかしら」

 「あのう、ブラックパンサーのアジトは吐きますので、どうかこの辺で練習はおやめ頂けるとありがたいのですが」

 「あら、そうなの。残念ね。せっかくもう少しでコツが掴めそうなのに。ううん、そうかアジトを襲撃するときにどさくさに紛れて何人か連れていけばいいのか。わかった、そうしよう。何人かいなくなっても気づかないよね」

 アジト襲撃は既定路線かと三馬鹿ハルトとねじ曲がりの皆さん。


 「ご褒美に皆直しておいてやるわ。旦那のヘマは帳消しにしないとね」

 全員治った。手首を除いて。

 「あのう、手首は」

 悪人ヅラが聞いた。

 「それは旦那のやったことじゃないから知らないわ。それじゃ三馬鹿ハルトはすぐ襲撃してね。あのアジトは裏にも出入り口があり、隣の家に抜ける地下道の逃げ道もあるから気をつけてね。10人くらい連れて行って広めに包囲するといいわ。時間が経つとブランコも掴みかけたコツを忘れてしまうから早くしてね。最初からだとまた人数が必要になる」

 ツアコンさんが消えた。


 「それじゃ行くか。ところでアジトはどこだい?」

 「スラムの奥だ。あの化け物が知っているんだろう」

 「口には気をつけた方がいいぞ。聞いているかもしれない」


 「あれ、まだいたの。後一人くらいでコツが掴めそうだからと言うものでね。私の悪口を言ったのはあなたね。来てもらいましょう。折ってつないで、折ってつないでしたら魔物が悶絶したわ。あなたは何回持つかしら」

 ツアコンさんと悪口を言った悪人が消えた。

 やっぱりこうなると思った三馬鹿ハルト。


 「よし、アジト襲撃だ。馬車のところに戻って10人呼んできてくれ」

 呼ぶまでもない。馬車を視界に入れつつ大通りから期待に満ちて極道神父が覗いていたのである。たちまち10人やってきた。

 「おいそこの悪人、案内しろ。残ったのは衛兵に引き渡せ。いくぞ」

 10人の選にもれた神父がやってきて呻いているチンピラを引っ立てていく。


 ゴットハルトを先頭に走り始めるが、道案内の悪人の足が遅い。いや普通人にしては早い方だろう。しかし先頭より遅れては案内にはならない。

 「お前、走っているのか。走れ」

 言われた悪人。一生懸命走るが、すぐ限界が来る。足がもつれる。

 「まともに走れないのか。よく悪人が出来るな。ブラックパンサーだろう。足が自慢じゃないのか。自慢の足を見せろ」

 悪人はすでに限界なのだが、言葉の鞭で打たれて必死に足を動かそうとするが、動かない。前のめりに転んで顔を盛大に擦りむいた。顔面血だらけである。


 「役に立たねえ悪人だ」

 ゴットハルトが顔面血だらけの道案内の悪人を担いでスラム目指してかけていく。後を追う十二人のガタイの良い怖い顔をした男たち。一見して極道である。神父服を着た極道集団が走って来るのである。道を歩いている人は慌てて避ける。


 スラムに入った。普段なら誰が入ってきても恐れることはないスラム住人。顔面血だらけの犠牲者を軽々と引っ担いで極道神父集団が走ってくる。明らかに力が違う。溢れ出る極道神父オーラがすごい。もはやオーラが固体のようだ。ぼやぼやしていたスラム住人はオーラに弾き飛ばされる。屯していたスラム住人は必死に物陰に隠れる。目の前を極道神父集団が走っていく。このままだとブラックパンサーのアジトだ。アジトが壊滅するのが見えたスラム住人。怖いもの見たさに物陰伝いについていこうとするが、相手が足が速い。たちまち息があがった。


 「おいどこだ」

 「あの家だ」

 「そうかご苦労。お前はカチコミだと叫んでこい。ブラックパンサーどもが出て来たら三人で襲撃する。10人は隣の家も含めて包囲しろ。裏口、抜け道があるらしいぞ。展開」


 顔面血だらけの悪人がアジトにカチコミだと叫びながら駆け込む。

 血だらけの顔を見たブラックパンサー構成員。迷わず叫ぶ。

 「カチコミだ。出会え」


 「出て来たぞ。売られたケンカは買わねばなるまい。いくぞ」

 三人の手にショートソードが握られ、突入する。

 「三人だ。やっちまえ」

 掛け声は勇ましかったが、所詮人に過ぎないブラックパンサーの面々は、人外三馬鹿ハルトにあっという間に切り伏せられた。


 三馬鹿ハルトが柱に、壁に切りつける。アジトが物理的に潰れる。ドンと足踏みする。抜け道の地下道が崩れた。すかさず包囲していた神父が抜け道の先の家を襲撃する。


 5分もしないうちにアジトは灰燼と化し、ブラックパンサーは壊滅した。

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