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132 元神聖教国各派代表30人 エスポーサよりシン様からの依頼の補足説明を受ける

 今回はエスポーサのターンです。

 「はい皆さん、無事にシン神様との会見が終わりました。いかがでしたか」

 「圧が半端ではない。とても長くは会見できない」

 「そうねえ。いつもは10歳、自称11歳のお子さんです。そちらの格好ならお気楽と思いますよ」


 「どちらが本当なので」

 「神様ですから、どちらも本当で、かつ本当でないのでしょうね。シン様と線指輪のお盆を持っていたアカ様は神様です。アカ様はいつもは柴犬という可愛い犬の格好をしています。滅びの草原のようになりたくなければ、お気をつけあそばせ」


 「ツアコンさん、いやエスポーサ様はなんなので」

 「シン様とアカ様以外は皆眷属です。私も眷属ですよ。普段はブランコと同じ白狼の格好をしています。正しくは天狼ですけど、天狼というと怯えられそうで白狼と言っていますが。だから天狼と言ったらダメですよ。滅びの草原ですよ。あ、私はそんな広くはできないかな。神聖教国やリュディア王国くらいなら楽に滅びの草原に出来そう」

 ツアコンさんには逆らうまいと思ったシン信者のみなさんなのである。


 「私は眷属に過ぎませんから今みたいにお気楽に接してくださいね。それに広い意味では皆さんも眷属ですよ」

 「でも滅びの草原」

 「いやぁねえ。冗談ですよ。冗談。おほほほ」

 怪しい、絶対怪しいと経験から思う30人。


 「お仕事の話をしなければなりませんね。食事をしながらお話しましょう」

 いつの間にか二百人衆がワゴンから配膳を始めた。

 「食事は、大人用、子供用、幼児用、離乳食など用意しました。それぞれに配膳します。シン様に感謝していただきましょう。シン様はいただきますと言って食べ始めると言っていました」

 「いただきます」

 一同揃って言った。


「美味しい」

 子供の声が上がる。お子さんは夢中で食べ始めた。

 大人も一口スープを口に含んで驚いた。美味しい。

 「今日はこのスープからすると料理長さんかな」

 「料理長さんとは」

 「エチゼンヤ本店の料理長さんです。美味しいですね。私は支店の板長さんの料理の方が好みですが。こちらも大変美味しいですね」

 「はあ、そうですか」

 エスポーサ様は美食家だと思う30人とその家族。


 「それで仕事の話ですが、国から補助金を出してもらうように明日シン様とアカ様が交渉に行きます。補助金の関係で皆さんは一時的にこの国の国民になっていただきます。方便ですよ。心はシン様と共にあり」

 エスポーサ様のバングルが光る。

 「心はシン様と共にあり」

 一同唱えた。線指輪が一際強い光を放つ。


 「帰化申請書は、今頃エチゼンヤさんが宰相に提出しています」

 「書いた覚えが」

 「あれ、採寸した時サインしてもらいましたが」


 やっぱりエスポーサ様は詐欺師だ。確かに急かされて何枚かに名前を書いた。大きな金具に止められた採寸書をめくると金具で上の方が隠れた紙にサインしたが、それが帰化申請書だったのだろう。服の注文書だと思った。知らなかった。でも滅びの草原になりたくないから黙っている。


 「明日補助金が出る話が決まって」

 「決まるのですか」

 「シン様とアカ様に逆らえるとでも?」

 「補助金は出そうです」

 「そうです。補助金は出ます。とりあえず、王都に一箇所孤児院を作りましょう。前に孤児院であった建物が残っているようですから、そこを改修して使います。改修はせっかくですから、王宮にやってもらいましょう。王の慈悲を示す良い機会です。おほほほ」

 こういう理屈をシン様とアカ様に言われたら王様は断れないだろうなと思う30人。


 「一箇所ですので、交代で詰めて、運営の問題点、ノウハウを共有しましょう。責任者と数人は交代せず、他の人は一ヶ月勤務、半月ごとに半数交代にしましょうか。あまり短くても様子がわからないでしょうからね。奥さんは当然として、お爺さん、お婆さんにも手伝ってもらいましょう。家庭的な雰囲気が出て良いと思いますよ。具体的な話は孤児院の改修が始まった頃からしましょうか」

 「承知しました」

 「それまで暇ですね。何をしていただきましょうか」

 ごくりと唾を飲み込む30人。


 「お子さんたち、奥さんたち、お爺さん、お婆さんには、体力をつけていただきましょう。二百人衆のお子さんと合同で体力錬成特別プログラムに参加していただきます」


 俺たちは何だ、地獄の特訓か。怯える30人。

 「30人の皆さんには、特別プログラムを用意しましょう。名付けて保父さん養成特別プログラムです」

 「ホフ?ホフとはなんでしょうか?」

 「孤児院を運営するために、孤児の世話をすることもあるかも知れません。保母さんの男版です。そのための訓練です。小さな子相手ですよ。楽しそうですね」

 ニコニコするツアコンさん。どうもエスポーサ様より、性悪ツアコンさんと名前が浮かんでしまう。何かある、絶対何かあると思う30人。


 「明日から頑張りましょう。今日は良い夢を見てください。明日より各家庭で食事をお願いします。食材は、肉は魔物をたくさんお持ちですね。血抜きしてくださいね。野菜は皆さんの収納にプッシュしておきました。おいしいですよ。教国を出る時調味料は持ってきましたね。足りなければ申し出てください。家族団欒です。しばらく家族で一緒の時間を持てなかったでしょうからご家族と一緒の時間を大切にしましょう。では明日朝、宿舎前に集合です。30人は日の出前に集合ですよ。寝坊しないでくださいね。30人以外の方はもう少し後にピンポーンと呼び出しますので呼び出されたら直ちに集合です」


 日の出前に集合だと、やっぱり絶対何か隠していると思う30人。

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