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126 神聖教国各派代表30人 シン様御一家と会食する

 ともあれ、昼に入ったスパで汗を流して、ブランコ様の案内で、シン様のスパ棟まで案内された。こちらはシン様が住んでいるスパ棟らしい。入り口を入るとホールがあって、スパがあって、2階に続く階段がある。階上に部屋があるのだろう。待てよ、きょうちゃんがホールのソファに座っていた。


 精悍な男女がきょうちゃんと一緒に案内してくれる。ホールの奥に部屋があるらしい。重厚な扉を開けると、スパエチゼンヤの迎賓館と同じだ。こちらの方が一見質素に見えるが、造作は遥かに上等だ。


 長いテーブルに何人か座っている。男が立ち上がった。


 「私がシンです。今日は大変だったようですね。ゆっくり食事をしてください。私の家族を紹介しましょうね。私の右がアカ、ブランコ、エスポーサ。ドラちゃん、ドラニちゃん、左がマリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんです」


 神々だ。思わず平伏した。

 シン様は神様だ。アカ様は女神様だ。ブランコ様は偉丈夫で男前だ。ツアコンさんは、エスポーサ様か。すっかり忘れていた。さっきまでと違い神々しい。神のファミリーだったか。余計なことは言わなかったろうな。ドラちゃん、ドラニちゃんは気の強そうな姉妹にみえる女児だがやはり神々しい。マリアさん、ステファニーさん、オリメさん、アヤメさんも、美女で神々しいが、アカ様からドラニちゃんまでの人と無縁のような神様と比べると親しみやすい。どういうわけなのかわからないが。


 「どうぞ、座ってください。お腹が空いたでしょう。座らないと食事になりません」


 ハビエル殿がゆっくり立ち上がり、椅子に座る。きょうちゃんも椅子に座る。きょうちゃんはまだしも、やっぱりハビエル殿は空っぽの大物なのかも知れない。きょうちゃんとハビエル殿を見習い、恐る恐る立ち上がり椅子に座る。


 「給仕は二百人衆がしてくれます。皆さんと行動を共にした壱番組は、二百人衆です。もっとも今妊娠ラッシュで、遠からず三百人衆になるのではと思っています」


 「二百人衆は、今は亡国となってしまいましたが、私とマリアの故国の民です。食料も手に入り辛く生きて行くのに精一杯でしたが、シン様にお世話になってから、生活の心配もなく、出来にくかった子供も出来るようになりました」


 ステファニーさんとマリアさんは姉妹なのか。どうりで似ているわけだ。姉より妹の方がシン様に近いのか。わからぬ。亡国は、滅びの草原しか知らないが、それはもう物語になるくらい前だからどこだろう。


 テキパキと二百人衆が給仕をしていく。体のキレが見たことないくらい良い。皆一騎当千だろう。その人たちが給仕している。恐ろし神国。


 四方山話をしているうちに食事は終わりになり、お茶が出された。


 「さて皆さん、もし教国から退くようなことがあれば、家族を連れてもう一度スパエチゼンヤに来ていただきたい。お願いしたいことがあります」

 「勿論参ります」

 我々は力強く答えた。


 「今日は宿舎に泊まってください。ゴードンさんが住んでいる宿舎です。明日はドラちゃんとドラニちゃんが神聖教国までお送りします。そうそう、剣は皆さんの無手勝流でも世界中どこでも生き抜いていけると思いますが、剣の持ち方、型を知った方が効率が良いと思います。明朝、日の出から朝食までの間、ゴードンさんに基本を教わってください。ではまた明日」


 シン様御一家が出て行く。立って最敬礼する。

 給仕をしていた一人が宿舎まで案内してくれた。芯から疲れていたのだろう。あっという間に眠りについた。


 「起きろー」

 誰かの怒鳴り声が聞こえる。眠いので無視だ。

 「ウオーン」

 建物が震える咆哮が聞こえた。慌てて飛び起きる。

 「集合ー」

 怒鳴り声が聞こえる。

 「並べー」

 鬼軍曹顕現だ。やば。

 「貴様らたるんどる。湖一周、全速力。先導ブランコ様」

 ブランコ様はウオーンと吠えてすでに駆け出している。後ろからキュ、キュと督促された。

 全速力で走る。

 はあはあ、ぜえぜえ。湖を一周した。

 

 「剣を抜け」

 うわ、真剣で練習か。


 「剣は、こう持って、こう振る。こう突く。はじめ」

 こう持って、こう振る、こう突くと言われてもさっぱりわからん。


 ドラちゃんとドラニちゃんが棒を拾って来た。器用に前足で持っている。振り上げた。叩かれた。痛い。突かれた。体に穴が開きそうだ。大変痛い。


 「ドラちゃん様とドラニちゃん様が親切にも型を教えてくれている。同じように振ってみろ」

 同じようにと言われても圧倒的にスピードが違う。遊びでやっているように見えるが、振り上げたと思ったら次の瞬間叩かれている。痛い。

 構えたと思ったら突かれている。痛い。


 ブランコ様も棒を咥えて来た。棒を横に咥えて飛び込んでくる。頭を振ると棒が目にも止まらぬ速さで振られる。胴を抜かれる。痛い。

 棒に刃がついていたら当たった回数死んでいる。刃がついていないから身体中アザだらけだろう。青たん男の出来上がりだ。


 鬼軍曹殿はニヤニヤ笑っている。

「よーし。終わりにしよう。ご苦労さん。今のブランコ様、ドラちゃん様、ドラニちゃん様の振り、突きは、人間ではありえない速さだ。今の速さから比べれば人の剣など、ハエが止まれるのではないかと思うような遅さだ。相手が振り上げてから剣を抜いても十分だ。安心するがいい」


 「では手合わせを」

 「おう、打ち込んでこい」

 先に打ち込んだはずなのに剣の腹で打たれた。剣が見えない。話が違う。痛い。詐欺師だ。ペテン師だ。


 遠くで、詐欺師の親玉が呼んでいる。

 「青たんの皆さん、朝食ですよ」


 ゾロゾロと食堂に向かう。

 「あら、汗臭いですね。型を教わるだけだったのに。スパで汗を流して服は洗濯してきてください」

 もはや逆らう気力もない。風呂に入って朝食。

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