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116 神聖教国各派代表30人 スパエチゼンヤを見学する(4)

 視察団の30人がパラパラと大手門に集まって来た。

 巨木の絵が描かれたパラソルが立っていてツアコンさんが待っていた。遠くからでもわかる美女である。多少色っぽい。


 「皆さんお集まりでしょうか」

 ツアコンさんが数を数える。

 「30名。いらっしゃるようですね。ではこれから大通りを少し歩いていただきます。では参りましょう」

 パラソルは消えた。そういうものかと思う30人。


 賑わっている大きな店がある。

 「こちらがエチゼンヤ スパエチゼンヤ支店です。みなさんはスパエチゼンヤ支店とかエチゼンヤスパ支店とか呼んでいます。日用品、服、下着、靴など生活に必要なものはほぼ全て揃っています。今は下着が人気です。下着はオリメ商会で作っており、中に直売所があります。奥さんのお土産にいいですよ。絶対喜ばれます。行ってみますか」

 なんとなくゾロゾロとついていく。


 「はい、こちらがオリメ商会のコーナーです」

 目をやると、裸の女性が何人か立っている。胸と腰は布で覆われている。全員思わず目を逸らしてしまった。

 「人形ですよ。ご安心ください」

 言われて視線を戻すが、やっぱり裸の女性に見えて恥ずかしい。

 「男物の下着もあります」

 こちらも裸の男が立っているが、恥ずかしくはないのでよく見ると確かに人形だ。チラチラ裸の女性を見ると、動かない。人形とわかったが直視出来ない。


 売り場は熱気に溢れている。

 「自分にあったサイズのものをお買い求めください」

 と店員さんが声を枯らして叫んでいる。


 「胸の方はブラジャーといいますが、見栄をはって大きなサイズのものを買ったりするんですよ」

 とツアコンさんの解説が入った。


 「皆さんにはオリメ商会から特別価格で男女一セットの下着の提供があります。どうぞご利用ください」


 「サイズがわからん」

 「選んで差し上げましょう。これは奥さん、これは上のお嬢さん、これは下のお嬢さん、男のお子さんにはこれ。旦那さんはこれ」


 差し出された下着を思わず手に取ってしまった。お会計はあちらです。次から次へと売りつけられる30人。なぜ家族構成がわかる、サイズがわかる、やっぱり神なのかと思わぬところで実感するのであった。手提げ袋まで売りつけられた、トホホの30人である。


 「では皆さん、お買い上げありがとうございます。またのご利用をお待ちしています」

 ツアコンさんはエチゼンヤとグルなんだろうと思ったが、教国ではみたこともない土産が手に入ったからまあいいかと思った30人ではある。だいぶ毒されてきたのである。


 「あちらにあるのがスパです。こちらは値段は少々高く串焼き15本相当です。少々お値段が張りますが、意外と混んでいますね。儲けてもらいましょう」


 「こちらのメインストリートは通称大通りと呼ばれています。全体の幅100メートル。真ん中に66メートル幅の公園、その両脇に、車道が11メートル、歩道が6メートルとってあります。大通りを中心に、土地は原則1ブロック100メートルとして地割をしてあります。ブロック間の道路は、車道10メートル、両脇に4メートルの歩道がとってあります。公園は1ブロック丸ごと使い、あちこちに設置してあります。全ての公園に水飲み場とトイレが設置してあります」


 「歩道とは聞いたことがないが。人が歩く道か」

 「そうですね。馬や馬車と人が同じ場所を用いていると、轢かれたり、ぶつかったり、馬の蹄にかけられたりしますね。それを避けて安全に歩けるように作ってあります。馬や馬車が侵入しにくいよう一段高く作って車道との間に柵が作ってあります」


 「まだ何も利用されていないようだが」

 「現在は、エチゼンヤスパ支店のみです。お陰様で繁盛しておりますが、王都内の店と共存共栄を計りたく、思案中です。オリメ商会を独立店舗として服の専門店にすることは決まっていますが、下着が一巡するまでは余力がありません。困っています」


 「下着は模倣品が出ないのか」

 「下着など模倣していただいて全ての女性に着用していただきたいのですが、品質に難があるようです。ちなみに我々が作った製品、オリメ商会も含めてですが、この旗と同じ巨木のマークがどこかに入っています。下着は巨木マークに限ると買いに来ていただいております」


 「マークは模倣されないのか」

 「マーク入りの模倣品を大量に作りいざ出荷となったときに、落雷があり火が出て全て燃え、関係者全員に雷が落ちて黒焦げになったそうです」

 「ーーーーー」

 「シン様製マークですから模倣は許されません」

 神罰か、恐ろしいな。やっぱり神なのではないかと思う30人。

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