ベッド下のおふだ
冬といえばホラーですよね。
最近の幽霊が出るかもしれないというホテルでは、部屋に飾られている絵画の裏に『おふだ』は貼られていないらしい。絵画裏に『おふだ』という話が有名になりすぎたせいで、部屋に入って最初に絵画の裏を確認する客が増えたのが原因ということだ。
では代わりにどこに『おふだ』は貼られているのか?どうやらベッドの下側に貼られているらしいという噂を小耳に挟んだ。
『おふだ』が貼られているかもしれないベッドの上で寝ているかもしれないと思うと、なんともやりきれない気分だ。
私の部屋が該当するのかは分からないが、このホテルのある一室に幽霊が出るという噂はあるらしい。確率としては低いだろうが、興味本位で確認したくなるというのも人の性というものだ。
私はベッドを持ち上げて『おふだ』の確認を試みようとしてみたが、重すぎて持ち上がらなかった。重くてひっくり返せなければ確認のしようがない。この噂を聞いて確認をしようとしても物理的にできないということか。上手く考えられたものだ。
しかし確認の手が全くないわけではない。ベッドの下にはわずかながら隙間が存在する。そこへ紐を括り付けたスマホ画面を上にしたまま、夜間モードでビデオ録画をした状態でベッド下にくぐらせる。あとはベッド下全体にスマホを滑らせれば確認作業の完了だ。
ベッドに寝ころび、ビールを片手に持つ。動画を確認する準備は万端だ。さすがにベッド全体ともなると作業に時間がかかった。どこに『おふだ』があるか分からないので、寝るまでの暇つぶしには十分な時間を費やせるだろう。
自分でも暇人だなと思いながら動画の確認を行う。
直後、私は部屋に飾られた絵画の裏を確認し、部屋を飛び出した。
動画に『おふだ』は映っていなかった。いや、ベッド下の映像すらなかった。
動画に映っていたのは私だった。
ベッド下にスマホを滑らせ、必死に動画を撮っている私の姿が動画に映っていたのだ。
動画を見て固まってしまった私だったが、ふとあることに気づく。
この動画はいったいどの位置から撮られているのだろうか?
位置確認を行い、視線を向けると、そこには絵画が飾られていた。
嫌な予感がしながらも絵画を外してみる。
「あぁぁぁ」
絵画の裏には『おふだ』が貼られていた。
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