表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/30

第7話「2人の目覚め」

 日曜双矢にちようそうやは、VRMMOワールドから目を覚ました。

「くう~~~~……」

 外の天気は晴れで、風通しが良かった……。

「あぁ……、酷い目にあった……」

 双矢そうや京学文美きょうがくあゆみの前に、まず謝らなければいけない人物がいる。


 双矢はスマホを取り、電話をする。湘南桃花先生へだ。

『はい、桃花です』

「……日曜双矢だ。えっと……先生。なんというか……スミマセンでした」

『……うん、いいって。許す。どうせ自業自得だから。それよりあんたは、早く文美あゆみに会ってやんな』

「はい、ではこれで」

『うん、また後で会いましょう』


 プツ――、と電話が切れる音がした。


 再び、ベットの上で深呼吸してから。……、……。

「死と再生の物語。……異世界転生、……か……」

 現代用語を口にした。



 ――何が……、どうなったの……?

 ――他人のイメージで構成されているようなこの感覚……。

 ――そう、……これは。

 ――夢。


「はっ……」


 京学文美きょうがくあゆみは、VRMMOワールドから目を覚ました。

 先に、優しい風がくる。空気を大きく深呼吸して。

 まず探したのは、……微かな、恋人同士の、カップルとしての想い出。


 が、名前が出てこない。だけど、記憶の中から決して消えないアノ名前……。

「ブロード、レイシャ、リスク、スズ……」


 と、その時。

 普通のドアなのに、まるで魔法のドアを開けてくるかのような男性が1人。

「この世界では、京学文美きょうがくあゆみって言うらしいぜ。レイシャ」

「ブロード、……ブロード!」

 思わず抱きつく文美。

「正確には……〈真名まな〉って呼んだ方が良いかもしれないな。テレビ観たけど、リスクは健在だし」


「……?……」


 彼女は、本当に、――何が何だか解らなかった……。



 日曜双矢にちようそうや京学文美きょうがくあゆみに話を続ける。


「記憶が混乱してるみたいだな。どこから話せばいい? 何でも答えるぜ。Q&Aだ」


「見た目は変わってないけど、あなたはブロードじゃないの?」

「ん~そうだな。見た目も中身も変わってないが……。変わったとしたら世界の方だな。世界が新しく、文字通り書き換わった。この世界では俺の名前は、日曜双矢にちようそうや。で、レイシャの名前は京学文美きょうがくあゆみ


「ん……へ……?」

「ん~、頭おかしい変な人って思われてるかもしれないが……。でも真実だ。特に俺達4人組、ギルド『四重奏』の真名は。時が過ぎようと、歴史が書き換わろうと、変わらなかった」

真名マナ……?」

「俺達4人は特別だってことさ。他に質問は?」

「……、……」


 時間がゆっくり流れてゆく……。

「他に質問は?」

「えっと、……私の中ではブロード、……えっと、双矢君とは彼氏彼女の関係で、つまりカップルだったはずだけど……。もしかしてそれも……、か、書き換わってますか……?」


 言って、間が発生する。

「いいや、カップルはカップルのままだった。どんなに世界が壊れようと、どんなに世界が改変されようと。俺達は、どんな時と場所でもカップルだった。……ま、天然ボケな所が、優秀で頭がいい。とか、文美は変更されてた所はあったな」

「てことは、私は……今、……何?」


「安心しろ。天然ボケで、巨乳で、巫女さんって所らへんは。一切改変されなかったぜ」

「……、てことは、私は私の知ってるブロ……双矢くんでいいのかしら?」

「まあ、最初は混乱して訳わからんだろうが。これから、もう一度2人で育もう。俺達の出会い、四重奏の出会い。今はギクシャクしてるかもしれないけど。皆と一緒なら、きっと乗り越えられる」


 ……言って。


「みんな……?」

「ン……今度紹介するよ。皆面白い奴らばっかりなんだ」


 言って。


 優しい、淡々とした会話が、続いていった。


「一つ聞いていい?」

「何だ」

「私達に、娘って……居たっけ?」


 家族を、家庭を作った想い出が何故かある……。


「……、いや、居ない。それは別の話だ。だから元々居ないんだ」

「そう、……もともと、いない……。」


「ま、もしかしたら子沢山かもしれないぜ?」

「? どういう意味」

「いや、こっちの話さ。話せるようになったらちゃんと話すよ」

「????」


 世界は。

 揺らぐ、不安定さの中に。

 育みをみる。

 豆知識9◇#真名マナ

 分類◇#真実 #四重奏 #絆 #第1章

 解説◇何度世界が壊されようと、何度世界が改変されようと、何度世界がリセットされようと。決して変わることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ