第22話「シャフラン生存ルート2035」12時00分
――シャフラン生存ルート。
◆
西暦2035年22時55分。
天上院姫は命令するように言う。
「一つ言っておく。私は〈幸せで完璧な世界〉を望んで過去改変に来たわけじゃ無い。そんなことやったって、皆が平穏で退屈で面白く無い世界になるだけだ」
「じゃあ何故今回は出動するの?」
「そりゃアレだ……えっとー。――シャフラン生存ルート」
ラスボスにしては照れくさそうな顔をしていた。
◆
西暦2010年XX月XX日、24時00分。
他の住人は最果ての軍勢、不動武と不動文が押さえ込んでいた。
「うおおお全部てぶっ壊れろおー!」
「真紅!」
概念階層の塔の外側はそれはもう大惨事だった。ものと言うものがひっくり返っている。まるで世界の終わりのような光景だった。
45分後、エネルギーというエネルギーを出し尽くして。力を出し尽くしたシャフランが居た。
「ぜえ! ぜえ! ……何なんだあんたらは!」
「私は未来から来た、ココとは別の世界から来たあなた。……って言ってもわからないか」
「ふざけた口を……!」
「まあ私の目的はあなたのパワー切れだから、元から倒す事じゃ無いんだけどね。私達はもっと難しいことにチャレンジしようと思ってる。私達はつまらないけどもっと価値ある時間をあなたに与えたい……」
「はぁ~!?」
時計の針がぐるっと廻る。
西暦2010年XX月XX日、00時01分。
力尽きたシャフランは、大の字になってそれこそ死にそうな顔をしながら倒れていた。
〈昔の桃花〉が目を覚ました。
「あれ? ここは、私どうして眠って……。あなた誰!? 私!?」
そばに居た〈今の桃花〉は語りかける。
「これがシャフラン生存ルートよ。さあ、昔の桃花、ここからはあなたの物語よ。殴る必要は無い、シャフランはもう力尽きてるから。あとはもう思いっきり抱きしめてあげるだけ。……行ってらっしゃい」
同じ桃花なのだからやりたいことは一緒なのだろう。と思って昔の桃花は今の桃花を信じコクリ、と頷いた。
「……うん」
力尽きたシャフランを強く、強く抱きしめる。
「よかっだぁ……、本当にィ……、よがっだぁ……」
安堵と共に力が抜けてゆくのを感じたシャフランだった。
「! ……。」
「好きだよ、シャフラン……」
「私も好きだよ、桃花……」
今の桃花は安堵した。
「あとはもう、アイツらの物語だし。これ以上の接触はやぼだよね……」
言って、今の桃花はタイムパトロール隊に連絡する。
『全員撤収する! 総員退避! 〈攻略組用の転移門〉へ急げ!』
『2012年のスズちゃんはどうします?』
『彼女の好きにさせなさい。それはそれで別の物語だから』
『じゃあ撤収! 撤収ー!』
こうして、タイムパトロール隊は転移門から未来へ戻っていった……。
◆
現実世界、西暦2035年10月10日00時00分。
今の桃花は宣言する。
「現時点をもって、〈ハッピーエンド大作戦〉を完了する!」
「いつそんな作戦名にしたんだ?」
『はぁ~~~~~~…………。』
全員緊張の糸が切れて、めっちゃドッと疲れ倒れた。
難易度Sは何かもう色々と酷かった。
現実世界、西暦2035年10月10日12時00分。
オーバーリミッツと湘南桃花は語らう。
「結局、何だったのかしら? 今回の騒動は」
「要するに、私の体のピクピクの悪化を防ぐための処置でしょ? これでダメだったらもう諦めて受け入れるしか無いわな……」
「ねえ、キスしてもいい?」
「は? いや私は百合には興味な……」
チュ。
それは唇で重ねるキスとキス。
「えへへ、拒否権はない」
「……は~」
呆れてものも言えない桃花。
「ん」
「ん」
どんなに姿形で騙しても、心は、騙せないのであった。
四重奏4人組は思った。
『このリア充め!!!!』
「タイムパトロール」編、完結。




