第20話「転移門2010」23時01分 ★
〈タイムパロトロール隊〉16人は互いに意思疎通できるように〈通信機器〉を耳に装備していた。
天上院姫にはやることがあった。
それはまず、このワープホールが高度100メートルにあるということ。この位置を移動させなければ、後続の出現は本当に困難を極める。
姫は、クルクルと廻っているワームホールを掴んで。あと〈昔の桃花〉も掴んで。重力通りに下に落下を始めた。
(1分で100メートルを落下できるか? ……いや、怪しい。瞬間移動!)
何でも出来る創造神は、落下10メートル。高度90メートルほどで瞬間移動に切り替え。一気に地上へ降り立った。
2Bエリア、まさに世界の中心点。
右手に不安定な〈昔の桃花〉を支えて地面に置き、左手にワームホールを持っている。問題は位置、いや角度だった。
「〈今の桃花〉どうしよっか? このワームホールを転移門みたいに〈変換〉するか。狭間の空間を繋ぐ感じ、〈このまま〉にするか」
〈今の桃花〉は答える。
「狭間操作でトンネル形式だとややこしい。変えられるのなら〈転移門〉にして頂戴。上級者向け転移門、私は初心者向け転移門を作ってくる!」
「うぬ! 任せた!」
言って、姫はワームホールを地面に垂直に置くことにした。そして変換して、〈攻略組用の転移門〉にする。
《2Bエリア〈攻略組用の転移門〉の設置が完了しました。》
「さあ! 普通の攻略組! どんどん来い! 〈昔の桃花〉を守るんだ! 何なら要塞築いたり、都市国家を作っても良いぞ!」
10人、100人、いや、1000人は超えるほどの攻略組が四方八方円陣を組み雪崩れ込んできた。12年分、ココで置き去りに成り、置いてきぼりになった存在は数多いる。
今の湘南桃花にもやることがあった。
事は今だけ良ければ良いという問題では無い。少なくとも12年間は、長く持つ布陣を形成しなければならない。この中心地点の転移門は初心者には厳しすぎる。
桃花は〈狭間を操る能力〉でスキマを作り。瞬間移動をする。
2Aエリア、転生神社に。〈初心者用の転移門〉を設置する必要があった。
そこには忘れ去られた存在、【スイカが居た】。
「おりょ? 桃花じゃん、何でこんな所に?」
「説明はあと! 兎に角、ここに、えーっと新人さんが来るから! 遊んでて!」
「え? えー!」
「あー! もう! あとでお酒オゴるから! んじゃ!」
言って、桃花は再び。2Aエリアから、2Bエリアへスキマを使って瞬間移動して。消えた。
「おおん? おーそっかーお酒か~なら仕方ないなあ~。でも何で?」
スイカは、わけが解らなかった。
《2Aエリア〈初心者用の転移門〉の設置が完了しました。》
再び2Bエリア。〈今の桃花〉は姫に叫ぶ。
「よし! 地面よ迫り上がれ! 〈概念階層の塔〉の設置だー!」
「おうよォー!」
ドゴゴゴゴ! っと大きく迫り上がる地面はあっという間に塔を形成した。
それは、さっきの高度100メートルに届くほどの大きな岩の塔だった。
とりえず、――計画通り。
第1階層に、〈攻略組用の転移門〉と〈昔の桃花〉を置き。
第2階層に、天上院咲が何かしらの妨害が来た時に対応する。
第3階層に、諸悪の根源。〈無我〉と対峙する。脳筋漢ズ。
そしてその〈概念階層の塔〉を守るように、配置されるのは四重奏。
方位東。青龍のごとく君臨するは、日曜双矢。
方位南。朱雀のごとく君臨するは、桜愛夜鈴。
方位西。白虎のごとく君臨するは、信条戦空。
方位北。玄武のごとく君臨するは、京学文美
《2Bエリア〈概念階層の塔〉の設置が完了しました。》
不安の種は片っ端から取り除く。第1階層の姫から第2階層の咲へ、通信が飛ぶ。
『よし! 咲! 〈無我〉の運命の糸を斬れ! 絶対に〈昔の桃花〉イコール〈無我〉にするな!』
「ぜあああああああ!」
シャキン! 第2階層で咲は悪い運命の糸を斬る。下から上へ向かうその黒い糸はあまりに禍々しかった。
『斬ったよ! お姉ちゃん! 脳筋漢ズさん!』
ジャンプ、マガジン、サンデー、チャンピオンの脳筋漢ズは雄叫びをあげる。
「おっしゃー! 野郎共! いくぜえー!」
「「「おおう!!!!」」」
〈今の桃花〉は安堵したが、後回しにしてしまったので。〈昔のアリス〉の位置を探知出来なかった。
『皆! アリス姉は今何処に居る!? 見失ったわ!!』
『なに!?』
と、思うのは当然である。
それは、運命の糸を括り操る張本人。……アトラクタフィールドの収束により。
まだ、〈惨劇ルートの中〉に居ることを意味していた。




