第19話「吸血鬼大戦2010」23時00分★
〈紅魔の館〉、その頂点より更に上空。高度100メートル。
3つの存在と、1つのイレギュラーと、16のタイムパトロール隊が居た。
◆
開幕一番に飛んで来る今の湘南桃花の言葉は意味不明なものだった。
「やあ【久しぶり】12年前の私。いや、今の私の方の設定では2035年だから、15年前の私、って事になるのかしら?」
「は……はい!?」
2010年の湘南桃花と、2035年の湘南桃花が会話をしている。
「わかりずらいわね……そうだ、〈今の桃花〉と〈昔の桃花〉と呼びましょう。〈新しい桃花〉も居れば完璧だったけどね」
昔の桃花は混乱している。
「な! な! な! 何を言ってるのあなた!? 意味がわかんない!?」
今の桃花は悟すように言う。
「あなた、願ったでしょ? 2009年ぐらいに〈今よりもずっと良い最高最善の未来を〉それが、今なのよ」
「は? 確かに願ったけど! あんなのただの妄想で……!? 実現して欲しいなんて一言も……」
そういうと、今の桃花は両手で昔の桃花に催眠術の魔法を使って眠らせる。
「話しても無駄になりそうね。……今はただ眠って……大丈夫。午前零時を過ぎたあたりには起こすから。1時間だけよ? それまでは、ザナドゥにでも行って、彼岸花でも観てなさい……」
――キン……。
と、昔の桃花は耳鳴りがしたあとに、深い眠りについた……。
◆
今の桃花は。今の創造神、天上院姫に言う。
「まずは地形操作! そのあと地図制作! 〈今の後衛の攻略組〉をどんどん増やすの! あとでバックアップを大量に残すために!」
「おっしゃ! まずはリアルタイムで動いてたら面倒だから……遠慮はしない! 〈タイムストップ〉!」
――瞬間、吸血鬼大戦、23時00分で時間が止まった。
動けているのは〈今の湘南桃花〉と〈今の天上院姫〉と〈今の不動武〉だけだ。
「……この大混戦じゃ、東西南北と中央の5マスだけでいいよな?」
「ええ! やっちゃって!」
「その地形操作した位置を、僕は上空から写真を撮れば良いんだね?」
「おねがい! それが、この吸血鬼大戦の真実になる!」
今は時間は確定していても、地図が確定していないのだ。だから多方面で滅茶苦茶な空間設定になっている。
並じゃここまで届かない距離。
上空10000メートルから撮影した簡易地図が。不動武の手腕により、完成した。
再び下層を下りてきた武は、16人分の地図を複製。全員に渡す。
「これでいいか?」
「上出来! んじゃ、リアルタイム再開だぞ! 3・2・1・そして時は動き出す!」
――カチリ!!!!
歯車が再び動き出した。
ドシュン! 絶景から急転直下。絶体絶命のピンチに変わりはない。
「ぜああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
シャフランがフランに対して襲いかかる! 再び運命の糸が可動を始めた!
それを、……オーバーリミッツが受け止める!!
ガチン! ドゴン! シュバン――!
「あんただけは、絶対に! この手で止めて見せる!」
「誰だお前はぁあああああああああああ邪魔するなああああああああああ!!!! がああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
当然、シャフランと桃花のように、絆を作っていないオーバーリミッツでは。暴走は止まらないし。止められない!
「あんたのパワーが尽きるまで! 相手してあげるわ! 絶対に! あんたを〈先〉へは行かせない!!!! 永遠に回復し続けるなら! それこそ永遠に相手したあげるわ!!!!」
「どけえええええええええええええはああああああああああああああああ!!!!」
疾風怒濤の大激突が幕を開けた。
そしてもう一つ、〈昔の桃花〉から流れ出てくる〈怨念〉がついに動き出す。こいつは絶対に人を殺して絶対にハッピーエンドへ向かうんだ! という思考しかない!
「〈無我〉だ! 脳筋漢ズ! 頼む!」
「あいよお!」
「出番かあ!」
「ヒャッハー!」
「待ってましたあ!」
『殺す殺す殺す殺す殺す! 殺す殺す殺す殺す殺す! 殺す殺す殺す殺す殺す! 絶対の意思で! 必ず殺して! ハッピーエンドへ向かうんだ!!!!』
今の桃花が合図を出す。
「上位階層で迎え撃ってくれ! あとで足場は作る! 今は飛んでくれ!」
脳筋漢ズは雄叫びをあげる!
「人使いが荒いぜえ!」
「だが悪くねえ!」
「俺達だって因縁あるんだ!」
「ぜってえーに倒してやる!」
今の湘南桃花は思考する。
「さて、次は……運命の糸だ――!」




