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第15話「受付嬢の採点2」

「だいぶしんどかったみたいだね四重奏のカップル」

 来たのは、ギルド本部受付嬢の湘南桃花先生だ。


「!? 桃花先生!」

「どうしたんですか? 受付は良いんですか!?」


「あんたら以上に重要な仕事なんて無いって」


「「……」」


「ちょっと掲示板覗こうかな~とか思ってたけど……、今は観るよりあんたあっちに伝えた方が実になると思ってね。こっちに来ちゃった」

 言って、ステータス画面をヒョイとのける。


「それってどういう?」

「ことなんだ……?」


「しんどかったでしょ? 光と闇との対話、んで採点よ」

「「ごくり」」



 光と闇を受け入れろ、ギルド受付報告用評価表。


 プレイヤー、アユミとソウヤ。

 まずは内側からの意見。

 自分をさらけ出している、真っ向から自分を見つめ直す姿勢はとても良好で好意的に見て取れます。

 面白いかどうかはともかくとして、2人の人柄を観るのにとても重要な回だと言う事は解ります。

 よって、今後の下準備。話の土台作りとしては上々だと思われる。


 次は外側からの意見。

 放課後クラブの延長線上がまだ尾を引いている様子。

 自分の言葉で語る内容、発見もお見事。ただ、舞台裏としてはまだ自分を確立できずに言語化するのに手間取っている様子。

 ただ、四重奏に至っては。宗教という、神話体系が普通より強い負荷がかかっているのも見て取れる。

 その上でのメンタル管理も上々。

 ただし。現実問題のメディアミックスが悲惨で、悲劇的で大義に欠けるのも否めず。面白く無いので減点とする。


 以上のことから鑑み。69点とする。

 

 by ギルド本部の受付嬢、湘南桃花。



「わぁ~やっぱりセンクウくんとヨスズちゃんが言ってたように厳しめですねえ~」

「100点取るのに何年かかるかわかんねー採点の仕方だぜ」

 言ってから、湘南桃花は優しい顔で言う。


「ま、コレが【表側の採点は69点】ね」


「はい?」

「……表側って事は、裏側もあるんですか?」


 桃花はにっこりと笑う。

「そう硬い顔しなさんなって。裏側は〈私の本心〉の話をしたいのよ」


「ほほう」

「本心?」

「宗教関係とか、著作権とか、陰謀論とか良くわかんないけどさ。あんた達は絶対に面白い事は確信してる。でなきゃこんなに長く生き残ってないって」


「はぁ……そりゃどうも……?」

「ありがとうございます……?」


「素材は一級品、いや超一流品。なのにこんなに低評価なほうが私はおかしいと思ってる。理由は初期の文法的な技術力の無さ。あなた達4人が、本心で行動した結果の成果物がまだ頭の中で、文章体に表現し切れてないのも原因だし。私の中のあなた達の理想像が。メディアミックスで既に放送されてるから。その〈良さ〉が先行してる可能性が大いにある。つまり私個人が、あなた達4人を推しきれてないって事だと思ってる。つまり表現を出し切れてない」


「はあ……」

「ほむ……」


「というわけで、私の【裏側の採点は95点】です。よく自分をさらけ出せました、二重丸ですよ! ブイブイ! この土台はあとで響くよ~?」

「はぁ……そりゃどうも……?」

「ありがとうございます……?」


「ま、まだ。あの牛くんと蟹ちゃんの採点が残ってるから。まだ何とも言えないけどさ。今後ともよろしくって事よ、てことで。後半戦もガンバよ!」

「お、おう!」

「は、はい!」

 そう言って、桃花先生は再びギルド本部の方へ戻って行った……。


「嵐のような、……いや、大地のような人だったな」

「湘南の海って感じだよねえ~自由人……」

 ソウヤとアユミはそれしか言えなかった。

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