表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/37

9

 ラナンキュラス学園には、初等部、中等部、高等部が合同で使う大きな図書館がある。お城のような外観の建物で、三階建ての吹き抜けだ。

 初等部も利用するので、絵本や児童書まである。案内された時から、早く利用しようと決めていたので早速行くことにした。



 途中、A組の前を通る。ドアの隙間から、サビスが女の子達に囲まれているのが見えた。


入学式からおよそ一週間、サビスは既に学年一のモテ男だ。いつかファンクラブが出来そうだな。

 …さすがにそれはないか。ちょっと見てみたい。




 図書館に来るのはこれで二度目。天井が高ーい。周りをぐるっと囲む本棚は圧巻だ。合同で使う施設なので、中等部や高等部の先輩方が沢山いる。初等部の生徒はいるかなー。

 あれ? 私一人……?


 アウェーだ。いや、初等部も使えるし。


 

 気になるタイトルを見つけたので、手を伸ばす。


 届かない。あと少しなのに。脚立的なものはないかと、辺りを見る。ないか。


 もう一度チャレンジだ。つま先立ちをして、ぎりぎりまで手を伸ばす。うおぉぉぉ…。踏ん張っていると、上から手が伸びてきた。え、なに。

 

「この本でいいのかな」


 爽やかな笑顔の好青年が本を取って、手渡してくれた。


「ありがとうございます」


「はは、気にしなくて大丈夫だよ」


 日焼けした肌から、のぞく白い歯が眩しい。かっこいい。


「届かなかったら、司書さんを呼ぶといいよ」


 そう言って去っていく先輩の後ろ姿を、私はぼうっと見つめていた。ネクタイの色は紺だった、中等部の生徒か…。年の差は少なくとも五歳。

 どうしよう、先輩の笑顔が頭から離れない。







「アーメナ様、図書館に行っていたんですか」


 教室に帰ると、取りまきの一人に話しかけられた。そう、私にはいつの間にか取りまきが出来ていた。

 今話しかけてくれたエリンちゃんは、漫画にも出てくる。アーメナの悪事に加担するのだ。それを思うといまいち心を開けない。


「ええ、そうなの」


「どんな本を借りたんですか」


「探偵小説よ」


 でも、ぼっちになる心配がないのは有難い。



「今日、サビス様はトマトの冷製パスタを食べたそうよ」

 

 取りまきの子が嬉々として話し出した。なんだその情報。すっごくどうでもいい。


「まあ、そうなの」

「私が食べたものと同じだわ」

 

 そんなことさえ、話のネタにされるサビスに深く同情した。









 ベットの上で借りた本を読む。先輩のことを考えてしまってはかどらない。私が困っていたら、さっと手を伸ばしてくれて…。思い出して悶えた。


 どうやら私は、恋に落ちてしまったようです。年の差なんて関係ない!

 





 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ