6 サビス
実はこの世界、少女漫画の世界なのだ。そして俺、サビス・ロイホンは、その漫画の……………ヒーローだったりする―――――
その漫画「loveラナンキュラス学園」は前世でなかなか人気のある漫画で、俺は、姉に借りて読んでいた。「ラブラナ」と略すらしい。
この世界が、漫画の世界であることに気が付いた時は驚いた。すぐに信じられるはずもなく、ずっと夢の中にいるような気分だった。
でも、実際に起きていることなのだから、信じて受け入れる他ない。
そして、自分が主人公とくっつくことになる、ヒーローであることについては………かなり複雑だ。
…少なくとも生まれ変わった先が、死が隣り合わせの世界観の漫画でなくてよかったとは思っている。
思っているけど、少女漫画のヒーローはやめてほしかった。
一つ懸念している事がある。
アーメナという登場人物についてだ。
彼女は主人公とサビスの仲を邪魔する、悪役なんだが、めちゃくちゃ性格が悪い。そして、やる事がえげつない。
サビスに近づくなら、ノーラド家を敵にまわすことになると、主人公を脅すシーンの迫力は凄かった。
このままいくと俺は、女同士の陰湿な争いに巻き込まれてしまう。それは嫌だ。絶対に。
アーメナは、俺に手を出してくることはないだろう。彼女は主人公の前と、サビスの前ではまるで別人なのだ。
でもそういう問題ではない。あんな泥沼の中心に立たされるのは、ごめん被る。
泥沼を回避するためには、とにかくアーメナに近づかないことだ。そうすれば、好意を持たれることはなく、漫画のような事態にはならないはずだ。それから、主人公にも近づかないこと。
今度行われるパーティーに、ノーラド家が出席するらしい。
……………アーメナも出るとのこと。