1 アーメナ
みなさん驚かないで聞いて下さい。実はこの世界、「Iove ラナンキュラス学園」という少女漫画の世界なんです。そして私、アーメナ・ノーラドはその少女漫画の主人公………ではなく、主人公をいじめる悪役なのだ!
いや、私も最初は信じられなかった。だって漫画の世界に生まれ変わるだなんてすぐに受け入れられるはずがないじゃないか。しかも、よりによってアーメナだ。悪役だ。お先真っ暗じゃないか。夢を見ているんじゃないかとおもったし、夢であってほしいと思った。私は気がふれてしまったのかとも。でも、寝ても覚めても現実は変わらないしそれどころか日々実感させられる。ああ、ここは「Iove ラナンキュラス学園」の世界なんだなって。
そして今私はこの現実を何とか受け入れている。漫画の世界ということも、私が悪役ということもだ。
ノーラド家は歴史ある名家だ。そして私はその長女。前世ではごくごく普通の家庭で育ったのになあ。今じゃとんだお嬢様だ。そして、私はもう一度今後について考える必要がある————
「Iove ラナンキュラス学園」は私が前世で大好きだった少女漫画である。
平凡な少女だった主人公のもとにある日親族を名乗る男が現れるところから物語は始まる。実は主人公はお嬢様だったのだ。そして、色々あって王族までもが通う名門ラナンキュラス学園に通うことになる。そこで王家に次ぐ名家の跡取りであるヒーローと出会い、恋に落ちる。
惹かれ合っていく二人をよく思わないの子は多いのだけど、その筆頭がアーメナだ。
アーメナの家とヒーローの家は代々付き合いがあり、アーメナはヒーローの婚約者気取りだった。主人公に嫉妬の炎を燃やし、嫌味を言うなんてことは序の口で、物を盗ったり、壊したり、足を引っかけ転ばせたり、しかもそのほとんどを彼女の取り巻きたちにやらせ、自分は手を汚さなかった。
しかし、二人の愛はそんなことでは引き裂けない。
主人公とヒーローは数々の試練を乗り越え、結ばれる。
一方のアーメナは、今までの悪事がばれ、学園を強制退学、家を追い出される。……アーメナのその後は漫画では一切描かれていない。怖い。
この漫画は前世で大人気で私の周りもこぞって読んでいた。休み時間や帰り道によく感想を言い合ったんだよ。懐かしいなぁ……。ヒーローのかっこ良さとか、主人公の可愛さとか、ヒーロー派か当て馬派かで議論になったり…あれは盛り上がったなー。ちなみに私はヒーローの親友派でした。
ただ、一番盛り上がったのはアーメナの悪口だったりする。